大阪大学でアート・メディア論や演劇学を勉強中の 院生3人が4日間
インターンシップとして、劇場・劇団業務を経験。
ピッコロ劇団公演「小さなエイヨルフ」を観劇して書いたPR文をご紹介します。
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「小さなエイヨルフ」は、あなたの中のイプセンを、今、目覚めさせる!
人間のエゴ、憎しみさえ引き起こす激しい愛。
誰もが心の奥底に静かに眠らせている葛藤の炎をイプセンはあぶり出し、
ピッコロ劇団の俳優が舞台の上で、あなたの代わりに悶絶する!!
滝尻浩士
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「子は鎹(かすがい)」って本当ですか?
舞台はノルウェー。
愛息子を事故で失ったことから夫婦の仲に亀裂が入る。
夫の妹を巻き込み、罪の意識と歪んだ愛が倒錯していく。
彼らは子供を確かに愛し、確かに憎んでいた。
「子は鎹」って本当ですか?
巨匠イプセン作『小さなエイヨルフ』を通じて、その答えを見つけて下さい。
松並百合愛
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「愛」という漢字を見てみると、これが3つの部分に分かれていることに気付くだろう。
一番上の部分は胸がいっぱいで仰け反る人の姿を象形している。
真ん中には人の気持ちを示す「心」がある。
ここまでなら愛というものが、ただ人のことを思いやるものに見えるかもしれないが、
しかし一番下には「あしずり」が、すなわち歩みも滞るような苦しみの様子が示されている。
そう「愛」には苦しみが伴う。
「小さなエイヨルフ」がその劇中で描くのは「愛」と言うものの、そういった一側面である。
愛しいと思う気持ちが胸に溢れれば、人はそれに溺れて苦しむことになる。
ただそれでも捨てられるものではない。
登場人物たちが抱く「愛」は一通りではなく、苦しみも一通りではない。
どんなに苦しもうとも彼らが「愛」を捨てようとしないのはなぜか、水の中で目を開いたままもがくのはなぜなのだろうか。
新井 静