トランプ有罪でアメリカはどう動く?右も左も、陰謀論者までも身動き取れず!?|奥山真司の地政学「アメリカ通信」
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【ソウル=松浦奈美】韓国サムスン電子で7日、創業以来初のストライキが実施された。半導体事業の不振で成果給が出なかった一部社員の不満が噴出した。かつてのサムスンは猛烈社風や成果主義で知られ労働運動とは無縁だった。韓国での存在感の低下や若者の意識の変化もあり、一糸乱れぬエリート集団が曲がり角を迎えている。
「闘争だ!」「労働を尊重せよ!」。7日午前9時、ソウル市内にあるサムスンのオフィス前。「労働者を無視するならストだ」という横断幕を掲げたサムスンの従業員約10人が、拳を振りながらシュプレヒコールを上げた。
ストを呼びかけたのは、サムスン電子で5つある労働組合のうち最大規模の全国サムスン電子労働組合だ。同労組によると、加入者数はサムスンの全従業員12万人のうち約2万8000人に及び、半導体部門の従業員が多い点が特徴とされる。
ストの引き金となったのは半導体部門の業績落ち込みだ。
同部門は市況悪化の影響を受けた2023年12月期に15年ぶりに営業赤字に転落し、24年1月には関連の従業員に成果給を支給しなかった。
同労組の幹部は「事業の苦しさは理解している。ただ成果給の算出方法を見直してほしい」と訴える。
サムスンの半導体部門は15年ぶりに営業赤字に転落(同社の半導体)
今回のストは一日間だけの予定だ。サムスンによると、半導体工場は7日も通常稼働し生産に影響はないという。
もともと韓国は6日が祝日にあたり、7日は祝日と週末に挟まれているため年次有給休暇を申請していた社員も多いという。
社員の中には冷めた見方もある。7日に通常通り出勤した男性社員(37)は、「年休を取る社員が多い日にストを実施するのは一種のパフォーマンスだ。こんな形では会社は変わらない」と突き放す。
一方、サムスン系列の保険会社に勤める男性社員(54)は、「グループ会社の社員たちは今回のデモを歓迎している」と話す。
サムスン電子はグループ内で売上高が最大で、全社の賃金体系に影響があるとみるためだ。「組合活動は初期段階。実行力はまだないが、声を上げたのは第一歩だ」と期待する。
労組と会社側の議論は平行線をたどる。サムスンは1月以降、同労組との交渉の場を計10回以上持ち「今後も対話を続ける」と説明する。
労組は「従業員を尊重していない。経営を立て直す青写真が見えない」と主張し、さらなるストを計画する。
韓国ではかねて労働組合の活動が盛んで、大企業でストが実施されるのは珍しいことではない。ただサムスンだけは1969年の創業以来、ストを経験してこなかった。
創業者の李秉喆(イ・ビョンチョル)氏は従業員の福祉を最優先し、手厚い報酬を保障する経営哲学を掲げた。
一方で「無労組経営」にも強くこだわり、「私の目が黒いうちは組合は認めない」という語録も残した。2代目の故李健熙(イ·ゴンヒ)会長も待遇改善に努めながらも無労組の原則を守った。
その原則は李健熙前会長が亡くなった20年に変わった。
後を継いだ3代目の李在鎔(イ・ジェヨン)会長が無労組経営を転換すると表明したからだ。背景には政治や社会の変化がある。
韓国では労組を支持基盤に持つ革新系の文在寅(ムン・ジェイン)前政権の17〜22年の任期中、労働者の権利を保護する法整備が進んだ。
社会の風潮を受け「サムスンも(労組への)容認姿勢を打ち出さざるをえなくなった」(労組関係者)。
韓国で「MZ世代」と呼ばれる20〜30代が、労働者の権利などについて関心が高いことも影響している。
2月にはサムスングループで初の企業横断型の組合が発足し、若い従業員を中心に休暇や働き方の改善を求め始めた。SNS(交流サイト)で社内ネットワークを築き、職場環境を変えようと活発に議論する。
韓国の国内総生産(GDP)を支えてきたサムスンの「1強状態」が揺らぐことへの従業員の焦りもにじむ。
国内半導体2位のSKハイニックスは先端半導体の技術力が注目され、足元の時価総額は141兆ウォン(約16兆円)と10年前に比べ4倍になった。サムスンは約460兆ウォンと巨大だがSKがじりじりと追い上げる。
韓国の労働政策に詳しい龍谷大の安周永教授は、韓国では自動車や造船などの製造業でストを通じて賃金や労働環境を改善してきた歴史があると指摘する。「(ストなどの)運動の波が、業績に陰りが出た半導体業界にも波及している」と見る。
安氏は今回のストについて「労働者の声がかき消されてきたサムスンで労使関係が健全に向かう出発点であり、サムスンが組合にどこまで対応するかが焦点だ」とも話す。
サムスンは無労組経営や成果主義のもと、トップダウン方式で求心力を高め競争力につなげてきた。初のストはサムスンが韓国で「普通の会社」に変化しつつあることを映す。従業員との対話のあり方を見直しながら、どのように競争力を再び取り戻せるのかが今のサムスンに問われている。
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シャープのテレビ向け液晶パネル工場(堺市)
ソフトバンクは7日、シャープが堺市に保有するテレビ向け液晶パネル工場の土地や施設の一部を買い取る独占交渉権を得た。
人工知能(AI)データセンターを構築する方向で協議する。高性能半導体を搭載した計算基盤を整え、生成AIを開発・運用する外部企業などにも貸し出す大型拠点にする方針だ。
堺工場を巡ってはシャープが3日、KDDIなどと組んでAIデータセンターの構築に向けた協議を始めると発表していた。KDDIに対してはソフトバンクとは別の堺工場内の敷地を提案し、今後も協議を続けるという。
ソフトバンクは敷地面積全体の約6割にあたる土地と、そこに建つパネル工場や電源・冷却設備などを取得する考え。取得額は今後詰める。データセンターは2025年の稼働開始を目指し、ソフトバンクが単独で運営する。
米エヌビディアから最先端の画像処理半導体(GPU)を購入し、生成AI開発に必要な計算基盤を整える。
近年のデータセンターは規模を示す電力容量で数十メガ(メガは100万)ワットが一般的だ。ソフトバンクは150メガワット程度で稼働を始める予定。将来は400メガワット超に引き上げ、国内最大級のデータセンターにする。
ソフトバンクは25年までに総額1700億円を投じ、生成AI向けの計算基盤を増強する計画を持つ。
それを搭載するデータセンターを各地の主要都市に順次整備している。堺工場は関西エリアの大型拠点という位置づけになる。
シャープとは24年1月からデータセンター構築の協議を進めてきた。今回は法的拘束力を持つ独占交渉権を含んだ基本合意書を締結した。
シャープは07年に新日本製鉄(現・日本製鉄)から土地を取得し、09年に約4300億円を投じて堺工場を稼働させた。一部の未利用地をクボタなどに売却し、現在の敷地面積はシャープ本社などを含めて80万平方メートル弱となる。
中韓勢とのパネル価格競争を背景に工場稼働率は安定せず、米調査会社DSCCによると、直近2年間の月間稼働率は一時1割程度まで下がっていた。
投資家などから事業の見直しを求める声が強まり、シャープは24年9月の生産停止を決めた。
航空宇宙大手の米ボーイングと米航空宇宙局(NASA)が打ち上げた新型宇宙船「スターライナー」が米東部時間6日午後1時34分(日本時間7日午前2時34分)、国際宇宙ステーション(ISS)に到着した。
新規開発した宇宙船は初の有人宇宙飛行を実施し、NASAの宇宙飛行士2人をISSに送り届けた。米国の宇宙開発に弾みがつきそうだ。
宇宙飛行士はISSに1週間ほど滞在し、スターライナーの機能テストを実施してデータを収集する。14日以降に再びスターライナーに搭乗して地球へ向かう。
NASAによると、米国の有人宇宙船は「スペースシャトル」などに続く6種類目となる。
スターライナーは米東部時間の5日午前10時52分(日本時間5日午後11時52分)に打ち上げられた。およそ15分後にロケットから分離し、その後、宇宙船が予定通り軌道に乗った。
NASAによると打ち上げ前にヘリウム漏れが確認され、その後、2度のヘリウム漏れを確認したが、いずれも大きなトラブルはなかったとしている。
ドッキングは当初、6日の米東部時間午後0時15分ごろを予定していたが、宇宙船の下部の一部装置に問題が見つかり、1時間程度遅れた。
約1週間後には再び宇宙飛行士を乗せてISSを出発する。大気圏への再突入と安全な着陸を実現できれば、実用化のメドが立つ。
NASA幹部は6日、「チームの活躍をとても誇りに思う。有人宇宙飛行の前進は簡単なことではないが、目標の達成は米国に価値をもたらす」と話した。
ISSに到着し宇宙飛行士を送り届けたことは、今回の飛行試験で最も難しい課題の一つを乗り越えたことを意味する。
ISSへの接続では数十キロメートル離れた場所から宇宙基地を認識し、燃料の噴射で機体の姿勢を微調整する高度な技術が要る。
ボーイングとNASAが打ち上げた新型宇宙船「スターライナー」は宇宙ステーションに到着した(5日)=AP
スターライナーはボーイングが開発を進めてきた宇宙船だ。
宇宙飛行士が操縦することなく自動で飛行することができ、緊急時は必要に応じて手動で操縦できる。今回、宇宙飛行士が乗って打ち上げる試験飛行は初めてだった。
19年に実施した無人の試験飛行ではエンジンが正常に動作せず、ISSへのドッキングを中止。
22年に実施した2回目の無人の試験飛行では、ISSへのドッキングに成功して地球に帰還したが、機材の一部に問題が見つかり、実用化に向けた最終段階となる有人の試験飛行は当初予定から遅れていた。
今回の有人試験飛行を経てNASAが承認すれば、スターライナーは運用段階に入り、ISSと地球の間を宇宙飛行士が行き来する輸送手段として使用できることになる。
1998年から建設が始まったISSには、かつては米国の「スペースシャトル」と、ロシアの宇宙船「ソユーズ」で宇宙飛行士を送り届けてきた。
スペースシャトルが2011年に退役するのを機に、NASAは宇宙輸送の商用化を進めてきた。
14年にボーイングとスペースXの2社にISSへ物資・宇宙飛行士を送り届ける宇宙船の開発を委託。スペースXは20年に宇宙船「クルードラゴン」の有人飛行に成功した。
米国がスターライナーを加え、自前の2機体制を確立できれば、万が一、片方の宇宙船が使えなくなっても、有人の宇宙開発を続けられる。現在、併用しているロシアのソユーズへの依存度も下げられる。
(ニューヨーク=川上梓、川原聡史)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が手掛ける大型ロケット「H2A」や新型ロケット「H3」、イーロン・マスク氏が率いるスペースXなど、世界中で官民が宇宙開発競争を繰り広げています。
ロケット開発や実験、衛星など最新ニュースをまとめました。
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日経記事2024.06.07より引用