月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.165 泉谷しげる「ひとりフォークゲリラライブ」

2023-07-05 21:31:04 | 厳選ライブ盤

ここ数年、嘗て活躍していたアーチストが高齢になり、

亡くなられたり病気になったり、引退を表明したりと

いう話を聞くようになりました。

しかしながら、高齢のはずなのにずっとエネルギッシュな活動をしていて

年齢を感じさせないアーチストも中にはいます。

その中の一人が泉谷しげるさんです。

今年の5月に75歳記念のライブを行っています。

2部構成で普通は演奏リストを変えないのですが、

泉谷さんは曲目の被り無しで演奏したのだから凄いというか、

サービス精神に溢れているというか。

更にリハーサルに10時間かけたとか、

そのパワーはどこから来るのでしょうか?

振り返らない泉谷しげる75歳【ビルボードライブ東京レポ】いつだって今が最高!

 

ちなみにこの時のライブの模様は、

2023年07月29日(土) 17:00〜18:30 

にCSの歌謡ポップスチャンネルで放送されますね。

うちはケーブルテレビと契約していますので、見ようかと思います。

時間的に短めなのが残念ですが。

ちなみにこの日は、岡林信康さんと共演した「ふたりのビックショー」や

番組独自に泉谷さんの楽曲の解説をした「泉谷しげるコレクション」も

放送予定で、7月29日は泉谷デーとなります。

 

前置きが大変長くなりましたが、自分が泉谷さんのライブを見たのは

何回かしかなく、それもイベントに参加した時に見たくらいです。

1993年の骨髄バンク登録推進のイベントにて見たライブの印象は

強烈でした。(このイベントには他に目的がありましたが、

また後日に記事に出来ればと思います)

これと同時期に演奏され音源化されたのが「ひとりフォークゲリラ!」です。

奥尻島を救援する為に「お前ら募金しろ!」と

声高々にライブをしていたのを覚えている方もいるでしょう。

その時の生々しい記録となりますが、最初から

「戦争を知らない子供たち」の替え歌で某角川書店の元社長を攻撃したり、

更に追い打ちで「黒いカバン」の歌詞を変えて非難したりと

まぁやりたい放題ですね。流石に大手のレコード会社から出せず、

インディーズからの発売となっています。

何というか、会場を盛り上げようとする泉谷さんのバイタリティは

凄いの一言です。もちろんおちゃらけだけでもなく、

本気の演奏もしています。CDからでも熱い熱気は感じられます。

テーマ曲ともいえる「なぜ、こんな時代に…」は会場と一体となって

みんなで歌ったりしています。こうして苦労して1000万円以上の寄付を

集めています。自分で偽善者だ、売名行為だとうそぶいていますが、

支持を得たからこその集まった金額だと思います。

 

 

更に余談ですが、泉谷さんが本気でロックをやっていた時は

本当にカッコいいのです。80年代末のルーザーは、

メンバーが吉田建さん、村上“ポンタ“秀一さん、下山淳さん、

そして仲井戸麗市(チャボ)さんという強力なメンバーでした。

今聴いても鳥肌が立つような演奏です。

 

 


NO.164 頭脳警察「仮面劇のヒーローを告訴しろ」

2023-07-02 00:28:22 | 頭脳警察、PANTA関連

2023年6月3日、渋谷ラママで行われたイベントで

アンコールにて出演したPANTAの映像が公開されました。

今年になって危篤とさえ言われていた人が、半年も経たないで

ステージに上がるとは、驚異的な回復力かと。

しかも歌われたのは、「銃をとれ」と「ふざけるんじゃねぇよ」といった

ロックなナンバーです。如何にもPANTAらしいなぁ。

 

 

隣で演奏していたトシとも仲睦ましい様子を感じさせましたが、

一時期、PANTAとトシは別行動をとっていました。

「仮面劇のヒーローを告訴しろ」はそんな時期に作られたアルバムです。

このアルバムは1973年に発売されたもので、

(このアルバムも50周年ですね)当時、一時的に脱退していた

トシに代わってスタジオミュージシャンが参加しています。

(女性コーラスやオーケストラまで導入されています)

そのため、反体制的なメッセージやむき出しのサウンドとは違って、

ポップで洗練されたアレンジが特徴的です。

しかし、それでもパンタの個性は十分に発揮されており、

社会風刺や皮肉などが随所に見られます。

例えば、「イエス・マン」ではリーマンを揶揄し、

「仮面劇のヒーローを告訴しろ」では偽善者や権力者を批判し、

「間違いだらけの歌」では自分自身の立場や信念を問い直しています。

 

参加したスタジオミュージシャンは、ギターに水谷公生さん、

ベースに武部秀明さん、ドラムに田中清司さんです。

ちなみに、この3人が参加した他のミュージシャンの曲はこんな感じです。

 

 

 

やっぱり、当時売れっ子だけの事はありますね。

ただ、頭脳警察のイメージには、しっくりこない部分があるかと。

とはいえ、その中でも水谷公生さんのギターは

いい仕事をしていると思いますね。

(水谷さんに関しては、もう少し掘り下げて記事を作りたいです)

タイトル曲の「仮面劇のヒーローを告訴しろ」でのギターは印象的です。

(この曲はベルギーの画家のジェームス・アンソールの描く世界が

モチーフになっているとの事です。頭脳警察としては異質な作品ですね)

 

 

後は「間違いだらけの歌」とかは頭脳警察らしいナンバーで好きですね。

 

 

頭脳警察は過激だけではないと訴えようとしていたかもしれませんが、

実際に求められるのは過激な曲ばかり。

そういったイライラが積み重なって、数年後の解散に向かう事になります。