弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

事務所開設13年目!
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【知財記事(商標)】ひこにゃん、中国へ行く

2025年01月07日 09時18分45秒 | 知財記事コメント

おはようございます!

曇ってはいますが何となくその向こうに明るい空も見える@湘南地方です。

今日は少しあたたかい、かな…?

 

さて、こんな記事

 

(NHKより引用)

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ひこにゃん初の海外展開へ 中国で商標登録手続き 滋賀 彦根

滋賀県彦根市の人気キャラクター、「ひこにゃん」の関連商品が、初めての海外展開としてことし中国で販売される見通しとなり、彦根市は、トラブルを避けるため商標登録の手続きを進めています。

…(中略)…

ひこにゃんグッズの海外展開は今回が初めてで、彦根市は模倣品などのトラブルを防ぐため、中国での商標登録の手続きを進めています。
具体的には「玩具」、「衣服」、「菓子」、「旅行グッズ」、それに「オンラインショップ・広告」の5つの分野で、中国で使用するひこにゃんの名称を取得することにしていて、正式に登録され次第、名称を公表したいとしています。

==============================

(引用終わり)

 

上記記事の「手続き」について、読売新聞では以下のように述べていた。

(読売新聞オンライン 2024/11/19記事より引用)

==============================

滋賀県彦根市は18日、市のキャラクター「ひこにゃん」の関連商品の海外展開に向けて、中国で商標登録すると発表した。登録に必要な委託料42万9000円を盛り込んだ一般会計補正予算案を、25日開会の市議会11月定例会に提案する。

==============================

(引用終わり)

 

そうよね、昨年中に予算をとって出願済、ということよね。

記事の中のポイント。

(その1)「正式に登録され次第、名前を公表」

 →日本での商売の場合、「出願」後にプレスリリース、というケースが圧倒的と思われる。

  中国なのでね。なおかつ複数区分に関するものなのでね。登録になるかどうかわからない、というところが影響しているのだと思う。

  ※公表したらマネされる、とか、そういう側面もゼロではないと思うけど。

(その2)「登録に必要な委託料42万9000円」

 →「5つの分野」で、なのでおそらく5区分(18(=鞄類(旅行グッズ?),25(=被服),28(=玩具),30(=菓子),35(=広告、小売)かな?)。

  費用としての多寡は何とも言えないけど、まあ海外出願するとそれなりにかかります、ということは知っておくほうが良いです。

 

ひこにゃんもついに世界デビューですか。

 

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【知財記事(商標)】「下からガッツリまぜる」

2024年10月29日 08時48分06秒 | 知財記事コメント

おはようございます!

曇り空、やや肌寒めな@湘南地方です。

この後コート持参で飛び立ちます。

 

さて、今日は

この記事。

 

(週刊女性PRIMEより引用)

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「すべては7年前からの夢のためです」

 ラーメン『鈴の木』店主で、小さいサングラスがトレードマークの、りゅう社長こと鈴木遼央氏。物議を醸した自身の投稿についてこう語った。

 事の発端は、鈴木氏が10月21日にX(旧ツイッター)に投稿したツイートにはじまる。

「現在、コンビニ大手・セブンイレブンから『極太麺!コク旨醤油の油そば』という商品が発売されています。鈴木氏はこの商品の説明文に《下からガッツリまぜてお召し上がりください》との記載があったことを指摘。そして自身のXで《俺の持ちネタ「下からガッツリまぜる」を使うなら俺の商品を出してくださいよ~‼》と綴ったのです」(ウェブメディアライター)

 実際に鈴木氏は《下からガッツリまぜる》という文言を商標登録している。そのこともあり、この投稿は鈴木氏がセブンイレブンを糾弾するものと受け取った閲覧者も多く、賛否の声が寄せられた。

(以下略)

=========================

(引用終わり)

 

 

この記事の後半には

・鈴木氏が商標権侵害を主張しているわけではないこと

・セブン側は「一般的な表現」の範疇と認識して遣っていること

が述べられている。

 

確かに鈴木氏の保有する権利は指定役務「飲食物の提供」というサービスについてのものであり、商品としてのラーメンには及ばない。

また、がっつりは「広辞苑第七版」にも載録されている語(十二分に。たっぷり。また、思い切り。 の意)であり、「一般的な表現」というよりほかはない。

でまあ、セブン側にフリーライドの意思も推認されない。

気持ちいいくらい、知財法的には何らの問題もない表示。

 

鈴木氏の気持ちはわからないでもないけど、まあちょっと残念だったかなぁ、と。

「夢だった」のであれば30類も登録していればよかったんじゃないかな。

そうやって「私有地」と「共有地」の線引きをしているのが商標法なので。

 

…ちょっと冷たくとらえられてしまう感じになって恐縮なんですが、特に他意はないです。ただ、「気持ち」だけではブランドは作れない、という例なんだと思います。

※どんなお店なのだろう…?と思って食べログ見てみたら…なかなか個性的なお店なのですね。。

 

 

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【知財記事(商標)】リアル「あつもり」…?

2024年10月23日 09時24分07秒 | 知財記事コメント

おはようございます!

薄曇りな@湘南地方です。

 

ようやく体調不良から少し抜け出てきたかな、という感じです。

まあ年齢相応な頑張りを見せていきたいと思います。

 

さてさて、今日の記事

(IT media NEWS より引用)

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任天堂が「あつもり」「スプラ」など商標登録出願 ゲームではなく“飲食・宿泊”で

 

任天堂が「どうぶつの森」「Splatoon」など複数のゲームタイトルを新たに第43類(飲食・宿泊)で商標登録出願したことが分かった。ネット上では「ホテルとコラボ?」「ホテルあつまれ どうぶつの森がオープンするか」など注目を集めている。

 

特許庁の公開公報(商標)によると、任天堂は10月11日に43類の商標登録を10件出願した。これには「どうぶつの森」「あつもり」「PIKMIN」「スマブラ」「Splatoon」「スプラ」といったゲームタイトルとその略称、キャラクターのイラストなどが含まれている。

(以下略)

================================

 

本業と違う区分でメジャーな商標の権利保護を行うケースは珍しくない。

将来的な多角化を視野に入れて、或いは他社の冒用的な使用や出願をけん制するために行うものだ。

 

任天堂自身が飲食やホテル業をやるわけではたぶんないだろうから、

ライセンスすることを前提に出願をしている、ということかなぁ。それかテーマパークでも作るのか、USJとコラボなのか。

 

それにしても、ゲームの世界が3次元化してファンタジーとリアルの垣根が低くなったり、

漫画の世界だけだろ!?と思っていた大谷翔平や藤井聡太のようなチートキャラが現実世界で活躍したり、

なんだか生きてて「現実感」ってのが何かよくわからなくなってきたなぁ…。

どちらも、「ユメミルチカラ」の重要性よね。

“やればできる!”じゃないけど、現実はイメージで作られる。

何を想像するか、何を望むか。

ポジティブなことを望んて行くために、ポジティブな「心の栄養源」を摂取することが必要だなぁ。

 

周囲の「お祭りの盛り上がり」に少しだけ内心を躍らせて、今日も、進め。

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【知財記事(特許)】中小企業の特許出願、年間4万件超え

2024年08月07日 08時26分43秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
なんとなく、少しずつ、朝晩の暑さが和らいでいるように感じられる今日この頃の@湘南地方です。

さて、今日はこんなニュース

(newswitchより引用)
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中小企業の特許出願、初の年間4万件超えのワケ

2023年の国内中小企業の特許出願件数が09年の統計以降、初めて年間4万件を超えたことが、特許庁が取りまとめた24年版「特許行政年次報告書」で分かった。中小経営においても知的財産戦略が重視されてきたことに加え、19年度以降の制度拡充による中小向け特許料金の減免制度や手続きの簡素化などで特許出願件数が伸長したとみられる。
(以下略)
========================
(引用終わり)

そうねー。減免制度の手続書類が(原則)要らない、というのは結構大きいよな、と思う。
というかそもそも減免措置がないと出願を躊躇するケースもあるだろうな、と、現場感覚としては感じる。
補助金がなくても/減免がなくても、うちは出願します!という覚悟をもった会社さんは、最初から出願も必要経費に見込んでいる。

まあ、なにはともあれ良い傾向じゃないかな、と思います。
知財って、出願してみてその効果を実感しないとなかなか価値を感じることが難しいサービスの一つだと思うので。
入り口は入りやすく。

で、サポートする我々の側も変革は求められているよなぁ、と思っています。
省力化できるところは省力化して、ユーザビリティの向上に努めなければ。
それが事業規模拡大を伴わなくてもできるのが昨今のテクノロジーの進展のおかげでもあるなぁ、と。
まあなんならうちだって中小企業どころか零細企業なわけで。
「規模の経済」に勝る「知恵を絞った精鋭経営」をしていかんとなぁ、と思う次第です。

話はややそれましたが、そう。中小/スタートアップが知財を活用して自社の経営スピードを促進していく、
という仕組みはたくさんあるけれどもあまり知られていないものもある。
ちなみに弁理士会では「知財活用ビジネスプランコンテスト」の申込者を募集しています。
(あ、当方関係者です。)
ビジネスアイデアをまとめて、知財の観点からブラッシュアップを受ける機会が得られて、
なんなら賞金までもらえるなんて、結構お得感があるんじゃないかと思いますよ。
出願する、というだけでなく、保有する知財を活用する、という観点からの取り組みです。
ぜひぜひご関心をお寄せいただければと思います。
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【知財記事(著作権)】画像生成AIの「模倣」に歯止め

2024年08月01日 08時49分35秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
今日から8月!暑いのは当たり前! な@湘南地方です。

さてさて、今日はこんな記事

(日経電子版より引用)
=======================
画像生成AIの「模倣」に歯止め 対策技術、1万人が利用

生成AI(人工知能)の普及に伴って著作権保護への関心が高まるなか、イラストレーターらがAIに作風などが模倣されるのを防ぐ対策を取り入れ始めた。イラストにAIの学習を妨げる加工を施す国内スタートアップのサービスの利用者は約1万人に達した。自らの権利を守るため、技術で対抗する動きが広がりつつある。

「とても使いやすく気に入っている」。フリーのイラストレーターとして活動するAさんはアプリ開発スタートアップのSnackTime(スナックタイム、東京・港)が提供するイラスト保護サービス「emamori(えまもり)」の利用者の一人だ。

手順は簡単だ。描いたイラストをSNSなどに投稿する前に、emamoriのウェブサイト上にアップロードしてAIの学習を妨げる「ノイズ」を入れる加工を施すだけ。加えたノイズは人間の目ではほとんど判別できない。
(以下略)
=======================
(引用終わり)

記事で挙げられているイラスト保護サービス「emamori」のPRTimesでのリリースがこちら
“イラストに特殊な電子透かし・ノイズ(人間の目で見ても目立たないもの)を挿入する” のだそうだ。

クリエイターが自分の作品を守るのに、法改正が追い付くのを指をくわえて待っているのではなくテクノロジーで解決する、
という構図は、なんというか気持ち良さを感じる面がある。
現実問題として「作風」の模倣からは、現在の著作権法では保護されようがないし、今後も難しいだろう。
そもそも時代の動きに法改正がなかなかキャッチアップしていきづらい分野でもある。

また、「著作物」の複製 と 「作風」の模倣 とは、その意味合いに大きな隔たりがある。
そもそも「作風」って何よ?ということを定義するのは容易ではない上、何をもって「模倣」と位置付けるかも定かではない。
それでいて、人々の心を引き付けるのはその「作風」の部分だったりするから困る。

定義とロジックで守ることができないのだから、「自衛手段」を施すのはある意味当然ともいえる。
ニーズをしっかりと掴んでサービスとしてタイムリーに世に提供している、というのが本当に素晴らしいと思う。
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【知財記事(特許)】FANCLを買収したKIRINの狙いは

2024年07月26日 10時06分37秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
朝空気の入れ替えのために10分だけまどを全開にしたほかは
ブラインドまで締め切っています。@湘南地方です。

…こんなん、外出するのにも気合い入れなあかんやつやん。。。

さてさて、掲題の件。
メディアによって着眼点が違うのは面白い。

「東洋経済」は、
「会社としてのカルチャーに大きな違いがある」とし、
「シナジーは不透明」としている。

一方で「BUSINESS INSIDER」は、
「キリンのライフサイエンス事業の中核となるのは協和発酵バイオだが、特許からみて最近でこそ伸びてはいるが件数が少ない。」
「一方で、ファンケルの特許(化粧品を含む)は着実に増加しており、2022年で見ても協和発酵バイオの4倍を超える。有望な分野も多いうえ、両社の研究テーマは重なりが少なく、一緒になって事業化することのメリットは大きいと考えられる。この点が、キリンがファンケルに対してTOBを実施する真の理由と言えるだろう。」
とし、キリンの狙いは自社と重複の少ないファンケルの特許にある、とみている。

もともと2019年8月から資本業務提携をしていた両社なわけで、
肝胆相照らす間柄なのでは。
シナジーって勝手に生まれるものではなく、描いている将来像がもともとある程度共通項をもっていて、
目的に照らしてより効率的、又はより高い精度で結果が得られる場合に生じるものと思っている。
その意味で、これまでは準備期間で、これから本格化する、というところなんじゃないかなと。

すんませんロクに分析もしてないですが取り扱われ方に温度差があったので気になってコメントしました。
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【知財記事】偽ブランド品を購入してはいけない理由

2024年07月24日 10時20分23秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
熱気むんむんな@湘南地方です。

ここんとこ業務日誌ばっかりだったので、久しぶりに知財記事など。

今日は京都新聞の記事から。

(以下引用)
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ブランド品に似せた模倣品を買わないよう若い世代に呼びかける授業が6月、京都市北区の紫野高であった。生徒ら約300人が、模倣品の売買が正規品を販売する企業に与える影響について考えた。

フリマアプリや交流サイト(SNS)などで模倣品に出合う可能性が高い若者に向けて注意を促すため、北署が特許庁に講義を依頼。同庁の職員が6月19日、生徒らに向け、偽ブランド品が流通することで、価値ある商品を提供する企業のブランドイメージを傷つけてしまうことなどを説明した。
(以下略)
==================================
(引用終わり)

「模倣品を購入してはいけない理由」を一番シンプルに答えるとしたら、
“購入したその人の価値が下がるから”
だと思う。

仮に気が付かずに偽物をつかまされていたとしたなら、その観察眼が疑われるわけだし、
仮に百も承知で偽物を購入していたのだとしたら、単純にダサい。自分のしていることがどれだけ世の中に悪影響を与えるか、が想像できない大人は、ダサイ。
その意味で、高校生にちゃんと理屈をもって説明する機会を設けている、というのは良い取り組みだと思う。

「模倣品」というだけの言い方だと受け手によってその意味するところが色々変わってきてしまうのだけど、
そのあたり京都新聞さんはしっかり伝わるように“ブランド品に似せた模倣品” “偽ブランド品” と表現していて好感が持てる。
先行商品をベンチマークしその一部を取り入れつつ新たな商品を生み出すことは、この文脈で言う「模倣品」ではないからね。

結局、ブランド品それ自体を愛でる、というのもあるのだけれど、
その逸品を所有するにふさわしい「生き様」とか「信条」を実践しているのが、格好いいんだよな、と思う。
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【知財記事(著作権)】申請に200万円必要・・・?

2024年06月21日 10時38分40秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
いよいよ梅雨入りかな…?な感じの@湘南地方です。

まーイレギュラーな事象に右往左往しているところですが、
一個一個、確実に対処していきたいと思います。

さて、今日はこんな記事

(mrtニュースより引用)
=====================
著作権に関する"うそ"を言って延岡市の水産加工会社から200万円をだまし取る 福岡県の男(79)を詐欺の疑いで逮捕

宮崎県延岡市の水産加工会社から、著作権に関するうそを言って200万円をだまし取ったとして、福岡県の男が詐欺の疑いで逮捕されました。
逮捕されたのは、福岡県北九州市の自営業、****容疑者(79歳)です。

警察の調べによりますと、野口容疑者は延岡市の水産加工会社の代表者らに対し、食品を販売するうえで著作権を取得することができないにもかかわらず、「著作権の申請には200万円必要」などとうそを言い、去年4月から6月までの間、2回にわたって、合わせて200万円を振り込ませて、だまし取った疑いが持たれています。

野口容疑者は、著作権など知的財産に関する仕事をしていて、延岡市の水産加工会社の代表者らとは仕事を通して面識があったということです。
(以下略)
=====================
(引用終わり)

んー。ツッコミどころ満載な感じで。

・食品を販売するうえでの著作権、って何だろう?
  商品パッケージとか、かな?
・著作権は、どこかに届け出をしなくても創作により発生します(無方式主義です)。
  登録制度はあるにはありますが、その目的は著作権関係の法律事実を公示するとか,あるいは著作権が移転した場合の取引の安全を確保するなどのため。
  詳細はこちら
・「申請には200万円必要」って。。。手続きにもよるけど、印紙代3,000円~+代理費用 なので、まあ法外にもほどがある。

こういうの、不審に思ったらちょっと我々専門家に問い合わせしてくれれば良いのに、と思います。
多くの事務所は相談初回無料枠を設定しているし(うちも30分までそうです)、仮に費用が掛かっても「200万円」とかそんな話になりはしない。

とまあ、正しい情報を伝播すべく今日も頑張ります。
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【知財記事(特許)】伝統知識や遺伝資源を使用した特許の起源明示義務

2024年05月27日 09時15分16秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
曇り空の@湘南地方です。

出張から帰ってきて色々リフレッシュされているはずなのだけど
梅雨入り前を感じさせるこの空気の湿り気がイマイチ気持ちの高揚を抑制するのか。

さてさて、今日はこんな記事。

(中日新聞より引用)
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特許出願で起源明示義務 先住民知財保護、WIPO
 【ジュネーブ共同】
世界知的所有権機関(WIPO)は24日、企業が新製品の開発で先住民の伝統知識や動植物の遺伝資源を使用した場合、特許出願時に起源を明示させる条約に加盟国が合意したと発表した。AP通信によると、南米アンデス山脈に生息する植物に由来する新薬の発明といったケースを想定。植民地の入植者に搾取されてきた先住民の知的財産を保護する目的がある。
(以下略)
============================
(引用終わり)

…判るような判らないような話だけど、
WIPOでこれまでの争点が簡単にまとめられていた。

============================
実質的な争点
遺伝資源には薬用植物や農作物、動物の品種改良が含まれます。

自然界に存在する遺伝資源は、知的財産として直接保護されることはありませんが、遺伝資源を使用して開発された発明は、多くの場合特許を通じて保護の対象となります。遺伝資源は現代の科学研究で利用されることが多いため、特許発明は遺伝資源に基づいている可能性があります。
遺伝資源の中には、何世代にもわたる先住民や地域コミュニティの利用と保全によって、伝統的知識と結び付いているものもあります。この伝統的知識は科学研究に利用されることがあり、したがって保護の対象となる発明を生み出すことに寄与する可能性があります。
同時に、遺伝資源および関連する伝統的知識は知的財産の領域を超えて、生物多様性条約 (1992年) およびその名古屋議定書 (2010年)、ならびにその他の国際協定で規定されている、遺伝資源へのアクセスと利益配分 (ABS) に関する取り決めの対象となります。

ハイレベルの政策課題
現代の生命科学研究は、遺伝資源や伝統的知識を利用した研究を含め、人類に多大な恩恵をもたらしています。しかし、遺伝資源および関連する伝統的知識に基づく発明に対して、新規性や進歩性、産業上の利用可能性などの特許性の要件を満たしていなくても特許が付与されることを、多くの国が懸念しています。このような「誤った特許」の付与により、遺伝資源および関連する伝統的知識の不正利用が助長されるとの議論があります。これは俗に「バイオパイラシー (生物資源の略奪行為)」と呼ばれています。

科学者や企業、公共部門の研究機関が、科学研究の多大な恩恵を享受しつつ、生物多様性に富む国家や先住民、地域コミュニティ、ひいては科学界全体の利益を保護するために、特許制度はどのように貢献できるでしょうか。
============================

こうした制度上の不都合ないし不具合の修正のために、「追加開示要件」として「遺伝資源および関連する伝統的知識の出所や原産国に関する情報」(特許性に直接関係しない情報であったため従来は開示義務がなかった)についての開示義務を定めることが提言された、というわけ。
…まあ、そういう情報ソースがないと審査する側も先行技術を検索することが事実上難しいだろうしなぁ。。

上記は知財法の枠組みだけでなく生物多様性、南北(先進国-途上国)の対立問題も含みながら協議をされ、今般合意に至った、ということ。
革新は伝統の基礎の上に成り立つところ、制度的な枠組みそのものがアンバランスだったのでその是正、という見方が適切なのだろうか。

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【知財記事コメント(商標)】「丸鶏がらスープ」3条2項登録

2024年05月08日 13時54分28秒 | 知財記事コメント
こんにちは!
今のところ空は明るい@湘南地方です。
夜に向かってお天気は下り坂、らしいですが。。。

さて、掲題の件。記事は以下の通り。

食品新聞より引用
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味の素「丸鶏がらスープ」商標登録認定 30年の実績とブランド力で

味の素の調味料「丸鶏がらスープ」のロゴが特許庁から商標登録として認定された。一般的な商標は、商標としての識別力を持たないため、原則として商標登録の対象にはならないが、生活者や取引者から特定のブランドと認識されている場合は、例外的に認められる場合がある。

同品は1994年の発売以来30年間、積極的なマーケティング活動と継続的な品質改良や商品の見直しを行ってきた実績があり、がらスープ市場においてトップシェアを維持。商標登録に必要とされる高いブランド力を獲得したと判断し、2021年に商標登録を出願し、審判を経て、発売30周年を迎える2024年2月6日付で認定された。
=============================
(引用終わり)

商標は取引において商品/サービスを識別するための「標識」。
なので、“商品の普通名称そのまんまじゃーん”というものは、原則登録されない。
だが「原則」というからには「例外」があるわけで。
それが「商標法3条2項」に規定されている。

(商標登録の要件)
1(略)
2 前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。


商品の品質表示とか、ありふれた氏又は名、或いはごくありふれた記号については原則登録されない=独占が認められない。
しかし、使用の結果逆にそのマークがついているものは特定の出所を表すものとして需要者に広く認識された場合には、
その状態を保護しないと却って市場が混乱してしまうから例外的に登録を認める、というもの。

立証内容や結論について特段違和感はないものの、一つだけ気になったのが、、、
「ノミナル(=理由は追って補充)」での審判請求って、NGになったんじゃなかったっけ!?
という点。

J-Platpatでは誰でも無料で出願経過の書類(の一部)を閲覧することが可能。
で見てみたらノミナルで出してる。
確かにその後審判長の補正指示が出ているのだけど実質2カ月弱の猶予が認められている。

運用変更あったのなら当方の不勉強で申し訳ないのだけど、ちょっと違和感を感じた次第。
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