世にある日々

現世(うつしよ)は 愛おしくもあり 疎ましくもあり・・・・

諸行は無常 ・・・・

2011-10-03 | ひとりごと











そう 

あれからも 僕は変わり続けている

時が流れるのは
  自分が変わっていくこと ・・・・


時間があるから
明確にリズムは刻むことができんるんだ

だから
僕は リズムを刻み続ける


それが
僕が生きているということ






ある夕方
お月様がポケットの中へ自分を入れて歩いていた
坂道で靴のひもがとけた
結ぼうとしてうつむくとポケットからお月様がころがり出て
俄雨に濡れたアスファルトの上を
ころころころころ どこまでもころがっていった
お月様は追っかけたが
お月様は加速度でころんでゆくので
お月様とお月様との間隔が次第に遠くなった
こうしてお月様はズーと下方の青い靄の中へ自分を見失ってしまった





ある晩
黒猫をつかまえて鋏でしっぽを切ると
パチン! と黄色い煙になってしまった
頭の上でキャッ! という声がした
窓をあけると 尾のないホーキ星が逃げて行くのが見えた







ある晩
露台に白っぽいものが落ちていた
口へ入れると冷たくて カルシュームみたいな味がした
何だろうと考えていると
だしぬけに街上へ突き落とされた
とたん 口の中から星のようなものが飛び出して
尾をひいて屋根のむこうへ見えなくなってしまった
自分が敷石の上に起きたとき
黄色い窓が月下にカラカラとあざ笑っていた






昨夜
自分は夢に赤いホーキ星が
煙突や屋根を掠めて通ってきて
物干し場の竿にひっかかって落ちたのを見た

ところでけさ起きてしらべてみると
この赤いコッピーエンピツが落ちていたのである





                                一千一秒物語  稲垣足穂 より








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