EUのフォンデアライエン欧州委員長㊧は11日、パリでバンス米副大統領と会談した=AP
【ブリュッセル=辻隆史】
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は11日、米国のバンス副大統領とパリで会談した。米国による追加関税など貿易問題が議題となったほか、中国への対抗策やウクライナ支援のあり方についても話し合った。
フォンデアライエン氏がトランプ新政権の幹部と会うのは初めて。会談にはEUの外相にあたるカラス外交安全保障上級代表が同席した。
トランプ氏が署名した鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税で、米欧関係は緊張する。バンス氏は会談で米EUの「公正で互恵的な貿易関係」が重要だと強調した。米国はかねて対EUの貿易赤字を問題視してきた。
フォンデアライエン氏は会談に先立つ11日の声明で、不当な関税には「断固たる、相応の対抗措置をとる」と明言した。バンス氏に対しても直接、EUへの対応を見直すよう要請したとみられる。
フォンデアライエン氏は会談後の別の声明で、両者は「足元の地政学的情勢における米欧関係の重要な役割を再確認した」と明かした。
対ロシアや対中で連携を広げるために、貿易問題などで対立を避けるよう促した可能性がある。
会談では米欧双方がエネルギーなど経済分野での協力を模索する考えを示した。EUはこれまでに米国産液化天然ガス(LNG)の輸入拡大を提起した。
貿易や安全保障に関わる問題でトランプ氏の譲歩を引き出したい思惑がにじむ。
カラス氏は会談後、X(旧ツイッター)で中国の最近の行動やロシアのウクライナ侵略に関して議論したと公表した。
その上で「敵は協調して行動している。私たちも同じことをすべきだ」と書き込み、米欧の結束を促した。
これに関連してEUの執行機関である欧州委員会は同日、中国からのバイオディーゼル燃料に10〜35.6%の反ダンピング関税を課すと発表した。再生航空燃料(SAF)向けは除く。
欧州では輸送部門の脱炭素化に向けてバイオ燃料の市場が広がる一方、中国製品との不公正な競争で域内企業が工場閉鎖などに追い込まれていると指摘した。雇用の保護とエネルギー安全保障を強化すると説明した。
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