2018年のブログです
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土居健郎さんの『臨床精神医学の方法』(2009・岩崎学術出版社)を再読しました。
精神科デイケアのボランティアの合間に読んでいたら、面白くてやめられなくなり、メンバーさんそっちのけで(?)読んでしまいました(メンバーさん、ごめんなさい)。
久しぶりの再読で、あいかわらず、中身は覚えておらず、新鮮な気持ちで読んでしまいましたが、土居さんの晩年の論文と講演録からなっています。
特に、2007年の講演は、土居さんが講演としてはめずらしく症例とその治療体験をいくつもご紹介され、そのいずれもがとても感動的です。
指定討論者の藤山直樹さんが、土居先生は(面接の場で)ものすごく生きている、と感想を述べられていますが、その感想がすごく印象的です。
土居さんの嘘のない、正直な生き方のそのすごさが患者さんに伝わり、治療になるのだろうと思いました。
心理臨床の技術を学ぶことももちろん大切なのですが、患者さんに臨む決意とか思いとか、そういった治療者の姿勢がやはり大切なのだろうと、再認識させられました。
今回、もう一つ、気がついたのが、エヴィデンスに触れた箇所。
土居さんは、感じたことこそがエヴィデンス、と述べ、治療関係とそこで起こる変化の中にこそエヴィデンスはある、と言い切っておられます。
エヴィデンスでおろおろしているじーじなどには、気持ちのいいくらいの覚悟だと思いました。
転移や逆転移の中にこそひとつの真実があることを肝に銘記して、今後の臨床に臨みたいと、こころを新たに思いました。 (2018 記)
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2020年冬の追記です
じーじにしては早めの再読となりました。
今回は、土居さんの正直さということが印象に残りました。
失敗した症例もきちんと提示し、冷静に検討されます。
大家はみなさんそうですが、正直さということが大切なんだなと痛感します。
いい経験をさせていただきました。 (2020.1 記)