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内容(「キネマ旬報社」データベースより)
オリバー・ストーンが、アイゼンハワーからブッシュまで、歴代米国大統領10人と渡り合ってきたキューバ最高指導者、フィデル・カストロに迫るドキュメンタリー。「小さな強国」の指導者の素顔が明かされる。
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映画の中で、オリバーストーンの質問に答えるカストロにとても好印象を持ちました。
オリバーストーン自身がキューバの存在やカストロに対して好意的に思っていて、それでこういう映画になったとは思いません。最初の意図は、もしかしたら、キューバ、カストロの影の部分を暴き出そうと思っていたのかもしれません。いや、アメリカで言われているカストロ像が本当にそうなのか、ただ単に真実を知りたいだけかもしれませんが。
なんにしても、意図したかどうかにかかわらず結果的にとても肯定的に描かれていると思います。
アメリカで、上映禁止になったとちょっと聞きましたが、この程度の映画で禁止にしなくてはいけないほど、アメリカには弱みがあるのでしょうか。そんなアメリカ批判の映画ではないですからね。いや、結果的には、カストロを目の敵にするアメリカにとって都合の悪い映画であることは間違いないんだけれど・・・真実よりも、アメリカにとってどうかが優先されるわけですね。
インタビューに答えるカストロの姿勢がいいです。誠実さ、冷静さ、考え方、とても共感できるものになっていて、時にはユーモアもあり、2時間があっという間に過ぎていきました。
国の内情とか、民主主義の成熟度などはこの映画ではわからないところもあるし、キューバの状態を全面的に肯定するつもりもありませんが、インタビューの内容から、一革命家の戦い続ける姿勢、一政治家としての国を建て直すための努力はすさまじいものがあると思いました。信念、執念、怨念…よくわからないけど、ずっと一本筋を貫き通す人間の姿を感じました。
今テレビでガタガタやっている政治家のように、権力争いとか、利権で、中身もなく混乱させている人たちとは大違いです。
若い人たちへの人気もあることが映像では見られますが、(一緒に観た友達は、この映画に合わせて、演出したのかもしれないと言っていました。たしかにその可能性もあるしそこの真実はよくわからないけれど)政治家にあれだけ信頼を寄せられる国民ってうらやましいと思いました。
秘密警察みたいな話もちょっと出てましたけど、ブエナ・ビスタ…とか、この映画で見ているキューバの景色や人々からは、そんな空気は全く感じませんでした。
疑いだしたらきりがないですけどね。
少なくとも、この映画からは、そういう、否定的な「共産主義国家」の姿は感じませんでした。
カストロは革命に命をかけ、建国に人生をささげてる人だと感じます。
ゲバラのエピソードも出てきますが、ゲバラとは、最初の革命というところまでは共通の目的で一緒に戦ったけれども、革命が成功して、国をつくるという時点で2人の行動は大きく分かれている感じがします。ゲバラは、なんとなく、革命のための革命、国家転覆が自分の戦う意味だったのだと思います。そこが、今までキューバの国づくりを進めてきたカストロとは違います。
オリバーストーンの質問の組み立てもとてもよかったです。ただ流れを積み上げるのではなくて、いきなり違う質問をしたりして、相手が話の中身を頭で必要以上に組み立てられないようにして、いい意味で相手を困らせることに成功しているし、それをやったから、カストロの人間性が見えたのだと思います。退屈なインタビューにもなってないし。
このやり方で、オバマとか、ゴルバチョフとか、日本でいえば菅直人とか小沢一郎とか、小泉とか、インタビュー形式で映画を一本づつ作って比較したら、おもしろいかも。その時に、その人が本物なのか、それともメッキがはがれちゃうのか、わかっちゃうような気がするんだけど。
そういえば、記者会見で記者にキレる政治家が増えた気がしますが、それも、政治家がどんどん小物になってきている結果なのかもしれませんねえ…
どうでしょう。