▲ 11.11大泉学園トークイベント
11月11日(火)夜、大泉学園の練馬区立勤労福祉会館で「保坂のぶとスペシャルトークイベントinねりま」を開催した。テーマは「<格差> <貧困> <福祉切り捨て>私たちはどんな明日をえらぶ?」というもの。
「自己責任」の小泉改革以来、社会保障関係費は年々削減され、ますます働く人の立場が弱くなりシングルマザーはいっそう不安定な生活を送らざるをえなくなっている。この社会を変えるには政治や政策が変わらないとどうにもならない。現場の声と社民党の保坂のぶとさんのお話を聞き、自分たち市民はどうすればよいのか考えようというのがこの日のイベントの趣旨である。
平日夜の集まりなのに参加者は62人に上った。多くは地元練馬や西武池袋線沿線在住者だったが、川崎、仙台、神戸など遠方から来られた方もいた。コーヒー、紅茶にリンゴ、柿、ポテトチップス、オードブルが並び、ティーパーティのようにくつろいだ雰囲気だった。さらに1杯200円の赤ワイン、白ワイン、ビール、ブランデーとアルコール類までそろっていた。しかし「使い捨てですか?」の短冊がたくさん貼られた会場で聞くゲストの池田一慶さん、赤石千衣子さんの話は、冬の時代の厳しいものだった。ただ最後は、少し時代が変わりつつある、みんなで新しいセーフティネットをつくろうと、少し希望が見えるような結びとなった。

▲ 池田一慶さん(ガテン系連帯共同代表)
ガテン系連帯は、モノづくりの現場や土木・建築・運輸業で働く派遣・請負労働者のNPOである。
情報共有、労働相談や政策提言をしている。自分は昨年まで2年半、日野自動車で日研総業の派遣社員として働いていた。契約期間は1か月から3ヵ月という短期で、そのたびに更新していた。時給は1150円、月20日勤務で年収250万円程度だった。寮に住む人が多く、自分のこと以外におカネを使うと生活は厳しい。
工場は大きな労災が起きることもある危険な場所だ。僕の職場では重い品物を扱うので指を挟んだときなど1週間くらい指が腫れ、青くなっていた。人間の指はこんなに大きくなるのかと思った。しかし、こうしたケガは隠すのが派遣社員の常識になっている。加工に使う油で皮膚がかぶれてしまったときに、「社員の前ではかかないほうがいいよ」と先輩に言われたことがあった。理由は「社員からやっかいな人間と思われれば切られてしまう」とのことだった。少しくらいのケガで労災を申請したりすれば契約の延長はまずない。これが現場の現実だ。そんな思いをして働いていても、派遣先の都合で簡単にクビになってしまう。いまトヨタなど自動車産業を中心に派遣先メーカーが次々に期間工や派遣社員を大量にカットしているとおりだ。
20年前の1986年、労働者派遣法が施行された。そのときは専門性の高い仕事に限定されていた。しかし99年に原則すべての業種に、2004年には製造業に拡大した。そして88年に27万人だった派遣労働者は2006年に321万人に激増した。派遣会社も増えて競争激化し、低賃金化が進んで行った。
11月4日に「30日以内の派遣禁止」を内容とする派遣法改正案が閣議決定され、現在国会に上程されている。派遣の中心は2-3ヵ月契約だが、それでも不安定だ。また1か月がダメなら1か月+1日という契約にするだろう。業種の規制や、登録型派遣の禁止、均等待遇の実現、派遣先の責任の強化などの派遣労働の問題が、単なる期間の問題に矮小化されている。しかも事前面接解禁などの規制緩和も盛り込まれており、成立を阻止しなくてはならない。
また、派遣法だけでなく、大規模な「派遣切り」を目前に、雇用保険の給付資格の緩和も求められる。さらに寮に住んでいる人が多い派遣社員や期間工は、選挙権がない。移動が多くて住民票を移す人は少ないからだ。ましてや「派遣切り」で寮を追い出されたらどうなるというのだ。こうした問題にも取り組んでいきたいと思っている。
▲ 赤石千衣子さん(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事、ふぇみん編集部)
いま社会的に若い男性の不安定雇用が問題になっている。シングルマザーは子どもを抱え残業もままならず、子どもの病気による欠勤も見込まれるので就労そのものが難しい。 年収は平均171万円、離婚直後はパートの人が多いがさらに厳しく113万円だ。
ある知り合いの例を話そう。その人は夫の実家の借金肩代わりのための借金が膨大になり離婚した。7歳以下の子どもが3人いたが昼間はすし屋で働き、夜もそのすし屋で働いた。夜目をさました子どもから携帯に電話がかかることがあり、胸が締め付けられたという。そのうえその人は深夜帰宅してから、スキルアップのため医療事務の通信教育で勉強した。その結果、体をこわし生活保護を受けることになったが、うつがひどく働き続けることが難しい状況だ。
こういう人にとって月3-4万円の児童扶養手当の存在は大きい。ところが2002年に厚生労働省は、5年間受給すると一部支給停止(半額に削減)する制度に変更した。わたしたちは反対運動を起こし、昨年の参議院選挙で与党が敗れたこともありこの変更は事実上凍結になった。ただし「一部支給停止措置の適用除外届」を各自出す必要があり、役所がわざとこの制度を使いにくくしているのではないかと思うほど手続きがわかりにくかった。締切が過ぎても10%の人が届けを提出していなかったので、役所に詰め寄り「ゆるやかな対応」をしてもらえるようになった。生活保護を受けるとズルをしているかのように冷たい目でみられる。しかし半分の人は働いているし、また働く以前に疲れきっている人が多い。
昨年3月「反貧困ネットワーク」ができたころから、日本の「貧困」が話題になっている。男女で比較すると年収200万以下の非正規雇用者では女性がずっと多い。しかし女性は、どうせ夫に扶養されるのだろうとか、父親のパラサイトだろうとみられ、貧困といわれることが少ない。しかし女性が当たり前に一人で暮らせる社会にならないといけない。そのために「女性と貧困ネット」を今年9月に立ち上げた。保坂さんには*雇用保険に目を向けていただきたい。
▲ 保坂のぶとさん(社民党衆議院議員)
政府は社会保障関係費を毎年2200億円削減し続けている。年により削減対象を変えるが、今年は雇用保険が狙われている。かつて国負担は3300億、小泉改革で1600億になったが、今年12月の予算案でゼロにしようとしている。
政府は失業給付の積立金5兆円、労災保険8兆円の積立金を霞が関の「埋蔵金」扱いし、また1600億円の国庫負担分を廃止して景気対策に回そうとしている。
じつは、昨年10月雇用保険の支給対象が、それまでは6ヵ月働けば対象になったのが12ヵ月に改悪された。ハードルが2倍になり、支給額は400億円程度削減された。財源はあるのだから、まずこれを6ヵ月に戻せと言いたい。
昨年10月、日雇雇用保険制度に派遣社員も加入することが可能になった。政府は鳴り物入りで宣伝した。2カ月の間に26日働けば、仕事をあぶれた場合に4100~7500円支給される制度だ。ところが1年たっても保険手帳を持っている人は全国で4人、あぶれ手当をもらった人は皆無という状況だ。
また労災保険に、うつ病、パニック障害など精神疾患も適用されるようにしたい。厚労省の担当者に聞くとすでに精神疾患にも支給していると胸を張った。しかし数を聞くと、全国で213人しかいないそうだ。
また雇用保険で建てた雇用促進住宅というものがある。もともとは1950年代後半炭鉱労働者がエネルギー転換で転職する際の住宅獲得闘争により建てられたものだ。10年前に新築はストップしたが、賃料は八王子で月19000円という安さだ。ところが小泉改革により民間売却が始まり、今年から半分の住宅への新規入居が停止になった。職安所長の判断ひとつで入居できるのに、現在非正規雇用の人は1人も入居していない。
池田 雇用促進住宅に入居しようと、ハローワークに行った。しかし窓口担当者は何もわからず、雇用振興協会で聞くと、対象は雇用保険の加入者で「一年以上働いている事が見込まれる者」ということだった。派遣社員は入れないとのことだった。正社員として働いていることが基本的な考え方になっているのがよくわかった。「ちゃんと働きなよ、君」と職員に言われた。また離職票を持参するよう言われた。派遣先がなくなった派遣社員が派遣会社の寮に住んでいられるのは次の仕事を同じ派遣会社で見つけることが前提だ。離職票などもらったら寮を追い出されてしまうだろう(通常1週間程度で追い出される)。雇用促進住宅のなかにはガラガラのところもある。困っている人が入居できるようにしてほしい。
赤石 シングルマザーが職業能力開発センターを利用すると訓練手当が出る。生活保障にステップアップできる優れた制度だ。この枠をもっと広げてほしい。
ここで会場から、ケガが直りきっていないのに3ヵ月で労災保険を打ち切られたケース、職業訓練給付金はたいへん助かったが、申請するときに精神的ストレスを感じたという体験、東京外かく環状道路の地域PIで、練馬では住民の声を聞かないまま終了させられたという報告などがあった。
最後に司会から「現状は確かに暗い。しかしいままで政治に関心がなかった人が政治を振り返るように変わりつつある現状もある。それを踏まえて今後の見通しを」とのリクエストに、ゲストの2人から一言、話があった。
池田 製造工場では「派遣切り」が嵐のように吹き荒れ、厳しい時期が続くだろうが、こういうときがチャンスでもあると思う。ユニオンの真価が問われている。社会的にも、少なくとも表向きには規制緩和から規制強化の方向に変わりつつある。いまこそ社会が変わるときだ。
赤石 昨年「反貧困ネットワーク」を立ち上げたとき、悲惨な状況をつくった自公はボロ負けしてほしいと思ったら7月の参院選でそうなった。今年10月19日に明治公園で行った「反貧困世直しイッキ!」のサウンドデモではみんな道路いっぱいにひろがり踊り狂って楽しかった。新しいムーブメントが起きていることをいま実感する。働ける人は人間的な労働ができるようにし、新しいセーフティネットをつくろうと運動すれば、自然に仲間も増えていく。そのとき、わたしたちは何がほしいのかイメージをつくることが大切だ。今後も注意深く、したたかに、しかし希望は大きく持って、やっていきたい。
最後に、じょうづかさえこさんと「前を向いて歩こう」を合唱し、イベントを終えた。
前を向いて歩こう、涙がこぼれてもいいじゃないか、
泣きながら歩く、一人ぼっちじゃなかった夜
『ねりまスペシャルトークイベント』(2008年11月20日)
http://blog.goo.ne.jp/nerispe/e/ffbff93633e68f128e69ba3af7d49063
11月11日(火)夜、大泉学園の練馬区立勤労福祉会館で「保坂のぶとスペシャルトークイベントinねりま」を開催した。テーマは「<格差> <貧困> <福祉切り捨て>私たちはどんな明日をえらぶ?」というもの。
「自己責任」の小泉改革以来、社会保障関係費は年々削減され、ますます働く人の立場が弱くなりシングルマザーはいっそう不安定な生活を送らざるをえなくなっている。この社会を変えるには政治や政策が変わらないとどうにもならない。現場の声と社民党の保坂のぶとさんのお話を聞き、自分たち市民はどうすればよいのか考えようというのがこの日のイベントの趣旨である。
平日夜の集まりなのに参加者は62人に上った。多くは地元練馬や西武池袋線沿線在住者だったが、川崎、仙台、神戸など遠方から来られた方もいた。コーヒー、紅茶にリンゴ、柿、ポテトチップス、オードブルが並び、ティーパーティのようにくつろいだ雰囲気だった。さらに1杯200円の赤ワイン、白ワイン、ビール、ブランデーとアルコール類までそろっていた。しかし「使い捨てですか?」の短冊がたくさん貼られた会場で聞くゲストの池田一慶さん、赤石千衣子さんの話は、冬の時代の厳しいものだった。ただ最後は、少し時代が変わりつつある、みんなで新しいセーフティネットをつくろうと、少し希望が見えるような結びとなった。

▲ 池田一慶さん(ガテン系連帯共同代表)
ガテン系連帯は、モノづくりの現場や土木・建築・運輸業で働く派遣・請負労働者のNPOである。
情報共有、労働相談や政策提言をしている。自分は昨年まで2年半、日野自動車で日研総業の派遣社員として働いていた。契約期間は1か月から3ヵ月という短期で、そのたびに更新していた。時給は1150円、月20日勤務で年収250万円程度だった。寮に住む人が多く、自分のこと以外におカネを使うと生活は厳しい。
工場は大きな労災が起きることもある危険な場所だ。僕の職場では重い品物を扱うので指を挟んだときなど1週間くらい指が腫れ、青くなっていた。人間の指はこんなに大きくなるのかと思った。しかし、こうしたケガは隠すのが派遣社員の常識になっている。加工に使う油で皮膚がかぶれてしまったときに、「社員の前ではかかないほうがいいよ」と先輩に言われたことがあった。理由は「社員からやっかいな人間と思われれば切られてしまう」とのことだった。少しくらいのケガで労災を申請したりすれば契約の延長はまずない。これが現場の現実だ。そんな思いをして働いていても、派遣先の都合で簡単にクビになってしまう。いまトヨタなど自動車産業を中心に派遣先メーカーが次々に期間工や派遣社員を大量にカットしているとおりだ。
20年前の1986年、労働者派遣法が施行された。そのときは専門性の高い仕事に限定されていた。しかし99年に原則すべての業種に、2004年には製造業に拡大した。そして88年に27万人だった派遣労働者は2006年に321万人に激増した。派遣会社も増えて競争激化し、低賃金化が進んで行った。
11月4日に「30日以内の派遣禁止」を内容とする派遣法改正案が閣議決定され、現在国会に上程されている。派遣の中心は2-3ヵ月契約だが、それでも不安定だ。また1か月がダメなら1か月+1日という契約にするだろう。業種の規制や、登録型派遣の禁止、均等待遇の実現、派遣先の責任の強化などの派遣労働の問題が、単なる期間の問題に矮小化されている。しかも事前面接解禁などの規制緩和も盛り込まれており、成立を阻止しなくてはならない。
また、派遣法だけでなく、大規模な「派遣切り」を目前に、雇用保険の給付資格の緩和も求められる。さらに寮に住んでいる人が多い派遣社員や期間工は、選挙権がない。移動が多くて住民票を移す人は少ないからだ。ましてや「派遣切り」で寮を追い出されたらどうなるというのだ。こうした問題にも取り組んでいきたいと思っている。
▲ 赤石千衣子さん(NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事、ふぇみん編集部)
いま社会的に若い男性の不安定雇用が問題になっている。シングルマザーは子どもを抱え残業もままならず、子どもの病気による欠勤も見込まれるので就労そのものが難しい。 年収は平均171万円、離婚直後はパートの人が多いがさらに厳しく113万円だ。
ある知り合いの例を話そう。その人は夫の実家の借金肩代わりのための借金が膨大になり離婚した。7歳以下の子どもが3人いたが昼間はすし屋で働き、夜もそのすし屋で働いた。夜目をさました子どもから携帯に電話がかかることがあり、胸が締め付けられたという。そのうえその人は深夜帰宅してから、スキルアップのため医療事務の通信教育で勉強した。その結果、体をこわし生活保護を受けることになったが、うつがひどく働き続けることが難しい状況だ。
こういう人にとって月3-4万円の児童扶養手当の存在は大きい。ところが2002年に厚生労働省は、5年間受給すると一部支給停止(半額に削減)する制度に変更した。わたしたちは反対運動を起こし、昨年の参議院選挙で与党が敗れたこともありこの変更は事実上凍結になった。ただし「一部支給停止措置の適用除外届」を各自出す必要があり、役所がわざとこの制度を使いにくくしているのではないかと思うほど手続きがわかりにくかった。締切が過ぎても10%の人が届けを提出していなかったので、役所に詰め寄り「ゆるやかな対応」をしてもらえるようになった。生活保護を受けるとズルをしているかのように冷たい目でみられる。しかし半分の人は働いているし、また働く以前に疲れきっている人が多い。
昨年3月「反貧困ネットワーク」ができたころから、日本の「貧困」が話題になっている。男女で比較すると年収200万以下の非正規雇用者では女性がずっと多い。しかし女性は、どうせ夫に扶養されるのだろうとか、父親のパラサイトだろうとみられ、貧困といわれることが少ない。しかし女性が当たり前に一人で暮らせる社会にならないといけない。そのために「女性と貧困ネット」を今年9月に立ち上げた。保坂さんには*雇用保険に目を向けていただきたい。
▲ 保坂のぶとさん(社民党衆議院議員)
政府は社会保障関係費を毎年2200億円削減し続けている。年により削減対象を変えるが、今年は雇用保険が狙われている。かつて国負担は3300億、小泉改革で1600億になったが、今年12月の予算案でゼロにしようとしている。
政府は失業給付の積立金5兆円、労災保険8兆円の積立金を霞が関の「埋蔵金」扱いし、また1600億円の国庫負担分を廃止して景気対策に回そうとしている。
じつは、昨年10月雇用保険の支給対象が、それまでは6ヵ月働けば対象になったのが12ヵ月に改悪された。ハードルが2倍になり、支給額は400億円程度削減された。財源はあるのだから、まずこれを6ヵ月に戻せと言いたい。
昨年10月、日雇雇用保険制度に派遣社員も加入することが可能になった。政府は鳴り物入りで宣伝した。2カ月の間に26日働けば、仕事をあぶれた場合に4100~7500円支給される制度だ。ところが1年たっても保険手帳を持っている人は全国で4人、あぶれ手当をもらった人は皆無という状況だ。
また労災保険に、うつ病、パニック障害など精神疾患も適用されるようにしたい。厚労省の担当者に聞くとすでに精神疾患にも支給していると胸を張った。しかし数を聞くと、全国で213人しかいないそうだ。
また雇用保険で建てた雇用促進住宅というものがある。もともとは1950年代後半炭鉱労働者がエネルギー転換で転職する際の住宅獲得闘争により建てられたものだ。10年前に新築はストップしたが、賃料は八王子で月19000円という安さだ。ところが小泉改革により民間売却が始まり、今年から半分の住宅への新規入居が停止になった。職安所長の判断ひとつで入居できるのに、現在非正規雇用の人は1人も入居していない。
池田 雇用促進住宅に入居しようと、ハローワークに行った。しかし窓口担当者は何もわからず、雇用振興協会で聞くと、対象は雇用保険の加入者で「一年以上働いている事が見込まれる者」ということだった。派遣社員は入れないとのことだった。正社員として働いていることが基本的な考え方になっているのがよくわかった。「ちゃんと働きなよ、君」と職員に言われた。また離職票を持参するよう言われた。派遣先がなくなった派遣社員が派遣会社の寮に住んでいられるのは次の仕事を同じ派遣会社で見つけることが前提だ。離職票などもらったら寮を追い出されてしまうだろう(通常1週間程度で追い出される)。雇用促進住宅のなかにはガラガラのところもある。困っている人が入居できるようにしてほしい。
赤石 シングルマザーが職業能力開発センターを利用すると訓練手当が出る。生活保障にステップアップできる優れた制度だ。この枠をもっと広げてほしい。
ここで会場から、ケガが直りきっていないのに3ヵ月で労災保険を打ち切られたケース、職業訓練給付金はたいへん助かったが、申請するときに精神的ストレスを感じたという体験、東京外かく環状道路の地域PIで、練馬では住民の声を聞かないまま終了させられたという報告などがあった。
最後に司会から「現状は確かに暗い。しかしいままで政治に関心がなかった人が政治を振り返るように変わりつつある現状もある。それを踏まえて今後の見通しを」とのリクエストに、ゲストの2人から一言、話があった。
池田 製造工場では「派遣切り」が嵐のように吹き荒れ、厳しい時期が続くだろうが、こういうときがチャンスでもあると思う。ユニオンの真価が問われている。社会的にも、少なくとも表向きには規制緩和から規制強化の方向に変わりつつある。いまこそ社会が変わるときだ。
赤石 昨年「反貧困ネットワーク」を立ち上げたとき、悲惨な状況をつくった自公はボロ負けしてほしいと思ったら7月の参院選でそうなった。今年10月19日に明治公園で行った「反貧困世直しイッキ!」のサウンドデモではみんな道路いっぱいにひろがり踊り狂って楽しかった。新しいムーブメントが起きていることをいま実感する。働ける人は人間的な労働ができるようにし、新しいセーフティネットをつくろうと運動すれば、自然に仲間も増えていく。そのとき、わたしたちは何がほしいのかイメージをつくることが大切だ。今後も注意深く、したたかに、しかし希望は大きく持って、やっていきたい。
最後に、じょうづかさえこさんと「前を向いて歩こう」を合唱し、イベントを終えた。
前を向いて歩こう、涙がこぼれてもいいじゃないか、
泣きながら歩く、一人ぼっちじゃなかった夜
『ねりまスペシャルトークイベント』(2008年11月20日)
http://blog.goo.ne.jp/nerispe/e/ffbff93633e68f128e69ba3af7d49063
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