おはようございます!
今日は穏やかな青空な湘南地方です。
さて、今朝は
こんな記事から。
(マイナビニュースより引用)
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キッコーマン、「しょうゆ卓上びん」が立体商標に登録
キッコーマンは4月17日、1961年より販売している「しょうゆ卓上びん」が2018年3月30日付で特許庁により「立体商標」として登録されたと発表した(登録番号 第6031041号)。
登録された「立体商標」は、立体物に文字やロゴなどの図形が印刷されているものが多く、同社の「しょうゆ卓上びん」は、文字や図形が表示されていない食品容器として登録された、数少ない例だという。
(以下略)
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(引用終わり)
もともと、立体的形状、特に容器等形状の商標登録については規定上高いハードルが設けられている。
(1)「商品の形状」や「商品の包装の形状」として普通に用いられるものは、「原則」独占適応性が無いものと規定されている(法3条1項3号)。
(2)「原則」というからには「例外」があるわけで、そうはいっても使用された結果何人かの業務に係る商品であることが認識できる場合は、
前記(1)に該当する場合であっても「例外的に」商標登録を受けることができる (法3条2項)。
「例外」なだけに、このハードルは結構高く、永年の使用の結果全国レベルでの周知性を得ていることが必要、と言われている。
実際我々も3条2項の立証が必要な時は、かなり“物量作戦”に依ることが多い。
(3)通常の態様の商標であれば上記で終わりなのだけど、商品の容器等の形状については更にハードルがある。それが法4条1項18号。
法は以下の通り定めている。
第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
十八 商品等(商品若しくは商品の包装又は役務をいう。第二十六条第一項第五号において同じ。)が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標
で、「政令」が以下の通り。
商標法施行令
第一条 商標法第四条第一項第十八号及び第二十六条第一項第五号の政令で定める特徴は、立体的形状、色彩又は音(役務にあつては、役務の提供の用に供する物の立体的形状、色彩又は音)とする。
※ちなみに改正前(いわゆる「新しいタイプの商標」制度が入る前)の規定は以下の通り。
十八 商品又は商品の包装の形状であって、その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標
「機能を確保するために不可欠な」が「当然に備える」と、微妙に表現は変わっているけど、運用に違いは無く(というより、便覧そのものの改訂はされておらず)、
判断基準に関しては商標審査便覧に以下のように規定されている。
1.その機能を確保できる代替的な形状がほかに存在するか否か。
2.商品又は商品の包装の形状を当該代替的な立体的形状とした場合でも、同程度(若しくはそれ以下)の費用で生産できるものであるか否か。
つまり、
商標登録は事実上「半永久権」であるところ、機能発揮に欠かせない形状を独占させるわけにはいかないので、一定のタガを嵌めている。
その意味では、シンプルな形状の商品や商品の容器についてはなかなか登録が認められにくい。
さて、本件。記事によれば半世紀以上に亘って販売しているとのこと。
確かにまあ、誰しもが一度は目にしたことがある形状。
そんな形状であっても、出願から1年半(出願日=H28.10.11)をかけ、2度の面接を経て登録に至っている。
公益的な目線から見たとき、一私人(企業だって私人)に独占を認める=世の中の大多数の人間の自由を制限する ということ。
だからこそ上述のような厳格なハードルが設けられている。
そうしたハードルを越えて、永年の企業努力の結果得られている業務上の信用が保護に資するものと評価され登録されることには意味がある。
行政として登録に対して謙抑的であるべきとは思いつつ、こうした出願が“審査段階”で登録に至った本事案は、代理業としては勇気を与えられる次第。
タイトルの割に中身がカタくてすみません(._.)