宮古地方に古くから伝わる年末の風物詩「お飾り」の市が宮古魚菜市場駐車場で始まった。
期間は本日27日から31日まで。
お飾りは、その年の豊作、大漁、商売繁盛、家内安全、夫婦円満など祈って神棚や年棚などの下に貼る
和紙である。
半間や1間の和紙に七福神や恵比寿、大黒などの図柄を墨や極彩色で描いている。
図柄の種類は豊富で、昆布や日の出、富士山、大判小判、出船入船のほか、お供え餅、イカ釣り、茄子、
鷹、馬、牛など多様なものがあり、その家の職業などに合わせて選ぶ。
お飾りは年末のススハキの時にはずし、大安吉日か年越し、もしくは元旦早朝に新しいものと取り替える
が、不幸があった家では年末を待たずに剥がし、清めて燃やし、その灰を川に流す。
農村や漁村には行商が家々を回って売って歩いているほか、近年はこうした市が開かれている。
お飾りの原型は切り絵だとも言われている。
昔は「宝来」とも呼ばれ、その起源は江戸時代末期からとの説もあるが、その詳細は不明だ。
明治以降は盛岡の絵師が年の暮れに宮古を訪れ「福の神」の絵を行商したともいわれている。
それを冬場に仕事のない左官や仏師屋などが、これをまねて始めたのが今日に受け継がれたものだ。
本日から始まったお飾り市には8店舗が軒を並べている。
今年は震災の影響もあり売り上げが今一つ心配と話していたが、
市には多くの人が訪れ、来る年への明るい期待を込めてそれぞれのお飾りを買い求めていた。