2021年1月のブログです
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統合失調症のひろば編集部編『こころの科学・山中康裕の臨床作法』(2020・日本評論社)を読みました。
2015年の中井久夫さんの『臨床作法』に続く第二弾。いい本です。
精神科医で遊戯療法家の山中康裕さんにまつわるお話が満載。
山中さんの論文はもちろんのこと、中山さんを京大に招かれた河合隼夫さんとの思い出話や学者仲間、後輩の学者さんのお話など、読んでいるととても楽しくなります。
例によって、中でもじーじの印象に残ったところを一つ、二つ。
一つめは、山中さんと精神科医で精神療法家の成田善弘さんの対談。
どこかに書いたかもしれませんが、お二人は中学校の同級生。
それぞれが別の大学の医学部に進み、精神科医となり、やがて成田さんは精神分析学会の会長となり、山中さんは箱庭療法学会や遊戯療法学会の会長になります。
専門の垣根を越えてお二人の交流は深く、それぞれがご自分の限界を意識しつつ、相手のすごさを認め合っておられる様子がすがすがしいです。
そして、お二人の周りには、気の合う学者さん、たとえば、精神科医で精神療法家の神田橋條治さんなども含めて、素敵な交遊関係が見られて、うらやましいかぎりです。
ふだんは、あまりプライベートなことをお話されない成田さんが、いろんなお話を楽しそうにされているのが印象的でした。
二つめは、山中さんと精神科医の中井久夫さんの往復書簡。
中井さんは名古屋市大医学部の助手だった山中さんらの推薦で名古屋市大医学部に助教授として赴任し、教授だった木村敏さんのもとで共に研究に励んだ仲。
いいお手紙のやりとりです。
特に、中井さんのお手紙は、ギリシャの詩人の翻訳もされているだけあって、落ち着きのある素敵な日本語で、感動的です。
お互いのことを思いやっている様子がうかがわれて、こちらもうらやましくなりました。
少しでも大家の人たちの世界に近づけるよう、さらに勉強をしていこうと思います。 (2021.1 記)