2019年春のブログです
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西園昌久さんの『精神分析技法の要諦』(1999・金剛出版)を再読しました。
これもすごく、というか、ものすごく久しぶりの再読です。
真面目そうな、堅実そうな印象の本でしたので、再読がつい遅くなってしまいました(西園さん、ごめんなさい)。
西園さんには思い出があり、今から20年以上前、新潟で家族療法学会があった時に、初めて講演をお聞きして、すごいな、と感心した記憶があります。
それまで学会などには背を向けていたのですが、本当にすごい人がいるんだな、と思い、その後、いくつかの学会に顔を出すきっかけをつくってくださいました(西園さん、ありがとうございます)。
それから何度かお話をお聞きしたり、本を読ませていただいて、勉強をさせてもらっていますが、その堅実な理論と豊富な症例には本当に感心させられます。
それは本書でも同様で、症例の豊富さには本当に驚かされますし、多少の失敗場面をもきちんとご紹介してくださる正直さには頭が下がります。
この点は土居健郎さんや藤山直樹さんなどにも共通をしますが、失敗場面をきちんと提示して、そこから学ぶ姿勢は、みなさんすごいと思いますし、見習いたい点です。
その他に印象に残った点としては、やはり、心理療法においては、いま、ここでのやりとりを、感情をこもった体験として行なうことの大切さということ。
その際に、できればユーモアを伴うことができればないよい、ということなどが述べられていて、いつも思っていることではありますが、再確認をしました。
さらに、今回気づいたのが、作業療法の大切さに触れている点。
頭だけでなく、手を使い、足を運び、体を動かすことの重要さを述べられていて、精神科デイケアでの実践や援助の学びになります。
大家からいろいろと大切なことを再び学び直し、少し勇気をいただいて、さらに学んでいきたいと思いました。 (2019.4 記)
どこの世界でもそうなのかもしれませんが、精神分析の世界では、すごい人ほど、自身の失敗を隠さず、そこから学び取る姿勢が際立っているように思います。
こういう真摯で、緊張感のある世界に少しでも近づきたいとじーじも思います。