月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.13 友川かずき「生きてるって言ってみろ」

2022-02-13 01:56:46 | J.Aシーザー、天井桟敷関連

90年代初めは、殆ど聴く事の出来なかったJ.A.シーザーの音楽ですが、

ふとした切欠で彼の関係する音源を見つけました。

学生時代によく顔を出していた中古レコード屋、

そこで高額の値段を付けていたアルバムがありました。

アーチストの名前は友川かずき。

アルバムの説明書きには超個性派としか書かれていませんでしたが、

それがひどく印象に残っていたわけです。

 

ある時CD屋にて偶然にも友川さんのCDが置いてあるのを

見つけました。この時はアルバムはCD化はしておらず、

徳間時代の初期3枚からセレクトされた初期傑作集が売られていました。

迷わず買って聴いてみたのですが、1曲目を聴いたら

一発でノックアウトされてしまったのです。

「生きてるって言ってみろ」という曲でした。

実は3枚目のアルバム「千羽鶴を口に咬えた日々」というアルバムが、

J.A.シーザーが編曲を担当したアルバムだったのです。

 

「生きてるって言ってみろ」は、最初は2枚目のシングルとして

ダウンタウンブギウギバンドをバックにしたバージョンが発表されています。

 

『生きてるって言ってみろ(歌詞付き)』友川かずき&ダウン・タウン・ブギウギ・バンド - YouTube

 

無難と言えば無難な出来ですが、なまりを無理に抑えたような歌い方は、

友川さんらしさがなく、案の定、売れなかったようです。

(余談ですが、友川さんは「戦場のメリークリスマス」への

出演依頼をされたのですが、秋田なまりを直すことが出来ないと出演を断っています。

代役は坂本龍一さんでした。)

 

やはりシーザーの編曲によるギター1本で叫ぶように歌うバージョンの方が好みですね。

 

生きてるって言ってみろ/友川かずき - YouTube

 

そして更にライブでは迫力を増して、がなりたてる様に歌い、

ギターの弦を切りながら叫ぶのは圧巻です。

 

友川カズキ/生きてるって言ってみろ - YouTube

 

実は80年代に「一家だんらん物語」というドラマでこの曲が主題歌になっていました。

視聴率が悪く打ち切りになったそうですが。

で、この時に別バージョンでのシングルレコードが発売された様ですが、

これはなかなかレアで見かけませんね。

 

それから数年後、シーザーが音楽を担当した音源がCD化されるのですが、

これはまた次回にします。 


NO. 12 J・A・シーザー「国境巡礼歌」

2022-02-10 11:36:44 | J.Aシーザー、天井桟敷関連

もう一人、敬愛するアーチストであるJ.A.シーザーですが、

90年代の初めの頃は、文献でしか名前を見る事がない

幻のアーチストでした。

元々、寺山修司さんの右腕として天井桟敷の舞台の音楽や

映画のサントラを担当したりして、表舞台には出てこない人でした。

発表されたのは前述の音源が殆どで、

自分名義で発表されたのは、デビューシングルと

(当然ながら激レアです。後年になってオムニバス盤にてCD化してます)

ライブ盤であるこの「国境巡礼歌」ぐらいです。

 

1973年2月に日本青年館で開催されたJ.A.シーザーリサイタルを

編集した本盤は、寺山修司さんが構成、演出を担当し、

新高恵子さんや蘭妖子さん、昭和精吾さんらの

天井桟敷のメンバーも参加し、演劇色が強いリサイタルでした。

シーザーの紡ぐ音楽は、和風をベースとしながら混沌とした独特な音楽で、

この時は、初期のピンクフロイドの影響が若干感じられます。

しかしながら唯一無地の音楽は真似が出来ないものです。

確かに聴く人を選ぶ音楽ですが、興味があれば体験してみればと思います。

最後に収録されている「大鳥の来る日」は圧巻です。

 

国境巡礼歌 (full album) - J.A. Seazer & Tenjō Sajiki (1973) - YouTube

 

90年代の終わりになって、突如シーザーは一部で注目される事になります。

「少女革命ウテナ」というアニメで、劇中歌にシーザーの作品が使われたのです。

毎回の決闘シーンで使われたシーザーの曲が妙にマッチして、

アニメファンの度肝を抜く事になったのです。

それ以降、発表される事のなかった作品も世に出るようになりました。

そして「国境巡礼歌」も完全盤も発表されました。

まずは、5枚組の音楽作品集で発表、後にミックスとマスタリングをやり直した

単独盤も発売されています。

 

入手を考えるならこちらの方を勧めたいですが、残念ながら入手困難です。

公演最後に歌われる「山に上りて告げよ」には衝撃を受けました。

 

シーザー関連は、また少しずつ紹介していきたいと思いますが、

マニア以外には需要はないでしょうなぁ。

 


NO.11  映画「ジョン・コルトレーン チェイシング・トレーン」

2022-02-06 23:46:33 | 映画

ジョンコルトレーン生誕95年という事で、

ドキュメンタリー映画「ジョン・コルトレーン チェイシング・トレーン」が

ロードショー公開されています。

アメリカで製作されたのは2016年でしたが、

日本で劇場公開されるのは初めてだそうです。

 

ジョン・コルトレーンに関しては、殆ど知識を持たない自分ですが、

フランスのプログレッシブグループのマグマのクリスチャン・ヴァンデが

コルトレーンを敬愛しているという事で、いつかはじっくり聴きたいとは

思っていましたので、いい機会と思い映画を観る事にしました。

幸いにも地元の名画座的存在の小さな映画館で公開されていましたので、

休みの時に行ってきました。

 

映画自体は、真面目なドキュメンタリーでしたね。

コルトレーンの演奏や映像が流れながら、色々な方のインタビューが中心となってます。

ソニー・ロリンズ、マッコイ・ターナー、ウェイン・ショーター、

ウィントン・マルサリス、カルロス・サンタナ、

ドアーズのドラマーだったジョン・デンズモア、

そしてクリントン元アメリカ大統領等。それはそれで貴重な証言です。

しかしながら、これを見ればコルトレーンのすべてがわかると

いう感じではなく、抽象的な話が多かったですね。

酒とドラックでバンドを首になったりしていたようですが、

どのようにして立ち直ったのかとか、

マイルス・デイビスと行動を共にしていた時のとっておきのエピソードとか

晩年にフリージャズ寄りになってきた時の心境の変化とか、

その話があればよかったのにと思ってみたり。

まあ、それでも今までじっくり聴く事のなかったコルトレーンの演奏や映像を

観れたのはよかったですね。

 

そして印象的だったのは、最後の方で亡くなる直前の唯一の来日公演、

本人の希望で広島と長崎を公演地に入れた事、

長崎に到着してすぐにホテルに行かず、長崎の爆心地跡に向かい、

手を合わせ祈っていた事。

決してパフォーマンスからの行動ではなく、

純粋な気持ちからの行動とわかります。

映画には、元NBCのアナウンサーで長崎公演の司会を務めた福島長治さんの

インタビューもありました。

その時の撮影についてNBCのニュース特集の映像もYouTubeにありました。

 

ジョン・コルトレーンと長崎 - YouTube

 

長崎公演では、「ピースオンアース」も演奏されました。

この地で演奏することに意義があったと思います。

 

日本公演の翌年、若くして肝臓がんでこの世を去ります。

もっと生きていれば、ミュージックシーンも変わっていたかもしれませんね。

 

本編はこれまで。続いて予告編です。

 

3月以降の予定を確認したら、音楽関連の映画が結構ありますね。

ジャズだと没後40年になるセロニアス・モンクのドキュメンタリー2本。

それぞれ3日間のみの上映ですが、料金1000円だから行こうかな。

デヴィッド・ボウイ生誕75年、「ジギー」誕生50年という事で、

「ジギー・スターダスト」今年はボウイ関連のイベントが多いかも。

 

これも注目したいですが、「ロック・フィールド 伝説の音楽スタジオ」

 

クィーンの「ボヘミアン・ラブソディ」が録音されたスタジオといえば、注目したいですね。

以前、NHK-BSでテレビ用短縮版が放送されたという事ですが、こちらは完全版という事です。

これは見に行くかなぁ。

 

もう一つ注目したいのがこちら

 

 

日本に返還直前のコザにタイムスリップしたというSFチックな話ですが、

紫が全面協力したという事で、音楽面は期待出来そうです。

主題歌はオレンジレンジですが。

まあ、どれも大きめの映画館では見れないものばかりで上映期間も短く、

見逃すとなかなか見る機会はないですね。予算足りないや…。


NO.10  2月5日は…。

2022-02-05 22:58:58 | 頭脳警察、PANTA関連

2月5日は、敬愛しているアーチストのPANTAの誕生日です。

もう72歳になるのですが、現在は療養中のようで、

ルーフトップにコラムを連載してますね。

 

Rooftop - LOFT PROJECT発、エンターテイメント・メディア Rooftop! 古今東西南北、ポップカルチャー最前線。 (rooftop1976.com)

 

もう一度、やかましいロックを聴かせてほしいです。

 

で、本来ならPANTAの最高傑作と名高い「クリスタルナハト」について

書こうと思ったのですが、CDや当時オフィシャルで発売されたビデオが

どこかにしまい忘れてしまった様で行方不明となっています。

少々気が滅入ったので他の話題にします。

 

1979年に発表されたのが、待望のバンドPANTA&HALの「マラッカ」です。

(ちなみにHALは、IBMの1歩先を行くという事で、

IBMのアルファベットの語順を1つずつ先にするとHALになるそうで)

プロデュースは、ムーンライダースの鈴木慶一さん。

オイルロードをテーマに、サンバやレゲエの匂いをさせながらも、

ロックを感じさせる好盤。個人的に好きなのは、

アラビアのロレンスへ捧げたとされる「ネフードの風」

 

 

 

続く「1980X」は、東京をテーマとしたアルバムで、

情熱的とも言える「マラッカ」に対してクールなイメージ。

「キック・ザ・シティ」、世界初の試験官ベイビーの事を唄った「ルイーズ」等

傑作も多いけど、お勧めは「トリックスター」ですね。

 

 

その後、ライブアルバムを発表後、惜しくもPANTA&HALは解散、

その後は、スィート路線の例のアルバムを発表。物議を醸しだすことになりますね。

 

本編はこれで終了。ここからは蛇足です。

シティポップの記事について調べる為にYouTubeを検索したりしましたが、

PANTAがアイドルとかに提供した曲も色々上がっていて吃驚。

ホント、何でもありの世界だなぁ。

個人的に気に入ったのは、岩崎良美さんの「vacance」ですね。

PANTAが作曲をしています。何度も聴きたくなるようないいメロディだと思います。

親衛隊のコールも時代を感じて、当時ウザいと思っていたのが今はどうでもいいかなと。

 

 

荻野目洋子さんには「昨日より輝いて」を提供していますね。これは異例の事ですね。

 

 

ちなみにPANTAのオリジナルはこちら。

 

 

「昨日より輝いて」が収録されている荻野目さんのアルバム「FAIR  TENSION」、

これはプロデュースもPANTAがやっています。

10年ぐらい前にボーナストラック付の紙ジャケ高音質CDも出ていますが、

現在はちょっとプレミアも付いているみたいで吃驚。

普通の値段で買える所ないかなぁ。


NO.9 年に一度のお楽しみ

2022-02-03 08:35:54 | アラカルト

レコードコレクターズ誌に関しては、気になる特集の時だけ購入していますが、

毎年2月号だけは、特集に関係なく購入しています。

何故かというと、毎回リイシューアルバムのベストと

関係者による「私の収穫」が載っているからです。

 

リイシューのベストに関しては、読者が選ぶベストと

ジャンルごとのベストが掲載されています。

ロック、ジャズから歌謡曲ワールドミュージックまで

細かく分かれていますね。

近年は、やれ5枚組だ10枚組だ20枚組だと

大作が多くリリースされてばかりなので、

コレクターの方々は収集も大変だろうなと感じます。

昨年度で言うと、ビートルズの「レットイットビースペシャルエディション」とか

評価が高かったですが、値段がねぇ…。

個人的には、ピンクフロイドの「原子心母・箱根アフロディーテ50周年記念盤」が

日本独自企画として評価したいですが、やはりぼったくりの値段がねぇ…。

そして絶対再発されないと思われていた唐十郎さんの「四角いジャングルで唄う」が

CD化されていたのを知って驚いたのでした。

 

「私の収穫」は、マニアでも知らないような一品から個人的に思い入れのあるものまで

ライターやシンガーの方々の昨年度に入手した一品の紹介で、

こんなものがあるのかと、毎年楽しみに読まさせてもらっています。

コレクターの方々は、どういう風に情報を集めているんですかねぇ?

気になります。