みやこ海風だより

市議会報告からNPO活動、海を活用したまちづくり、文化創出のまちづくりをベースにしたつぶやきです。

いのちを守る緑の防潮堤

2012-05-10 09:02:53 | 復興まちづくり
本日の新聞に次のような記事があった。

「宮城県岩沼市は、土中にがれきを埋めた防潮丘「千年希望の丘」を津波浸水区域に整備する構想をまとめ、現在、試験的に小型の丘造りを進めている。がれき利用による環境影響調査を行うためで、26日に造成を終える予定。丘の上には約6000本の木が植えられる。
 構想は、高さ10~15メートル、直径120メートルほどの人工丘を数十個造り、丘の上に木を植えて防災林として津波の威力を抑えるというもの。がれきを利用することでがれき処理を進め、同時に震災の記憶を後世に語り継ぐメモリアルパークとしての役割を兼ねている。
 工事中の人工丘は、高さ約4メートル、広さ約2000平方メートルのほぼL字形。造成に必要な土4000立方メートルのうち、25%程度をコンクリート片や倒木、津波による堆積土で代替する。」
とある。

これは国内外での植樹活動で知られる植物生態学者、宮脇昭・横浜国立大学名誉教授の提唱する「いのちを守る300キロの森づくり」

による取り組みである。

つまり、東日本大震災で被災した東北地方の海岸線に「森の防波堤」をつくろうというもの。(大槌町でも独自で始めた)

私もこのことを以前から訴えていたが、岩手県のハード整備はコンクリートしか頭にない。

先生によれば「海岸部に穴を掘り、がれきと土を混ぜ、かまぼこ状のほっこりしたマウンド(土塁)を築く。

そこに、その土地の本来の樹種である潜在自然植生の木を選んで苗を植えていけば、10~20年で防災・環境保全林が海岸に沿って生まれる。

この森では個々の樹木は世代交代しても、森全体として9000年は長持ちする持続可能な生態系になる」という。

さらに「将来再び巨大な津波が襲来しても、森は津波のエネルギーを吸収する。

東北地方の潜在自然植生であるタブノキやカシ、シイ類などは根が真っすぐに深く地下に入る直根性・深根性の木であるため容易に倒れず

波砕効果を持つ。

背後の市街地の被害を和らげ、引き波に対してはフェンスとなって海に流される人命を救うこともできる」ものだ。

こうした発想を取り込む能力と想像力が岩手県の役人にはない。

「コンクリートから人へ」と大見得(二枚舌)を切った政権政党の党員である知事でさえも、このことは眼中にないようだ。

水門ありきではなく、多様な意見の集約の中でまちの未来をどう考えていくのか、こうした発想からも話し合うことが大事なことで

あったはずなのに。。。。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
緑の堤防を検討している自治体 素晴らしいです (嶋田憲一)
2012-05-10 18:46:08
3月にお話しを伺った「緑の堤防」ですね。具体化は、難しいのかなと思っていましたが、積極的に取り上げているのを知り、是非とも実現して欲しいとの想いです。
緑の堤防が極めてエコで、無機的なコンクリートの堤防に対する優位性を、理解する為政者が岩手県にも登場して欲しいです。
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不透明な復興はやめてほしい (コーケやん)
2012-05-12 15:46:20
岩沼市の「千年希望の丘」構想はつとに有名です。単なるアイディアではなく、震災直後から市民と土地柄に合う防災の議論を始めて埴生など一流の研究者の力も取り込んでいます。土地柄といえば、岩沼市の平野部とわがリアス沿岸の違いはありますが彼の地の成功を祈らずにはおられません。

岩手県はだめです。発想からやり直してもらわねばなりません。3.11以前のやり方を無反省にくり返しているだけです。コンクリートを県沿岸一帯に打ち込むだけのやり方。防潮堤などの復旧、新設。コンクリート発想そのものが時代遅れである事に気づいていない。県庁は内陸のダム建設や水門発想を、沿岸部に持ち込んでいるだけです。

宮古市がまたアイディアはおろか宮古らしさの片鱗もなく、ただ県や国に対するイエスマンに成り下がっているように見えます。市民や被災者の立場で(本当だと思います)何ひとつやっていないという声が大きいです。市長、副市長、市会議員には猛省を求めます。裏を返せば、市民に何ひとつ知らせていない、相談していないという事ではないでしょうか?
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