りぼん観音の不退寺から一山越えて京都に入る。
木津川沿いは昔から名刹・古刹が多いことで知られている。
木津川は伊賀を水源として昔は大河であって、その周辺に
多くの寺院が建てられた。南山城は三方を大阪、三重、
奈良、滋賀の4県に囲まれ、この地は
古くから東海、北陸、山陽、山陰に至る街道につづく道として
人や物資が往来したようだ。その担い手のひとつが木津川
の流れでもある。
また木津川は万葉に時代、泉川とも呼ばれ、活気に満ちていた
そして川を利用して寺院建立の材料である木材を筏に組んで
運んだんであろう。
そんな木津川沿いには古から寺院が建てられ長閑な田園風景に
しっくりと馴染んで今にその姿を残している。
まずは九体阿弥陀で有名な浄瑠璃寺へ。
東に三重塔が建ち、池を挟んで西には本堂(阿弥陀堂)が建つ、なんとも
長閑でなんの策略も無く、ただただ静かで、落ち着く古刹である。
この配置は人間の一生をも現しており、生まれて(東)、死ぬ(西)へと
流れていく。東は薬師如来の現世利益で死ねば西へ(浄土の世界)
阿弥陀如来が導いてくれる。
そんな世界を表わしている。
阿弥陀堂
石塔も重文指定されている。(二つとも)
九体阿弥陀像
脇仏8体は高さ138~143CMあり国宝に指定されている。
本堂の長い須弥壇上に並ぶ九体の阿弥陀如来坐像、中尊だけが来迎印を結び
他の8体は定印を結ぶ。浄土信仰は来世を阿弥陀浄土に往生することを勧める。
来迎印を結ぶ中尊阿弥陀
吉祥天立像(秘仏)鎌倉時代の作で唐美人を思わせる魅力的な像である。
雨がしとしと降るなか、静かにあくまで静かに時間が過ぎた。