悲しみが ・・・・
悲しみが ・・・・
悲しみが地にへばりつく
今の頃 北の方では
光りが少しばかり多くなり
うす紫の透明な空気の中で
人々は春の予感に こころをなごませる
その よろこびを破るように
因果の理法という神は
この地上をはげしく叩かれた
いかに偶業*といえども
こころ清く 優しく生きていた人も
愛の中に生きていた人も
この人生の幕を閉じられてしまう
この神計らいの中で
人々は何を学ぶのだろう
この地が 悲しみで包まれるとき
涙して途方に暮れる人々は
諸行無常の風に吹かれ
一杯の水を手ですくうように
自分の人生をすくい上げ 呆然として見つめている
ああ 悲しみが ・・・・
悲しみが ・・・・
悲しみが 地にへばりつく
この やるせなさをどうしようか
痛いほど肌を刺す
人々の悲しみを どうしようか
それでも 北の(まち)は
やがて 春が来て 花が咲きほころぶ
いかに 悲しみが深くても
やがて 春が来る
我もまた 愛する者を亡くし
呆然とした日々を過ごし 痛むこころで春を迎えたように
人々もまた
そのような春を迎えるのだろうか
突如として
悲しみがこころを切り裂く痛みを
顔色を変えずに感じていくのだろうか
この悲しみを
ただ祈ることしかできない僕は
この痛みに 思いをはせることしか
できないのです
Prelude Song Of The Gulls
* 偶業 (ぐうごう) 個人の業ではなくて、国民など団体が受ける業のこと