トーマス・グラバー 第一章 トーマス十二歳、太平天国の乱https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e223669a888e23a7d7629cfe2d0c1680
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マッケンジーの誘い
JM商会の上海支店で、クソ面白くない帳簿を付けたり、在庫管理をしていたグラバーの耳にも、もちろん太平天国の乱を近く英仏両軍が討伐しようとしている情報は入ってきた。
そして近代兵器を持ち、軍事教練に卓越した英仏軍と、近代兵器も持たず、軍事教練にも慣れていない中国軍が対戦した場合、英仏連合軍が勝利することは、軍事には素人のグラバーでさえ、すぐにも理解できた。
グラバーと当初、太平天国の洪秀全の思想を高く評価していた。 このため腐敗しきった西太合の清朝が崩壊すれば、太平天国の新しい治世のもと、JM商会も、そしてグラバー自身も何か面白い展開が期待されそうに思えた。
しかし、近く英仏の列強が太平天国軍と対戦するとの情報を得たグラバーは、列強の勝利は火を見るより明らかなため、このまま上海に留まって仕事を続けようとの意志が急速に吹き飛んでしまった。
グラバーがそんな気持ちでいた時、JM商会上海店の大先輩、ケアス・マッケンジー(五〇歳代)という男が、
「グラバー君、日本という国を知っているだろう。今後清朝などよりも、間違いなく大発展する国は世界は広しといえども、日本をおいてどこにもない。 わしはすでにJM商会の横浜店と長崎店を開店させたが、君も長崎で一発勝負してみる気はないか」と強く誘われた。
スコットランドでは、一応インテリの部類に属するグラバーは、ギムナジウムや貿易商会勤務の時も 「黄金の国ジパング」の事は幾度か耳にして大いに関心を持っていた。
「サムライ、タイクーン、ハラキリ」などの言葉がグラバーの頭によみがえった。 と同時に、
「マッケンジーのいう未知の国、日本こそ、自分の大飛躍をもたらす所ではないか」と考え、彼の誘いに一発で飛び乗った。 それは一八五九年(安政六年)九月、グラバーが二十一歳の時であった。
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この本には、歴史的に貴重な写真、図、文献なども数多く掲載されている秀逸な作品ですが、それらをPDF化して皆さんに紹介することもできますが、著者と発行所の『長崎文献社』に敬意を払って、全てを紹介するのは、控えたいと考えております。
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