●ポスト小泉でどうなる日本●
現場見た分析足りぬ
陰山英男・立命館小副校長に聞く
学力低下の最大の理由は、学校ではなく、家庭生活が崩れていることにある。学力向上にまず必要なのは「早寝、早起き、朝ご飯」の基本的な生活習慣を身につけることだ。
山口県山陽小野田市では今年四月から、子どもに生活習慣を身につけさせるプロジェクトを始めた。その調査では、テレビを五時間以上見る子や、朝ご飯を食べない子の方が成績が悪いという結果が出ている。
現場の感覚として、生活習慣が人間の脳の成長に大きく影響するのは間違いない。
しかし、各候補者は基礎学力の充実を指摘していながら、生活習慣に言及している人はいない。生活習慣の改善が教育改革成功のカギで、すべての出発点。学校がただ学習内容を増やしても、学力は向上しない。
一方、読み書き、計算の能力を習得するのは、谷垣氏が唱えるように世界一を目指す必要はないが、極めて重要だ。反復学習で基礎的な学力が身につくうえ、脳を鍛えて知能指数を上げる効果もはっきりしている。
これに対して安倍氏の政策は、実際に何をするのか見えてこない。教育関連の首相直属組織を創設するようだが、よく分からない。現状の分析をしていないことが、最大の問題だ。
そこで具体策を決める際には、ぜひ現場を見てほしい。成績のいい学校では、どんな教育を行っているのか、答えは現場にある。
国のリーダーの考えは受け止めたい。だから、現場を高度に分析したうえで決断し、結果には責任を持ってほしい。(談)
『東京新聞』2006/9/9朝刊
教育への公的支出率
日本、最低の3.7%
OECD加盟30ヶ国
私費負担は高率
経済協力開発機構(OECD)が加盟20ヶ国の2003年国内総生産(GDP)に対する教育費の公的支出割合を調査したところ、日本は3.7%でトルコと並び最低だったことが十二日、分かった。
私費負担も含めた教育費全体のGDP比も4.8%(平均6.3%)と最低水準だった。
調査には三十カ国中ルクセンブルクを除く29ヶ国が回答した。
調査結果によると、公的支出の割合は北欧諸国が高く、デンマーク8.3%、アイスランド7.8%、ノルウェーが7.6%だった。英米仏三国も5%を超えた。
日本の公的支出の割合は1995年の調査でもトルコ、ギリシャに次ぐ低率だった。
一方、日本は教育費に対する私費負担の割合が25.9%と、韓国、米国、オーストラリアに次いで高かった。中でも三歳以上の幼児教育は49.4%(OECD平均18.5%)、大学は60.3%(同23.6%)と韓国に次ぐ高率。
公費が少ない分国民が私的に賄っている実態が浮き彫りになっている。
OECDのアンドレアス・シュライヒャー指標分析課長は「各国の状況を見ると、子どもの個性を伸ばし多様なニーズに応じる努力をしている国の教育水準が急速に高くなっている。そうした取り組みを保障するのに教育費は重要だ」と指摘している。
『東京新聞』2006/9/13朝刊
現場見た分析足りぬ
陰山英男・立命館小副校長に聞く
学力低下の最大の理由は、学校ではなく、家庭生活が崩れていることにある。学力向上にまず必要なのは「早寝、早起き、朝ご飯」の基本的な生活習慣を身につけることだ。
山口県山陽小野田市では今年四月から、子どもに生活習慣を身につけさせるプロジェクトを始めた。その調査では、テレビを五時間以上見る子や、朝ご飯を食べない子の方が成績が悪いという結果が出ている。
現場の感覚として、生活習慣が人間の脳の成長に大きく影響するのは間違いない。
しかし、各候補者は基礎学力の充実を指摘していながら、生活習慣に言及している人はいない。生活習慣の改善が教育改革成功のカギで、すべての出発点。学校がただ学習内容を増やしても、学力は向上しない。
一方、読み書き、計算の能力を習得するのは、谷垣氏が唱えるように世界一を目指す必要はないが、極めて重要だ。反復学習で基礎的な学力が身につくうえ、脳を鍛えて知能指数を上げる効果もはっきりしている。
これに対して安倍氏の政策は、実際に何をするのか見えてこない。教育関連の首相直属組織を創設するようだが、よく分からない。現状の分析をしていないことが、最大の問題だ。
そこで具体策を決める際には、ぜひ現場を見てほしい。成績のいい学校では、どんな教育を行っているのか、答えは現場にある。
国のリーダーの考えは受け止めたい。だから、現場を高度に分析したうえで決断し、結果には責任を持ってほしい。(談)
『東京新聞』2006/9/9朝刊

教育への公的支出率
日本、最低の3.7%
OECD加盟30ヶ国
私費負担は高率
経済協力開発機構(OECD)が加盟20ヶ国の2003年国内総生産(GDP)に対する教育費の公的支出割合を調査したところ、日本は3.7%でトルコと並び最低だったことが十二日、分かった。
私費負担も含めた教育費全体のGDP比も4.8%(平均6.3%)と最低水準だった。
調査には三十カ国中ルクセンブルクを除く29ヶ国が回答した。
調査結果によると、公的支出の割合は北欧諸国が高く、デンマーク8.3%、アイスランド7.8%、ノルウェーが7.6%だった。英米仏三国も5%を超えた。
日本の公的支出の割合は1995年の調査でもトルコ、ギリシャに次ぐ低率だった。
一方、日本は教育費に対する私費負担の割合が25.9%と、韓国、米国、オーストラリアに次いで高かった。中でも三歳以上の幼児教育は49.4%(OECD平均18.5%)、大学は60.3%(同23.6%)と韓国に次ぐ高率。
公費が少ない分国民が私的に賄っている実態が浮き彫りになっている。
OECDのアンドレアス・シュライヒャー指標分析課長は「各国の状況を見ると、子どもの個性を伸ばし多様なニーズに応じる努力をしている国の教育水準が急速に高くなっている。そうした取り組みを保障するのに教育費は重要だ」と指摘している。
『東京新聞』2006/9/13朝刊
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