★ バラエティ番組、過敏症取り上げる
~「アメリカの病気」と放送 (電磁波研会報)
大阪のテレビ局毎日放送(MBS)が制作し、TBS系で全国放送されているバラエティ番組「林先生が驚く初耳学!」の9月27日放送回の中で、米国で電磁波利用が禁止されている町と、電磁波過敏症とが取り上げられました。
番組タイトルの「林先生」とは、予備校講師でテレビで見ることも多い林修さんのこと。博識の林さんでも知らないかもしれない話題を番組中でいくつか紹介するという趣向のようです。
会報前号でご案内した通り、この番組のために当会の大久保事務局長がMBSからインタビューを受けていました。ところが、放送3日前に「電磁波過敏症についての放送時間が少なくなったため、大久保さんの映像はカットとなりました」と電話がありました。
「仕事を休んで赤坂サカスまで足を運んだのに、納得できない」と抗議したところ、翌日、プロデューサーが事務局長の自宅へ謝罪に来ました。
番組を実際に作っているプロデューサーらは下請け会社で、ほほ出来上がった段階で毎日放送の正社員が口をはさむという仕組みだと説明がありました。
番組では電磁波過敏症について「アメリカの病気」とナレーションが流れ、日本にも発症者がいることを黙殺している点で問題がある内容でした。事務局長のカットも、このあたりと関係があるのかもしれません。
一方で、米国取材は興味深い内容でした。番組の概要をご紹介します。【会報編集担当】
「初耳コンシェルジュ」大政絢(以下「コン」)
林先生、これ知ってますか?
〈ここからロケ映像〉
男性ナレーター(以下「男ナ」)
さっそく問題。林先生が詳しく解説できなかったら「初耳学」に認定です。アメリカには、携帯電話を絶対に使えない町がある。その町はアメリカならどこにでもありそうな普通の田舎町ですが…。
マイケル・ホルスタインさん(以下「ホル」)
携帯電話もタブレットも、ここは電波を出すあらゆる家電が禁止されている町なんだよ。
男ナ
この町では携帯電話が圏外に。これは現代の情報社会では致命的。
ホル(MBS玉巻映美アナウンサーに)
君たちも電波を出す機材を持っていたら試しに使ってみなよ。
男ナ
(玉巻アナが)電波を発信するワイヤレスマイクのスイッチを入れてみると、5分もたたずに(アンテナをたくさん付けた白いライトバンがクラクションを鳴らしながら近づいて来た)。
ホル
君たちの電波が探知されたんだよ。
男ナ
なにやら恐そうな車が登場。そして中には屈強な男。
車から降りてきた男性(電波パトロール隊・チャックさん)
君たち、何か電波の出る機械を使っているだろ。ここで電波を使ったらダメだと知らないのか?
ホル
ほら、怒られただろ。
男ナ
実はこの人、町中の電波を取り締まるためにパトロールをしているそう。車に積んだレーダーで電波をキャッチ。電波を出している人を見つけたら、厳しく注意しているんです。
女性住民
ここでは使えないから、携帯電話は持っていないわ。
男性住民
携帯電話を持っていても、この町で使う人はいないよ。
〈ここからスタジオ〉
男ナ
さあ、林先生、この町でなぜ携帯電話の使用が禁止されているのか、その理由をお答えください。
林
微弱な電波が出ることによって妨害されるような研究をしている施設があるんです、あの町に。
コン
林先生、ちなみにそれは何の施設ですか?
林
重力波とか、物理学系統の研究施設だったと思うんですけどね。
〈ここからロケ映像〉
男ナ
大都会・ニューヨークから車で8時間。携帯電話の使用が禁止されているのはウエストバージニア州にあるグリーンバンクという人口150人ほどの小さな田舎町。町に着いた我々は、その電波規制の厳しさに驚かされた。
町中には、確かに電波や電磁波を禁止する看板が。携帯電話以外にも、我々の生活に欠かせないものが禁止されているんです。
たとえば、電子レンジ。これは強い電磁波を発生させるので、原則使用禁止。この町では鉄の箱に入れて電磁波が外に漏れないようにする必要があります。さらに自動車にも規制が。
ホル
この町では基本的にガソリン車は禁止なんだ。
男ナ
エンジンをかける際にプラグから電磁波が発生するので、町中ではガソリン車が禁止。代わりに、プラグでエンジンを点火しないディーゼル車に乗り換えなくてはいけません。さらに…。
女性店員
この町ではデジタルカメラも禁止です。代わりにフィルムのカメラを使ってください。
男ナ
デジタルカメラは電磁波が発生するために使用禁止。このように携帯電話の使用や電磁波が厳しく規制されているのは、ある物がこの町にあるから。それは…。
玉巻アナ
うわ、これ、大きいですね~。
ホル
これは世界最大級の電波望遠鏡なんだよ。
女性ナレーター(以下「女ナ」)
高さ約150m、パラボラ部分は幅約100mもあり、可動式の望遠鏡としては世界最大の大きさを誇ります。
ホル
これは電波を使って宇宙の観測をする世界最高峰の望遠鏡なんです。宇宙にある電波をキャッチして今迄見えなかった星の観測が出来るんです。
女ナ
グリーンバンクは1958年から国指定の電波規制地区にあり宇宙観測の拠点となっている町。この望遠鏡の妨害とならないように,電波を初めとする電磁波が厳しく規制されているというわけなのです。
男ナ
その観測は、たとえば何万光年も離れた星の誕生を探知したり、目では見えないブラックホールの研究、さらに今年7月には自然界にはない人工電波を探知し地球外生命体を探す一大プロジェクトが始動。理論物理学者のホーキング博士や、フェイスブック創始者のマーク・ザッカーバーグなど各界の著名人も資金を提供し、10年間124億円にも及ぶ過去最大規模の宇宙探索「ブレイクスルー・リスンプロジェクト」がここで行われるのです。
ホル
私はこれで宇宙人も発見できると信じています。それぐらい重要な望遠鏡なんですよ。
男ナ
そして、この電波を使えない町が近年、宇宙観測とは違う理由で注目を集めるようになっています。それは、先進国アメリカが抱える意外な健康問題。
女性住民
最近は電磁波過敏症の人たちがこの町に引っ越してくるようになったわ。
女ナ
送電線や、さまざまな電気製品から出る電磁波を浴びると頭痛や吐き気、目まいなどの症状を訴える人を電磁波過敏症と言います。われわれが使うあらゆる電気製品から出ているのが電磁波。アメリカでは携帯電話や電子レンジ、人によっては蛍光灯の電磁波でも体調を崩してしまうというのですが、これが正式な病気だと認知されていません。
男ナ
しかし、実際グリーンバンクに引っ越して、体調が良くなったと感じる人がいるのも事実。
男性発症者
この手の震えは自分でコントロールできないんです。電磁波の影響で脳がやられていて、勝手に震えるんです。ただ、これでもだいぶ良くなったんですよ。私と同じような症状を訴える人が何人もこの町に引っ越してきて、ずっと苦しんでいた頭痛や吐き気から解放されているんです。この町は我々にとっての一つの希望なんです。
男ナ
電波が使えない町は一見不便そうですが現代のアメリカ社会では移住してくる人もいる町なんです。
〈ここからスタジオ〉
コン
というわけで先生、研究施設を答えられなかったので、「初耳ボタン」を押してください。
林
いや、これは記事を読んだんですよ。電磁波過敏症の話も知ってて。ただ施設だけポカッと(記憶から)抜けて…。
『電磁波研会報 97号』(2015/11/29)
~「アメリカの病気」と放送 (電磁波研会報)
大阪のテレビ局毎日放送(MBS)が制作し、TBS系で全国放送されているバラエティ番組「林先生が驚く初耳学!」の9月27日放送回の中で、米国で電磁波利用が禁止されている町と、電磁波過敏症とが取り上げられました。
番組タイトルの「林先生」とは、予備校講師でテレビで見ることも多い林修さんのこと。博識の林さんでも知らないかもしれない話題を番組中でいくつか紹介するという趣向のようです。
会報前号でご案内した通り、この番組のために当会の大久保事務局長がMBSからインタビューを受けていました。ところが、放送3日前に「電磁波過敏症についての放送時間が少なくなったため、大久保さんの映像はカットとなりました」と電話がありました。
「仕事を休んで赤坂サカスまで足を運んだのに、納得できない」と抗議したところ、翌日、プロデューサーが事務局長の自宅へ謝罪に来ました。
番組を実際に作っているプロデューサーらは下請け会社で、ほほ出来上がった段階で毎日放送の正社員が口をはさむという仕組みだと説明がありました。
番組では電磁波過敏症について「アメリカの病気」とナレーションが流れ、日本にも発症者がいることを黙殺している点で問題がある内容でした。事務局長のカットも、このあたりと関係があるのかもしれません。
一方で、米国取材は興味深い内容でした。番組の概要をご紹介します。【会報編集担当】
「初耳コンシェルジュ」大政絢(以下「コン」)
林先生、これ知ってますか?
〈ここからロケ映像〉
男性ナレーター(以下「男ナ」)
さっそく問題。林先生が詳しく解説できなかったら「初耳学」に認定です。アメリカには、携帯電話を絶対に使えない町がある。その町はアメリカならどこにでもありそうな普通の田舎町ですが…。
マイケル・ホルスタインさん(以下「ホル」)
携帯電話もタブレットも、ここは電波を出すあらゆる家電が禁止されている町なんだよ。
男ナ
この町では携帯電話が圏外に。これは現代の情報社会では致命的。
ホル(MBS玉巻映美アナウンサーに)
君たちも電波を出す機材を持っていたら試しに使ってみなよ。
男ナ
(玉巻アナが)電波を発信するワイヤレスマイクのスイッチを入れてみると、5分もたたずに(アンテナをたくさん付けた白いライトバンがクラクションを鳴らしながら近づいて来た)。
ホル
君たちの電波が探知されたんだよ。
男ナ
なにやら恐そうな車が登場。そして中には屈強な男。
車から降りてきた男性(電波パトロール隊・チャックさん)
君たち、何か電波の出る機械を使っているだろ。ここで電波を使ったらダメだと知らないのか?
ホル
ほら、怒られただろ。
男ナ
実はこの人、町中の電波を取り締まるためにパトロールをしているそう。車に積んだレーダーで電波をキャッチ。電波を出している人を見つけたら、厳しく注意しているんです。
女性住民
ここでは使えないから、携帯電話は持っていないわ。
男性住民
携帯電話を持っていても、この町で使う人はいないよ。
〈ここからスタジオ〉
男ナ
さあ、林先生、この町でなぜ携帯電話の使用が禁止されているのか、その理由をお答えください。
林
微弱な電波が出ることによって妨害されるような研究をしている施設があるんです、あの町に。
コン
林先生、ちなみにそれは何の施設ですか?
林
重力波とか、物理学系統の研究施設だったと思うんですけどね。
〈ここからロケ映像〉
男ナ
大都会・ニューヨークから車で8時間。携帯電話の使用が禁止されているのはウエストバージニア州にあるグリーンバンクという人口150人ほどの小さな田舎町。町に着いた我々は、その電波規制の厳しさに驚かされた。
町中には、確かに電波や電磁波を禁止する看板が。携帯電話以外にも、我々の生活に欠かせないものが禁止されているんです。
たとえば、電子レンジ。これは強い電磁波を発生させるので、原則使用禁止。この町では鉄の箱に入れて電磁波が外に漏れないようにする必要があります。さらに自動車にも規制が。
ホル
この町では基本的にガソリン車は禁止なんだ。
男ナ
エンジンをかける際にプラグから電磁波が発生するので、町中ではガソリン車が禁止。代わりに、プラグでエンジンを点火しないディーゼル車に乗り換えなくてはいけません。さらに…。
女性店員
この町ではデジタルカメラも禁止です。代わりにフィルムのカメラを使ってください。
男ナ
デジタルカメラは電磁波が発生するために使用禁止。このように携帯電話の使用や電磁波が厳しく規制されているのは、ある物がこの町にあるから。それは…。
玉巻アナ
うわ、これ、大きいですね~。
ホル
これは世界最大級の電波望遠鏡なんだよ。
女性ナレーター(以下「女ナ」)
高さ約150m、パラボラ部分は幅約100mもあり、可動式の望遠鏡としては世界最大の大きさを誇ります。
ホル
これは電波を使って宇宙の観測をする世界最高峰の望遠鏡なんです。宇宙にある電波をキャッチして今迄見えなかった星の観測が出来るんです。
女ナ
グリーンバンクは1958年から国指定の電波規制地区にあり宇宙観測の拠点となっている町。この望遠鏡の妨害とならないように,電波を初めとする電磁波が厳しく規制されているというわけなのです。
男ナ
その観測は、たとえば何万光年も離れた星の誕生を探知したり、目では見えないブラックホールの研究、さらに今年7月には自然界にはない人工電波を探知し地球外生命体を探す一大プロジェクトが始動。理論物理学者のホーキング博士や、フェイスブック創始者のマーク・ザッカーバーグなど各界の著名人も資金を提供し、10年間124億円にも及ぶ過去最大規模の宇宙探索「ブレイクスルー・リスンプロジェクト」がここで行われるのです。
ホル
私はこれで宇宙人も発見できると信じています。それぐらい重要な望遠鏡なんですよ。
男ナ
そして、この電波を使えない町が近年、宇宙観測とは違う理由で注目を集めるようになっています。それは、先進国アメリカが抱える意外な健康問題。
女性住民
最近は電磁波過敏症の人たちがこの町に引っ越してくるようになったわ。
女ナ
送電線や、さまざまな電気製品から出る電磁波を浴びると頭痛や吐き気、目まいなどの症状を訴える人を電磁波過敏症と言います。われわれが使うあらゆる電気製品から出ているのが電磁波。アメリカでは携帯電話や電子レンジ、人によっては蛍光灯の電磁波でも体調を崩してしまうというのですが、これが正式な病気だと認知されていません。
男ナ
しかし、実際グリーンバンクに引っ越して、体調が良くなったと感じる人がいるのも事実。
男性発症者
この手の震えは自分でコントロールできないんです。電磁波の影響で脳がやられていて、勝手に震えるんです。ただ、これでもだいぶ良くなったんですよ。私と同じような症状を訴える人が何人もこの町に引っ越してきて、ずっと苦しんでいた頭痛や吐き気から解放されているんです。この町は我々にとっての一つの希望なんです。
男ナ
電波が使えない町は一見不便そうですが現代のアメリカ社会では移住してくる人もいる町なんです。
〈ここからスタジオ〉
コン
というわけで先生、研究施設を答えられなかったので、「初耳ボタン」を押してください。
林
いや、これは記事を読んだんですよ。電磁波過敏症の話も知ってて。ただ施設だけポカッと(記憶から)抜けて…。
『電磁波研会報 97号』(2015/11/29)
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