90年代前半に映画青年であったならば、
必ず「良いよねぇ」と言わなければならなかった映画
「ポンヌフの恋人」をご存知か。
おフランス監督レオス・カラックスの
「ボーイ・ミーツ・ガール(1983)」
「汚れた血(1986)」に続く
アレックス三部作といわれる映画の
最後を飾る力作でございます。
正直私、当時さっぱり解りませんでした。
おそらく、今観てもさっぱりだと思いますけども。
この「さっぱり顔」をいかに「解ったような顔」に変えるかで
当時の映画青年たちの周囲からの扱われ方が変るのです。
これはカラックス作品に限らず、多くのヨーロッパ映画に共通する
難題でありまして、ジャン=ジャック・ベネックス(ベティ・ブルー)
等も代表的な監督であります。
勿論、とても良い作品は沢山ありますけどね。
パトリス・ルコント(「仕立て屋の恋」とか)なんか大好きですし。
まぁ映画学校ともなれば「解ったような顔」だらけでありまして、
何も解らなかった私は何とか話を合わせるので精一杯した。
「ダイハード最高!」なんて、口が裂けても言えない雰囲気。
そこが気味の悪いところ。
「どっちも面白いのあるだろうし観ろよ!」ってひねくれてました。
が、
その後、私も流れに流され、
頭カチカチの時期に突入するのですがね。。。
この「ポンヌフ」ですがね、話自体は「う~ん、よく解らん」ってな
ものでしたが、不思議な力がありまして、
なんだろう。。。スクリーンから発せられるエネルギー量が
半端じゃないのです。
「重たい」と言ってしまえばそれまでなんですが、
普段「重たい!」で片付けてしまう作品とは明らかに違う「何か」がある。
生々しさと嘘臭さに目眩がしつつも。
ジュリエット・ビノシュの、
美人ではないんだけど。。。な「何か」も。
話もよく解らん
登場人物にも共感できん
だのに、惹きつけられる「何か」がある。
僕にとってはとても不思議で、思い出深い映画なのでありました。
観る時は、あまり疲れていない夜にしっかり睡眠を取ってからに
した方が良いかと思います。
あぁ、文章ふわふわ。。。