幸せになりたい ・・・・
そう思う
愛されていたい ・・・・
そう 願っていた
でも 今は
誰かを 愛したい
愛の想いで
幸せにしてあげたい
そう 願っているみたいだ
ある美しい朝、如何にも優しげな人々の間にたち交って、
見事な男女が、広場で叫んでいた、
「皆さん、私は彼女(これ)を女王にしたいのだ」
「妾(わたし)は女王様になりたい」。
女は笑い、身を振る顫(ふる)わした。
男は黙示に就いて、既に了(おわ)った試煉に就いて、
人々に語った。
二人は抱き合って気が遠くなった。
ほんとうだった、家々には、紅色の布が張りわたされ、
二人は午前も王様だった。
棕櫚の園を進む時、午後も二人は王様だった。
王権 アルチュル・ランボオ 作 小林秀雄 訳
『大洪水』の記憶も漸く落ち著いた頃、
一匹の兎が、
岩おうぎとゆらめくつりがね草との中に足を停め、
蜘蛛の糸を透かして、
虹の橋にお祈りをあげた。
大洪水後 より アルチュル・ランボオ 作 小林秀雄 訳
愛のさざ波