党生活者を読みました。
日本共産党が戦争中、民主主義や侵略戦争反対を掲げていたために、国家にとって邪魔ものになり、弾圧されるわけですけど、そんな中で、工場のなかで、いかに世論を広げていくか・・・という話なんですが・・・
その工場内での闘いで、首切り反対の世論を作ったかと思うと、また、あいても、それに対して次の手を打ってくる。そしてそれを先読みして、こっちも新しい戦略を練る・・・結局最後は、大量解雇されてしまうのだけれど、最後の方に、この戦いで負けたわけではない。敵は知らず知らずに種をまいたのだ・・・みたいな文章があって…そこが良かったです。
もうひとつよかったのは、お母さんとのやり取りです。やっぱり、お母さんが出てくるとつらいです。
ただ、今読むと違和感があるのは、女の人との関係です。笠原さんって言ったかな?彼女の普通なところをかなり冷めた目で見ているのだけれど・・・同性のきっかけも、かなり自分中心で愛情とかを感じなくて、かなり割り切って利用しているようにも見えます。
ただ、よく見なくちゃいけないのは、時代と、小林多喜二の置かれた立場ですよね。
捕まらないようにするために、鉄の結束とでもいうのでしょうか、仲間を決して裏切らない、組織を決して裏切らない。自分自身も、社会進歩のために、自分の生活を捨てる決心というか…そういうものがそこまでのある意味、彼女に対する冷酷な見方になったのかなあ・・・と・・その先に新たな成長があったのかもしれないし…
この前、三浦綾子さんの「母」を読みましたが、多喜二自身は、そんな人じゃないと思うんですけど。