「Gemini」などの生成AIサービスが選挙結果に悪影響を及ぼす懸念が高まっている=AP
【シリコンバレー=奥平和行】
米グーグルが生成AI(人工知能)を活用した対話サービス、Gemini(ジェミニ、旧バード)で選挙に関連した指示への回答を一部地域で制限したことが12日、明らかになった。
生成AIが急速に発達し、米大統領選など各地の大型選挙に悪影響を及ぼす懸念が広がっていた。
公式ブログを通じて12日、4〜5月に総選挙を予定しているインドで制限を始めたと説明した。
同社は「重要なテーマに慎重を期すため」と理由を説明し、保護策の改善に継続的に取り組んでいくとしている。
11月に大統領選を控える米国でも同様の規制を導入する方針を2023年12月に示し、12日までに開始した。
米国で「(大統領の)バイデン氏について知っているか」などと入力すると、「この質問への回答方法をまだ学習しており、その間はグーグル検索を利用してください」と回答するように設定している。
一方、米オープンAIのChat(チャット)GPTに同じ指示を入力すると、就任日やオバマ政権で副大統領を務めたことなどを説明し、12日時点では異なる対応になっている。
24年はインドの総選挙や米大統領選に加えて欧州連合(EU)などでも国政選挙が予定されており、米シンクタンクのセンター・フォー・アメリカン・プログレスによると、50カ国で20億人以上が投票する見通しだ。生成AIの間違いや悪用により選挙結果がゆがめられるといった懸念が拡大していた。
グーグルやオープンAIなど世界の大手テクノロジー企業20社は2月、生成AIで作成した偽情報が選挙を妨害しないよう協力することで合意した。
個別企業による対策も相次ぎ、グーグルは23年、政治広告や動画共有サービスのユーチューブでAIを活用してコンテンツを生成・改変した場合にAI利用と明示することを義務付けている。
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日経記事2024.03.13より引用