![]() | フライドポテトと戦闘機―オバマ時代のアメリカ事情円道 まさみ新日本出版社このアイテムの詳細を見る |
国民の変革の期待から大統領になったオバマさん。
自分自身も、共和党と民主党の2大政党の枠の中で首のすげ替えをやったところで、基本路線がガラッと変わるわけではな意図は思いつつ・・・でも、初の黒人大統領、イラクからの撤退、国内の問題でも医療や経済問題での積極的な発言、そして決定的だったのが核兵器廃絶のスピーチ。日本の原爆投下の問題にまで言及していることに、新しい可能性への期待も膨らんだものでした。まあ、そのころから、アフガニスタンへの増強とか、普天間問題もあったから、基本路線が変わったわけではないことは承知しながらも・・・ですが、それでも、アメリカの質的変化が表層化してきたとも思ったものです。
日本の鳩山さんの民主党政権ができたときの期待感は、0×100で、国民の声や運動によって民主党がいい意味で変質しない限り何の期待もなかったわけですが(国民の力で変質させることができるかもしれないという期待は大きかったけれど・・・)、それよりはぜんぜん期待していたわけです。
でも、この本を読んで、実際にアメリカにいる人にとって、その期待を結構裏切られていることがわかりました。マイケルムーアさんも裏切られたっていってるみたいだし。
黒人のオバマが大統領になれたこと自体が、アメリカの支配勢力の・・・白人の(?)想定内というか、許容範囲であったようです。黒人であっても、人種問題を出さずに、宗教団体に忠実にする人であれば、ようは、白人社会の中に溶け込む黒人は、利用価値があるということみたいです。
実際に、オバマに対するアメリカ国民の失望はかなりすごいみたいです。同時に、それが、ブッシュのときのような怒り、運動にならない、あきらめになっているところが、根が深そう。
本の題名のフライドポテトと戦闘機というのは、アメリカの航空ショーのエピソードからとってます。イラクやアフガンではその飛行機が人を殺して、それを見上げている人々は爆薬のにおいや人の焼けたにおい、その戦争のにおいをかいでいるわけだけれど、アメリカの航空ショーを見て喜んでいるアメリカ国民は、フライドポテトを食べながらその飛行機を見上げているというそのギャップがある。
あと、実際の医療の状況とか、貧困の状態とか、けっこう、すごい状況であることがよくわかります。
ひとりの人の主観とか考え方もあるので、そのままこの本でアメリカのすべてがわかるとか、これが本質とか、判断できないところもあるかもしれませんが、生活している一人の視点から、アメリカの状況を見ているので、かなりリアルな実態なのではないかと思います。