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東直己『悲鳴』2001・角川春樹事務所-東直己さんの私立探偵・畝原シリーズの第3作です

2024年04月08日 | 北海道を読む

 2023年春のブログです

     *

 東直己さんの小説『悲鳴』(2001・角川春樹事務所)を久しぶりに読む。

 このところ、樋口有介さんと東直己さんの小説にはまってしまい、ずっと読み続けている。

 この小説は、東さんの私立探偵・畝原シリーズの第3作。

 ご存じのかたもいらっしゃるかもしれないが、東さんにはススキノ探偵シリーズがあって、映画化もされて、それなりに知られているが、こちらの私立探偵・畝原シリーズも負けないくらいに面白い。

 舞台はやはり札幌。

 地元の元大手新聞の記者だったが、事件関係者の陰謀で誤認逮捕をされ、新聞社を解雇された中年男性が主人公。

 奥さんに逃げられ、小学生の女の子を育てながら、私立探偵をして生計を立てている。

 その畝原の正義感と、以前と変わらずに友情を示してくれる友人らの姿が読んでいてすがすがしい。

 しかし、仕事に関わって起きてくる事件はおどろおどろしていて、現代的な理解を超えたような事件の連続。

 一種の現代風俗小説のようでもある。

 第3作である『悲鳴』も同じ。

 あらすじは書かないが、差別、ホームレス、宗教、利権、腐敗、などなど、現代の闇を描く。

 一服の清涼剤は、畝原の一人娘と、畝原の友人の息子で、畝原の空手の弟子である青年の関わり。青春である。

 おどろおどろしい事件の中で、主人公の愚直さとユーモアが楽しい。

 読後感は悪くない。

 絶望を抱きそうにもなるが、生きてゆくこともよさそうとも思える。

 良質の小説ではないかと思う。    (2023.4 記)

 


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