弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

事務所開設12年目!
本ブログがKindle本に!「アマゾン 三色眼鏡」で検索!!

【商標/知財記事】機能が発揮される相手

2018年08月10日 08時23分24秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
夏が、夏が戻ってきました! って感じの今朝の@湘南地方です。


さて、たまには(笑)知財記事。
少し前のニュースですがこちら

(朝日新聞DIGITALより引用(一部伏字))
===============================
「セコム」偽ステッカー販売容疑で逮捕 1枚1200円

警備会社大手「セコム」(東京都渋谷区)の偽造ステッカーを販売したなどとして、警視庁は京都市山科区東野森野町、アルバイト****容疑者(25)を商標法違反の疑いで逮捕し、2日発表した。「小遣いがほしかった。法律に違反するとは考えていなかった」と供述しているという。

===============================
(引用終わり)

あまり知られていないかもしれないですが、商標権侵害には民事的な権利行使だけでなく刑事罰が定められています。

(侵害の罪)
第七十八条 商標権又は専用使用権を侵害した者(第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


つい出来心でやってしまったことに対する罰としては、かなり重たいものです。
この事案が少し変わっているのは、通常商標って“取引(商売)の中での識別標識”という位置づけなので、
そのマークを見た『取引者や需要者』がその商品/サービスの出所(=提供者)が誰なのか、を認識するためのもの。
だけどこのマークが機能するのは、『取引者や需要者』に対してではなく、主に不法侵入(を意図する)者に対して。

仮にこうした偽造ステッカーを放置していると、不法侵入者に対して機能していた抑止力が弱まってしまい、果てはセコムが提供するサービスに対する信頼が揺らいでしまう。その意味で間違いなくこのマークには業務上の信用が化体しているし、保護の枠組みとしては商標法しかありえない。
いわゆる保証商標には多少そういう側面はあるけど、機能が発揮される相手と保護される取引主体が異なる、ちょっと面白いパターン。

そういや、“猛犬注意”なんてステッカーを貼っていつつとても可愛いチワワを飼っているおうちとかもあるなあ。

さてさて、お盆前の金曜日。何とか頑張ります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする