たぶん2017年のブログです
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子どもの精神科のお医者さんである小倉清さんと小林隆児さんの『こころの原点を見つめて-めぐりめぐる乳幼児の記憶と精神療法』(2015・遠見書房)を読みました。
なかなかすごい本です。
お二人が、精神科臨床での経験から、乳幼児体験の重要性と精神療法の可能性を論じていますが、びっくりすると同時におおいにうなづけるお話で、参考になります。
また、小倉さんの提出された四つの症例はどれもが壮絶で、臨床家としての覚悟を問われるようなものすごい症例です。
ふつう、統合失調症の発病期は思春期が多いといわれますが、小倉さんによれば、思春期になって病気がはっきりとするだけで、ていねいに見ていけば、もっと小さい頃からその兆候は掴める、といいます。
そして、小倉さんは、最近の医学部に入るための2歳児からの塾があったりする例をひいて、そのような現象に代表される親子関係の危険性を指摘します。
また、お二人の対談では、土居健郎さんを参考に、日常語で診断を考えることの大切さや患者さんの腑に落ちるような普通の言葉を大事にすることなどが強調され、臨床を行なう中でおおいに参考になります。
いつまでも、「熱く」、しかし、冷静に、細やかな感性を失わずに治療を続けていらっしゃる小倉さんを目のあたりにして、じーじもさらに真摯に臨床に取り組んでいかなければならないと反省をさせられた一冊でした。 (2017?記)