★☆★ 注目の解雇裁判 判決日決まる ★☆★
▼裁判の経緯 =他の道府県にない過酷な処分=
都教委は、2004年3月の都立高校の卒業式において、「国歌斉唱時に起立しなかったのは職務命令違反である」との理由で、4月1日からの勤務をひかえた2日前の3月30日、8人の再雇用合格と、1人の非常勤講師採用を取り消しました。これは、これまでに前例のない過酷な処分であり、解雇そのものです。
これに対して、同年6月17日、解雇された9人の元教員は「地位確認等」を求めて東京地裁に提訴しました。翌年1人が加わり、現在、以下の10人が原告です。
これまでに15回に及ぶ口頭弁論が行われ、昨年の12月27日、結審しました。
原告団
相田尭夫(小岩高校)薄井利夫(忍岡高校)太田淑子(小岩高校)金子潔(世田谷泉高校)桐生早苗(高島高校)久保田正雄(工芸高校)蔵野博(志村高校)近藤光男(新宿山吹高校)平松辰雄(農芸高校)前川鎮男(小岩高校)()内は処分時の学校
▼「難波判決」に続く裁判 =裁かれるのは「10・23通達」の違憲・違法性だ=
06年9月21日、東京地裁(難波裁判長)は「10・23通達」、「実施指針」に基づく職務命令は、憲法19条の「思想・良心の自由」に反し、教育基本法(旧)10条の禁止する「教育の不当な支配」に当たり、違憲・違法であると断じました。
解雇裁判は、この予防訴訟に続く、「具体的事例」の裁判ということになります。横山洋吉元教育長などの証人尋問で明らかになった「強制の実態」を、裁判所がどうみるか注目されます。
「通達に基づいた職務命令の強制に対し、40秒間静かに座っていたという行為は、憲法19条思想・良心の自由の範曙にある」これが私たちの主張です。
▼現役にも直結する定年後の雇用を守る裁判 =再雇用合格取消は、労基法上の解雇権濫用か=
定年後の雇用として、東京都には、「再任用制度」と「再雇用制度」があります。一般的には「再任用」が主ですが、東京都では再雇用制度を設けているのです。
この「再雇用制度」は、労働条件としては、労基法が適用されています。
例えば、その手引きに「政治活動の自由である」というように、公務員法の適用はありません。非常にユニークな制度だといえます。しかし、建前は1年ごとの更新という「非正規労働」です。
私たちは、再雇用と銘打っていることからみても、使用者との関係は「雇用関係」であり、労基法が適用され、合格取消は解雇権の濫用であると主張しています。
公務員はすべて「任用」であり、「行政処分」であるとする従来の考えに風穴を開けられるのか、注目されるところです。
たとえ、「行政処分」であるとしても、「再雇用」では、従来、停職処分を受けた者を含めてほぼ希望者の全員が採用され、更新されているという実績から、「合格取消」は、解雇権濫用の法理が類推適用されるという、主張も行っています。
年金制度の改悪で、5年間「無年金」というのもそんな遠いことではありません。定年後の生活保障は切実です。「生き甲斐」の保障としても再雇用制度は重要です。
公務関係・非正規労働者にも関係する裁判
再雇用制度は、名目は「1年ごとの更新で5年間が限度」という「非正規労働」です。
私たちのように、使用者の恣意的判断で解雇されてはたまったものではありません。
現在、公務員の労働現場には多くの「非正規労働者」が働いています。また、民営化路線の影響で、その割合は増えることはあっても減ることはありません。安心して働ける職場の確保は重要です。
日弁連も人権侵害を認定 =都教委に警告書=
○「10・23」通達は教職員の思想良心の自由及び教育の自由を侵害するものとして違憲!
○通達を直ちに廃止すること!
○戒告処分、再雇用合格取消決定を取り消すこと!
2006年、解雇裁判の原告2人を含む、5人の教員・元教員は日本弁護士連合会に対し、都教委の「日の丸」・「君が代」の強制に関する一連の処分が人権侵害にあたると、「人権救済の申立」を行いました。
その結果が2007年2月20日、日本弁護士連合会会長名で、東京都教育委員会に警告書が出されました。なお、「警告」は日弁連として最も重いものです。
多くの方の傍聴を!
裁判所は世論の動向に無関係ではありません。むしろ、その動向に敏感であるといえます。
判決日には、多くの方が裁判所の中はもちろん、正門前もいっぱいにして下さい。それが何よりの原告への励ましであり、公正な裁判を求める裁判所へのアッピールになるのです。
編集後記
▽結審から5ケ月、ようやく判決日が決まりました。この期間が裁判所にとってどのような意味を持つのか判断はできません
▽「ピアノ裁判」も長い間待たされました。私たちは、ピアノ最高裁判決の影響を払拭すべく、2回に渡り、上申書を提出しました。やるべきことはやったという心境です
▽3年間に及ぶ長い裁判でした
▽どちらにしても、この裁判は、日本の裁判史上に残る裁判のひとつであることは確かです。
現役の先生の声
今、都立高校は職員会議での採決も禁止され、ものを言うことすら苦しくなっています。都教委は教育の自由を侵害し、学校を支配しようとしています。
そういう中で「予防訴訟」の9・21判決は、10・23通達を違憲・違法と断じ、私たちの思想良心の自由や生徒の教育を受ける権利を、はっきりと認めてくれました。暗闇に一すじの光を見たようです。
次はこの裁判です。私はあと1年で定年退職なので、とても他人事とは思えません。
「卒業式」と「嘱託」という二つの言葉が、ここ数年、特にこの数ヶ月、頭を巡っています。
東京地裁が「難波判決」に劣らぬ、歴史に残るすばらしい判決を出すことを心から望んでいます。(都立高校教諭・S.B)
『「君が代強制」解雇裁判通信』号外から
判決日 6月20日(水)ようやく判決日が裁判所から通知されました。この「解雇裁判」の判決の行方が、多方面から注目されています。裁判の経緯や争点を改めて追ってみます。
集合時間 12時30分
場所 東京地裁正門前 交通地下鉄霞ヶ関下車
法廷 103号法廷
開廷 13時15分
報告集会は、裁判終了後弁護士会館で行います。
▼裁判の経緯 =他の道府県にない過酷な処分=
都教委は、2004年3月の都立高校の卒業式において、「国歌斉唱時に起立しなかったのは職務命令違反である」との理由で、4月1日からの勤務をひかえた2日前の3月30日、8人の再雇用合格と、1人の非常勤講師採用を取り消しました。これは、これまでに前例のない過酷な処分であり、解雇そのものです。
これに対して、同年6月17日、解雇された9人の元教員は「地位確認等」を求めて東京地裁に提訴しました。翌年1人が加わり、現在、以下の10人が原告です。
これまでに15回に及ぶ口頭弁論が行われ、昨年の12月27日、結審しました。
原告団
相田尭夫(小岩高校)薄井利夫(忍岡高校)太田淑子(小岩高校)金子潔(世田谷泉高校)桐生早苗(高島高校)久保田正雄(工芸高校)蔵野博(志村高校)近藤光男(新宿山吹高校)平松辰雄(農芸高校)前川鎮男(小岩高校)()内は処分時の学校
▼「難波判決」に続く裁判 =裁かれるのは「10・23通達」の違憲・違法性だ=
06年9月21日、東京地裁(難波裁判長)は「10・23通達」、「実施指針」に基づく職務命令は、憲法19条の「思想・良心の自由」に反し、教育基本法(旧)10条の禁止する「教育の不当な支配」に当たり、違憲・違法であると断じました。
解雇裁判は、この予防訴訟に続く、「具体的事例」の裁判ということになります。横山洋吉元教育長などの証人尋問で明らかになった「強制の実態」を、裁判所がどうみるか注目されます。
「通達に基づいた職務命令の強制に対し、40秒間静かに座っていたという行為は、憲法19条思想・良心の自由の範曙にある」これが私たちの主張です。
▼現役にも直結する定年後の雇用を守る裁判 =再雇用合格取消は、労基法上の解雇権濫用か=
定年後の雇用として、東京都には、「再任用制度」と「再雇用制度」があります。一般的には「再任用」が主ですが、東京都では再雇用制度を設けているのです。
この「再雇用制度」は、労働条件としては、労基法が適用されています。
例えば、その手引きに「政治活動の自由である」というように、公務員法の適用はありません。非常にユニークな制度だといえます。しかし、建前は1年ごとの更新という「非正規労働」です。
私たちは、再雇用と銘打っていることからみても、使用者との関係は「雇用関係」であり、労基法が適用され、合格取消は解雇権の濫用であると主張しています。
公務員はすべて「任用」であり、「行政処分」であるとする従来の考えに風穴を開けられるのか、注目されるところです。
たとえ、「行政処分」であるとしても、「再雇用」では、従来、停職処分を受けた者を含めてほぼ希望者の全員が採用され、更新されているという実績から、「合格取消」は、解雇権濫用の法理が類推適用されるという、主張も行っています。
年金制度の改悪で、5年間「無年金」というのもそんな遠いことではありません。定年後の生活保障は切実です。「生き甲斐」の保障としても再雇用制度は重要です。
公務関係・非正規労働者にも関係する裁判
再雇用制度は、名目は「1年ごとの更新で5年間が限度」という「非正規労働」です。
私たちのように、使用者の恣意的判断で解雇されてはたまったものではありません。
現在、公務員の労働現場には多くの「非正規労働者」が働いています。また、民営化路線の影響で、その割合は増えることはあっても減ることはありません。安心して働ける職場の確保は重要です。
日弁連も人権侵害を認定 =都教委に警告書=
○「10・23」通達は教職員の思想良心の自由及び教育の自由を侵害するものとして違憲!
○通達を直ちに廃止すること!
○戒告処分、再雇用合格取消決定を取り消すこと!
2006年、解雇裁判の原告2人を含む、5人の教員・元教員は日本弁護士連合会に対し、都教委の「日の丸」・「君が代」の強制に関する一連の処分が人権侵害にあたると、「人権救済の申立」を行いました。
その結果が2007年2月20日、日本弁護士連合会会長名で、東京都教育委員会に警告書が出されました。なお、「警告」は日弁連として最も重いものです。
多くの方の傍聴を!
裁判所は世論の動向に無関係ではありません。むしろ、その動向に敏感であるといえます。
判決日には、多くの方が裁判所の中はもちろん、正門前もいっぱいにして下さい。それが何よりの原告への励ましであり、公正な裁判を求める裁判所へのアッピールになるのです。
編集後記
▽結審から5ケ月、ようやく判決日が決まりました。この期間が裁判所にとってどのような意味を持つのか判断はできません
▽「ピアノ裁判」も長い間待たされました。私たちは、ピアノ最高裁判決の影響を払拭すべく、2回に渡り、上申書を提出しました。やるべきことはやったという心境です
▽3年間に及ぶ長い裁判でした
▽どちらにしても、この裁判は、日本の裁判史上に残る裁判のひとつであることは確かです。
現役の先生の声
今、都立高校は職員会議での採決も禁止され、ものを言うことすら苦しくなっています。都教委は教育の自由を侵害し、学校を支配しようとしています。
そういう中で「予防訴訟」の9・21判決は、10・23通達を違憲・違法と断じ、私たちの思想良心の自由や生徒の教育を受ける権利を、はっきりと認めてくれました。暗闇に一すじの光を見たようです。
次はこの裁判です。私はあと1年で定年退職なので、とても他人事とは思えません。
「卒業式」と「嘱託」という二つの言葉が、ここ数年、特にこの数ヶ月、頭を巡っています。
東京地裁が「難波判決」に劣らぬ、歴史に残るすばらしい判決を出すことを心から望んでいます。(都立高校教諭・S.B)
『「君が代強制」解雇裁判通信』号外から
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