AGCがCESで展示した「後工程」に使う新材料(7日、米ラスベガス)
【ラスベガス=山田航平】
AGCは半導体を組み立てる「後工程」に使う次世代材料を2028年にも量産する。これまで樹脂だった材料をガラスに切り替え、消費電力を3割抑える。
生成人工知能(AI)が普及するなか、課題になる省電力化の需要を取り込む。米ラスベガスで開催中のテクノロジー見本市CESで新技術を公開した。
半導体はプリント基板の上にチップを配置するように組み立てられる。チップとプリント基板を「コア層」と呼ばれるシート状の材料で接続し、電気信号を伝える。
コア層はチップに電気を送る経路を確保するため、無数の穴が空いている。従来は穴を開けやすい樹脂が使われていた。
AGCは加工が難しいガラスを使っても50~100ミクロン程度の微細な穴を、正確に開ける技術を開発した。
CES会場で取材に応じるAGCの平井良典最高経営責任者(CEO)=7日、米ラスベガス
ガラスは樹脂と比べて反りやゆがみに強いため、樹脂より基板を薄くしても同じ性能が出せる。電気が流れる距離が短くなることで、電力消費の低減につながる。
28年ごろから市場投入される次世代半導体に採用される見通しだ。平井良典最高経営責任者(CEO)は「長期的には1000億円規模の事業に育てる」と話す。
調査会社の富士経済は世界の半導体材料の市場規模が29年に583億ドル(約9兆円)と23年から35%増えると予想する。
日本は先端半導体の材料で高い存在感をもち、国内企業が先端分野の技術開発を進めることは経済安全保障上も重要になる。
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日経記事2025.1.11より引用