──── 八王子で印鑑を作り続けて100年 ────
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
昨日、9月9日は「救急の日」救急業務や救急医療について一般の理解と認識を深め、救急医療関係者の士気を高める日。と、記念日の説明にありました。
それよりも、私には「重陽の節句」の方が先に頭に浮かんできます。奇数は古くから「陽」の数で、その「陽」の数の最高値「9」が重なって「重陽」です。菊の節句とも呼ばれ菊を飾ったり、菊を浮かせて酒を楽しんだとか。
今日は、印鑑の篆書(てんしょ)の文字の並べ方、について書いてみます。
まず、縦書き。
上から下に読むので読みやすいですね。ただ、見本字の「田島」の「田」は狭苦しくありませんが、横線の多い「島」は窮屈(きゅうくつ)な感じがします。漢字は横線が多い文字なので、縦書きにしたスペースに画数の多い字が来ると、狭苦しくなります。
2番目は、横書き。
縦書きの時にあった、「島」字の狭苦しさはなくなりました。
印鑑の場合、縦書き文書の最後に押したという慣例から右から左に読みます。理屈をいえばこれも縦書きで、1つの行に1文字のみ、それが2行になっている、という解釈もあります。この作品だと、普通は左から読むので「島田」と読んでしまう可能性も十分あります。見本にこの「田島」を選んで作ったのはこんな理由からです。苗字によって、2文字を右から読んでも左から読んでも、両方の苗字が存在すること、ままありますね。「田中」さんと「中田」さん。「川本」さんと「本川」さん。「山下」さんと「下山」さん、などなど。
3番目は、斜め書き。これは右上から左下に読みます。「田島」がすんなりと読めるのではないでしょうか。しかも、「島」字も楽に印鑑の中に納まっています。漢字のスタイルも人のスタイルと同じで、スマート、背が高い、足が長い、が格好いいものです。
日常、接客をしていて、お客様のお名前が画数の多い場合、横書きか、または斜め書きを
ご提案しています。狭苦しくない文字の印鑑は、長く使い込んでも朱肉の目詰まりも来にくい利点があります。
楽善堂のホームページ
http://rakuzendo.com
お返事、大変遅くなりすみません。
嬉しいコメント、ありがとうございました。