月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.233 頭脳警察「東京オオカミ」

2024-02-08 01:43:03 | 頭脳警察、PANTA関連

2024年2月5日。PANTAの誕生日だった日に

実質的に頭脳警察のラストアルバムとなる「東京オオカミ」が発売されました。

PANTAの体調が悪い時期だっただけに、制作は難航したようです。

PANTAの体調のいい時にボーカルを先に収録するという異例のスタイル。

「歴史の復讐劇」をテーマにしたこのアルバムは、

どうしても完成させたかったのだろう。亡くなる数日前まで、

アルバムに関して指示を出していたというのが涙を誘います。

 

頭脳警察50周年を契機に、頭脳警察は新しいメンバーを集めてます。

それも若いメンバーを中心に。

ギターの澤竜次さんとベースの宮田岳さんは、元黒猫チェルシーのメンバー。

ドラムは元騒音寺の樋口素之助さん。それに加え、アーバンギャルドの

おおくぼけいさん、後に正式メンバーとなる竹内理恵さんが

最終的なメンバーとなります。

もしかしたら、この時点で若い世代に頭脳警察の名前を

引き継いでもらいたかったのかもしれないですね。

 

 

このアルバムの異色な点は、この若いメンバーとの共作が多々ある事。

PANTAの詞に他のメンバーの曲という感じ。

PANTAの体力的な事情もあるのだろう。

旧曲の再録音も何曲かあるのは仕方のない事か。

若いメンバーに関しては、トシが、

「50周年のときに若い子を入れて良かった。すごくいい。

音がキラキラして新鮮なんです。新鮮な空気と感性、刺激をもらえました」

との発言もあり、試みは成功したと言えるのではないかなと。

 

「東京オオカミ」は、冒頭を飾るハードなナンバー。

東京には狼がいたのではないかという妄想から始まったという。

エンディングが「銃をとれ」と同じような感じなのは、

意図的な事だろうか?

 

 

2曲目の「タンゴグラチア」は、細川ガラシャに関する歌。

丹後とタンゴを掛けたのは如何にもPANTAらしい。

竹内理恵さんのサックスが、頭脳警察に今までなかった感じで

それはそれで悪くないかと。

新メンバーによる旧曲のチャレンジもあるけれど、

異色なのは、宮田岳さんの詞と曲の「ドライブ」

意外と違和感がないかもしれない。

 

 

そして印象的だったのが、橋本治さんの事を思い書いたという、「冬の七夕」。

まさかPANTA当人が七夕の日に亡くなるとは、誰が予想しただろうか。

 

 

そして最後を飾るのは、頭脳警察50周年記念映画の

エンディング用に作られた「絶景かな」。

予てからルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」のような

曲を作りたいとPANTAは言っていましたが、

「絶景かな」が自分のそれに当たるのではないかと思ったら

嬉しくなったとのエピソードがあります。

新たに録音したバージョンで締められます。

 

 

実は、今回収録しようとして出来なかった曲がある事を

ミュージックマガジンの増刊号で知りました。

香港のロックバンド、BEYONDのリーダーだった黄家駒(ウォン・カークイ)の

作品である「遥かなる夢に 海闊天空」です。

ギターの澤竜次さんがボーカルをとっているとの話です。

若い世代に歌ってもらいたいとのPANTAの願いだったそうですが、

著作権関係がクリア出来ず、今回は見送られたとの事。

香港の地下国歌とも言われている曲ですが、

いつか収録してほしいとは思います。

 

 

 



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