「そこを何とかボタン」で関係者席を融通していただき再びリゴレットを鑑賞してきた。
ジルダ役が先日素敵な歌声を聞かせてくれたPatrizia Ciofiに代わってロシア人ソプラノEkaterina Sadovnikovaに。最初はちょっとショックだったけれど、また、声質は2人大分違うようにも思ったけれど、演奏が終わる頃までには彼女の歌も十分楽しむことができた。
先日は1列目かぶりつきだったのだけれど、今日の席は1階(Stall)の後方、舞台に向かって左よりの通路沿い。席を融通して下さった方から、関係者席だから良い席だと思うよ、と言われていたが、確かに音がとてもバランスよく美しく聴こえる。前方で聴くと、歌手の迫力はびんびんと感じるものの、オケに関して言えば、細かい雑な部分まで聴こえたり、バランスが取れていなかったりするのだろう。
最初の序曲から迫力満点。「前回は何を感じていたのだろう、一番前で」と思うくらい、音楽に圧倒されたような気がする。また、歌手についても、今回の方がバランス良く聞こえ、ディミトリー・ホロストフスキーの少しくすんだような声質も、とても魅力的に思えた。マントヴァ公爵のWookyung Kimは相変わらず明るい声で、公爵様の悩みの無い役柄にぴったりに思われた。
後方なので字幕も良く見えた。歌詞を見てしまうと、そちらに思考が引きずられるので、できるだけ見ないようにするのだけれど、どこかで「Crying is no use」という言葉が出てきたときには、妙に納得してしまった。ま、涙の中には神経伝達物質が含まれていて、泣くことによって精神を安定させる作用があると言われているのだけれど、当時の人は知る由もなかったのだろうな。
同じパフォーマンスを違う席で同時に見聞することは不可能なので、どこが私にとってのROHのベストシートなのかわからないけれど、音響的にとてもよい席だったように思う。DEさん、本当にどうもありがとう。