世にある日々

現世(うつしよ)は 愛おしくもあり 疎ましくもあり・・・・

遙かなる飛鳥

2014-03-19 | ひとりごと









峠を越えたとき 目の前に大きな湖が拡がる
静かな湖の上を 水鳥が滑るように飛んでいる
聞こえてくるのは 鳥の鳴き声と風の音だけ・・・・

なぜか こんな風景を思い出す
あの頃は 今みたいに琵琶湖の周りは家もなく
水辺の植物が一面に生えていた

そして  僕は来る日も来る日も権力闘争に明け暮れる
この国を守ろうと戦っていた
壬申の乱の頃・・・・・・

飛鳥の思い出
心の中にある懐かしい僕の輪廻転生の一コマ

飛んでいる話から入ってしまったが
こんなことが懐かしく思い出されるのだ
きっと  ほかの人が聞いたら気がおかしいと思うだろう
でも  それを承知で書いてみた





この時代は  この国にとって大きなパラダイムシフトの時代
古代から続いている神道に仏教が入り込んできた時代だった
聖徳太子の冠位十二階の制定  十七条憲法の発布  三経義疏の著作
天武天皇の仏教の振興など画期的に政治制度が変わっていき
仏教がこの国に根付き始めた

以後  奈良時代 平安時代 鎌倉・室町と日本神道の上に
仏教文化が花開いていく

しかし 

この大きなパラダイムシフトの時代は日本の危機の時代でもあった
仏教伝来と共に大陸文化もこの国に入り込んできた
その恩恵を受け この国の文化も進んだものとなった
その恩恵を受けた者同士の権力闘争も激しくなってきた
豪族の中には娘を天皇の后にして政治的権力を手中にするものも出てきた
このような権力闘争の時代でもあった
その中で聖徳太子をはじめとする人々が
この国の徳ある政治を作り上げていった


この飛鳥という時代は
その中で非常に美しい文化を創り上げた
飛鳥仏はその代表的なものだと思う
僕は 法隆寺の夢違い観音が大好きだ
百済観音像 中宮寺の弥勒菩薩像
若い頃  何回も法隆寺に行き
いつも長い時間見とれていた


また  万葉集に載せられている歌人たちも飛鳥人だ
自然を  愛を  かなしみをおおらかに詠んだ歌の数々
しかも  歌を詠んだひとは天皇から名も無き人までいる
それが  この時代の文化がレベルの高い文化であることを示していると思う

特に  天皇の詠まれた美しい歌の背景には
先に書いた権力闘争の中での
この国の責任者としての悩み苦しみがある
このことを前提にして歌を読まなければ
歌の本当の意味はわからないと僕は思っている


飛鳥時代を思うとき
僕はこの国の底力を感じる
必要な異文化を飲み込み
いつの間にか自分の国の文化としてしまう
不思議な力がこの国にはある


僕の心の奥底にある懐かしい思い出
人が人としておおらかに生きてきた時代
この国が偉大なるものに挑戦した時代
そして  僕が情熱をもって駆け抜けた時代
遙かなる飛鳥 ・・・・