月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.267 頭脳警察「頭脳警察1」

2024-07-07 21:21:26 | 頭脳警察、PANTA関連

2024年7月7日。敬愛するPANTAが亡くなって1年になります。

早いものですね。今年のPANTAの誕生日だった2月5日にはアルバム

『東京オオカミ』も発売。そしてNO.185で記事にしていた『PANTAライブ葬』

本日、DVDが発売となりました。これで映像を手元に残せます。

発売に感謝します。

 

 

そして今回は、今まで書けないでいた『頭脳警察1』についてです。

ご存じの通り、本来なら1stアルバムとして発売予定でしたが、

内容的に発売は無理という事で、発売中止となっています。

そして急遽、これなら大丈夫と思われる曲を集めて制作された

「頭脳警察セカンド」も結局、1か月ほどで発売禁止となってしまいます。

 

頭脳警察がビクターと契約したのは71年の事。
 
72年1月9日に行われた京都府立体育館でのMOJO WEST、

10日の東京都立体育館でのオールジャパンロックフェスティバルのライブ音源から
 
編集してこの1stが作られたといいますが、本当かどうかは疑問が残ります。
 
それでも頭脳警察の極めて初期の演奏には違いありません。
 
プロデューサーは大船に乗った気持ちでいていいよと楽観的な考えでしたが、
 
まぁ当然の事ながら歌詞等に問題があり、発売中止となってしまいます。
 
しかしながら自主制作でも発売させようという動きがあり、
 
雑誌等にも通販の告知が掲載されたりもしたようです。
 
実際にファンからも送金とかもされていて、頭脳警察活動中に
 
発売の動きもあったようですが、予定通りにはいかず、結局、
 
頭脳警察が解散する75年12月31日、送金してくれたファンに向けて
 
郵送されることになります。枚数にして600枚程度。
 
そして伝説となったのでした。
 
一時期には、やれ30万円だ60万円だというプレミアもついたといわれ、
 
日本のロックアルバムで最も入手困難ともいわれたものです。
 
 
さすがに問題の多いこのアルバムは、再発される事はないだろうと思われました。

赤軍派の上野勝輝氏による「世界革命戦争宣言」をアジテーションした危険な歌詞、
 
「戦争を知らない子供たち」のブラックな替え歌、(作者の北山修さんと
 
杉田二郎さんに許可はもらっているみたいです)
 
「言いわけなんかいらねえよ」の放送禁止用語
 
(さすがに歌詞カードは伏字となっていますが)

大体、ジャケの3億円犯人の指名手配写真からして危険な匂いがしますし。

90年代初めに再発の噂が立ったことがありましたが、実現はしませんでした。

それが21世紀に入ってから本当に再発CD化されたので、驚いたものです。

さすがにビクターからの発売ではなく、インディーズでの再発でしたが…。


この当時は、PANTAとトシのみの編成。メンバーをクビにしてしまい、
 
どうしようもない状況で、苦肉の策でPANTAがギター、
 
トシがコンガで演奏したものです。偶然にもT-レックスと同じような感じの
 
編成だったので比較されたりもしましたね。

パンクの元祖とも言われてきたのでどんな激しい演奏かと期待もしましたが、

2人のみなので音圧は高くはないです。
 
しかしながらインパクトはかなり強いです。

ただ、NO.2にて紹介している「幻野祭」での演奏の方がテンションが高いので、

いささか拍子抜けはしましたが。
 
それでも他のアーチストにはない凄みは感じます。

何かヤバい雰囲気は充分感じ取れるかと思います。
 
 
また、どうしても「革命3部作」に目が行きがちですが、
 
頭脳警察の魅力は激しい曲だけでなく、「さようなら世界夫人よ」のような
 
美しいメロディもあるという事ですね。それは「セカンド」以降に
 
顕著となりますが。
 
 
自分が持っているCDは、紙ジャケ発売のイベントでサインしてもらったものです。
 
PANTAとトシと一緒に書かれたものはこのCDのみですので、
 
今後も大切にしたいですね。

 



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2 コメント

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Unknown (sayusayu_008 りりん)
2024-07-08 09:23:56
『頭脳警察1』のCDのサイン
ほんとに超貴重ですね。
PANTAさんとイシズカトシアキと書かれてるのですね。

「戦争しか知らない子供たち」
聴きました。
なんか実際に世界にはそんな子供たちが多く存在することに心が痛みます。
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Unknown (sakaki45)
2024-07-08 21:39:21
りりんさん、コメントありがとうございます。

このサインは、確か頭脳警察の紙ジャケの発売記念イベントのインストアライブにて
書いてもらったものです。PANTAは幾つかサインを持っていますが、
トシのものはこれだけになります。トシは、石塚俊明の本名でも活動していますので、
サインもこんな感じかなと。
見た感じはどちらも怖そうな感じですが、実際には人当たりの良い、いい人たちです。

「戦争を知らないこどもたち」について調べてみたら、北山修さんは出来た歌詞を
最初は加藤和彦さんに作曲をしてもらおうと持っていったら突っ返されたと。
それで杉田二郎さんの所に持っていったという経緯があったようです。
またしてもトノバンとの関りがあったとは。面白いですね。
なお、北山さんは『替え歌を作られるのが大好き』との発言もあったようで、もしかしたら許可は思っていたよりは簡単だったかもしれませんね。

「頭脳警察1」が発売中止となった要因の一つに、あさま山荘事件があったともいいます。
何故か時代の大きな事件とシンクロすることが多いのが不思議です。
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