実は、鳥居を紹介するに当たって避けて通りたかった「冠木(かぶき)鳥居(形)」
あえて取り上げるのは、伊勢神宮の拝殿前にあるものがやはり鳥居の型を有しているからに他ならない。
まずは本来、門柱としての「冠木門」の定義は以下の通り
冠木門(かぶきもん)- 門柱に貫(ぬき)をかけたもの。江戸時代には櫓門や楼門ではない平門を指していたが、明治以降は屋根を持たない門を指すことが多い(以上は「門」WIKIより)
冠木門 (写真:同 WIKIより)
内宮 拝所前にある冠木鳥居形(撮影:2005年3月)
確かに笠木部分を外せば「冠木門」に見えなくもないのだが…。
鳥居の研究の中で、わざわざ根岸が「冠木鳥居形」と区分しているのは、どうやら伊勢神宮側の都合らしく一般の鳥居とは別物扱いをしている。
ただし、建立し直される以前の物は、板垣とは独立した鳥居だったとの情報もあり、どうやら板垣などの塀から「門」としての意味合いをもたせているものが「冠木鳥居形」と定義しているようだ。
鳥居の名称として用いるならば「冠木門形鳥居」とでも称して欲しかった。
もうひとつネットで調べていたら「冠木鳥居」と云う名称の鳥居が存在していた。多度大社(三重県桑名市)は板垣を介し冠木鳥居として紹介している。
なんでも神宮の式年遷宮で出た廃材を使用しているとか。確かに板垣と一体となっているようだ。
最も「冠木門」の定義“門柱に貫(ぬき)をかけたもの”に準じるならば以下の様な鳥居(型?)も存在している。
諏訪大社上社本宮@長野県諏訪市(撮影:2002-07)
形は、いわゆる冠木門ではあるのだが、板垣などを介さず独立で起立している。この型は、寺などでみかける事が多い。「冠木鳥居」として、画像検索するとこの型がヒットする。
廣田神社@兵庫県西宮市 一の鳥居(撮影:2011-01)
同社 二の鳥居(撮影:2011-01)
筑土八幡神社@新宿区筑土八幡町 一の鳥居(撮影:2008-05)
鹽竈神社@港区新橋(撮影:2003-12)こちらは位置的に貫ではなく笠木部分に当たるのではあるが。
以上のものは、「鳥居の研究」には取り上げられておらず果たして「鳥居」と呼べるのかどうかは難しい所ではあるが神社の参道に置かれ鳥居としての役目を担っている事から「冠木鳥居」としてあえて定義しても構わないので無いかと思う。
最も「冠木門」をもう少し神格化したものとしては、注連縄(鳥居)がある。
桧原神社@奈良県桜井市(撮影:2011-01)
狭井神社@奈良県桜井市(撮影:2011-01)
注連縄は、本来「神域と現世」を隔てる結界の役割を持っている事から鳥居と同義と考える。
(4/19 追記、一部写真差し替え)
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