外部ストアがiPhoneにポルノアプリを配信したことを巡り、アップルはEUのデジタル政策を批判した
(写真はアップルの公式ストア)
【シリコンバレー=中藤玲】
米アップルは4日までに、外部のアプリストアが欧州連合(EU)域内のiPhone上でポルノアプリを配信したことに対し「利用者の安全性を懸念している」と表明した。
iPhoneで外部アプリストアを利用できるように義務付けたEUのデジタル政策が今回の配信につながったとして、あわせてEU政策を批判した。
外部のアプリストア「AltStore(オルトストア)PAL」がiPhone上で、ポルノ動画を視聴できるアプリ「Hot Tub(ホットタブ)」の配信を始めた。
オルトストアのSNSの公式アカウントは3日、「iPhoneが18歳になったので成熟したアプリが使えるようになった。世界初のアップル公認ポルノアプリだ」と投稿した。iPhoneは2007年発売だ。
一方でアップルは3日、日本経済新聞の取材に対し「アップルはこのアプリを承認しておらず、アップルのアプリストアで提供することもない」と否定。「こうしたポルノアプリがEUの利用者、特に子どもに及ぼす安全性のリスクを深く懸念する」とした。
アップルはこれまで、iPhoneで利用できるアプリの配信を自社のアプリストアに限定し、アプリ開発者から配信手数料を得てきた。
だがEUが巨大企業の活動を規制するデジタル市場法(DMA)の本格運用を2024年3月に始めたことで、アップルは自社以外のアプリストアの参入を認めることが義務付けられた。
オルトストアのほか、人気ゲーム「フォートナイト」を開発する米エピックゲームズがEU域内でアプリストアを展開する。アップルによると、オルトストアはエピックゲームズから支援を受けている。
アップルは「オルトストアやエピックのような利用者の安全への懸念を共有していない運営者がアプリを配信することを、欧州委員会から求められている。
我々が10年以上かけて世界一を目指してきたエコシステムに対する消費者の信頼を損なうものだ」と、EUの執行機関である欧州委を批判した。
アップルは24年12月に欧州委に対してポルノアプリについての懸念を伝えたが、欧州委は反対を表明しなかったという。
アップルはポルノに対する厳しい姿勢で知られる。創業者の故スティーブ・ジョブズ氏はポルノ嫌いを繰り返し語っており、最高経営責任者(CEO)だった10年には「道義的責任だ」としてポルノアプリをiPhone上で配信しないことを決めた。
外部ストアについて、アップルはサイバーセキュリティーなどの脅威などについては審査をしている。
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日経記事2025.2.5より引用