僕とさっちゃんが初めてザイルを組んだのは北穂高岳の滝谷クラック尾根でした。
三ッ峠等で一緒に岩トレしたことはありましたが、ザイルを組んだことはありませんでした。
この時は僕が全ピッチをリードしたのですが、お師匠さんにこっぴどく叱られたのを覚えています。
さっちゃんは背が低く、150cmありません。
僕はリードしたといっても、まだまだ余裕はなく、必死でした。
目に入るハーケンやボルトで全てプロテクションを取るといってもいいくらいに、取りまくっていました。
その中には僕ですらギリギリに手を伸ばしてやっと取れるようなプロテクションもよくあったのです。
そうなると、背の低いさっちゃんにはそのプロテクションのカラビナとシュリンゲの回収が凄く困難になるんです。
お師匠さんたちパーティーは僕とさっちゃんパーティーの後ろから続いています。
さっちゃんがプロテクションの回収に苦労しているのを見て、僕にこんな風に注意してくれたんです。
「パートナーのこともよく考えて、プロテクションのセットをしないと駄目でしょ!」
僕のお師匠さんパーティーも男女パーティーでした。
その女性のお師匠さんからの強烈なお叱りを滝谷の岩壁の途中で浴びたのです。
僕はその女性から山へ行くといつも注意を受け、叱られまくっていました。
厳しく指導してくれていました。
同じ山岳会の仲間には「〇〇くんはあんなに言われてよく我慢して耐えられるね!」と感心されました。
でも、僕は平気。
何故って、その女性の厳しい言葉には愛情というか、期待が込められていましたからね。
僕はシュリンゲを締めずに二つ折りにして、カラビナを掛けることにしました。
そうすると、カラビナの場所でシュリンゲの片方を外せば、そこで引くことで回収できますから。
これでさっちゃんには苦労をかけずに済むようになりました。
全てのピッチでさっちゃんはよどむことなくフォロウしてくれました。
また思い出話をしてしまいましたね。
この日の様子は『ザイルと焚火と焼酎と』を読んでください。
お盆山行2日目 ――― 天候悪く、涸沢で停滞。北穂高岳には登りました。夜は飲み過ぎて大丈夫かな?
▲17:03。午後には陽が射したり、青空が広がったりしました。夕食もテントの外でしたかったのですが、時々霧雨が降って来ました。回復傾向にはありましたが、一日中不安定な天候でしたね。