2018年のブログです
*
樋口有介さんの『遠い国からきた少年』(2018・中公文庫)を読みました。
またまた樋口有介さんの小説、このところ小説ばかり読んでいて、専門書はほとんどほったらかしで、反省の日々です。
今回の小説は、弁護士事務所の美人シングルマザー調査員(本の帯には、美脚調査員とあります)が活躍をする推理小説。
この美人シングルマザー調査員は、少女時代にある事件から女子少年院に入り、そこで産んだ息子を女手一つで育てているという設定。
息子を食べさせるためなら汚い手も使いますが、生きていく哀しさを十分に知っているゆえに、辛い人生を生きている人の哀しみもわかる人物です。
美人なのに、とにかく痛快、料理は息子のほうがうまいのですが、何かとお母さんぶって笑えます。
ユーモアと哀しさで、世の中の悪に怒りまくります。
怒りの対象はさまざまですが、たとえば、少女アイドルグループで金儲けをしているおとな、容赦がないです。
さらには、アフリカの子どもたちを救う寄付金で儲けているおとな、こちらも容赦ないです。
北朝鮮の脱北者の問題も絡んで、事件は複雑、かつ、哀しく、しかし、主人公は粘り強く、絡まった糸を解いていきます。
おもしろいです。そして、痛快です。
小説だなー、とは思いますが、読後感は悪くありません。
ちなみに、文庫本の解説は奧田瑛二さん。
型破りですが、楽しい文章を読ませてくれました。 (2018 記)