おしゃべりピアノの今日の一言♪

考えたこと感じたことを 気ままに徒然に〜

アルバイト

2008年09月15日 | Weblog
この季節になって思い出すこと…もう1つ…アルバイトがあります

大学の頃から、楽譜代や本代を稼ぐために、しばしばいろんなアルバイトをやりました~
それが、あんまり音楽に関係することではなく…某落ちこぼれ君たちの学習塾の講師、コンビニ、某テレフォンショッピングの苦情係、ヨーカ堂の棚卸し、ブライダルモデル、古河の桃娘(バイトのつもりが髪結い代などに消えて全然ダメでしたが)、ドイツの医学書出版社(で雑用)などなど…ほんとにさまざまな人生勉強させていただきました

かれこれもう、5年以上前?もっと?…まだ今ほど忙しくなかった頃、ある新聞の折込チラシで「栃木自治医大でのアルバイト」というのを発見。うどん屋さんなのに、グランドピアノの挿絵が付いている!うどん屋にピアノ???
好奇心から、早速、面接にでかけた

自治医大までは、新4号を使っても家から、45分はかかる遠距離。
ようやく着いたら、期待どおり!地下のうどん屋さんには、木目調のスタインウェイが!!!
なんでもそのうどん屋さんのオーナーは大学書房?に関係する本屋さんで、音楽愛好家でもあり、3時の休憩時間には、患者さんのために週に2回、ミニコンサートをやっていいとのこと…
まぁ、うどんを運ぶのも面白そうだし、ピアノも弾けるし、一石二鳥「やった~」と早速、バイトをやることに決まりました。

しかし…そんなにバイトは甘いものではなかった…
だいたい、病院が始まる前の早朝から、掃除やうどん、喫茶関係の準備をやり、10時頃からは、もう患者さんのご家族やその他、いろんなお客様がいらっしゃる…食品関係のアルバイトは未経験の私の手際の悪さったらない…一生懸命やってるんだけど、なんだかいつも足手まとい

コーヒー紅茶の類は、いつも気をつけて運んでいるのに、歩き方がバウンドしているせいか、いつもお盆に少しこぼれてしまうし、大きく広がったかき揚は、もみじの葉のように立てて運ばなきゃいけないのに、「あっ!」と思った瞬間には、いつも汁の上にかぶさって浸してしまったり…一度は、巨大な湯沸かし器のお湯の栓を閉めるのを忘れて、辺り一面お湯で溢れているのに気がついたオーナーから「だれだぁ~!」と怒鳴られ…
ついでに、お昼の定番メニューで、お稲荷さんのかんぴょうを巻くことを頼まれれば、いちいちかんぴょうが切れて使い物にならないし…あげればきりがないくらいの失敗の連続で…

でも、それでも2ヶ月も続けられたのは、やっぱり午後3時から30分間のピアノタイムがあったから…
もちろん、ベートーヴェンでも悲愴ソナタの第2楽章とか、癒し系のポピュラーなものとか、静かな曲という指定はあったんだけど、でも誰かの為に弾ける、って嬉しいことだった…
その時間は、各病室から患者さんが出て来られて、みんな楽しそうに聴いてくださるんだけど、ときどき印象的な出来事があった…
”エリーゼのために”を弾いて、と頼まれたので弾いていると、「あたしも弾ける弾ける~」と明らかに成人した女性と思われる方が、まるで4,5歳児のような感じで寄って来られたので、驚いて交代すると、それは幻覚だったのかその場で笑い出されたり、品の良い初老の方が「私が好きな曲はこれですよ」と言われて、いきなりショパンのエオリアンハープをかなり上手に弾かれたり、かというと何気なく天空のラピュタか何か弾いていたら、突然泣きながら「これを弾こうと思っていたら、手術が決まっちゃったんですよ」と言われたり…

普通の病院と違って、自治医大は1日や2日で出られる人は少ない、みるからに重いご病気の方がたくさん入院されている。「あなたの人生は明日で終わりですよ」なんて、いつ言われるかわかったもんじゃない。
こんな小さな窓から、外をながめるだけの日々になるまで、まだまだ自分にはできることがあるかもしれない、なんてその時に思った。
人間、生きているのは普通なんじゃなくて、感謝しないと…とそのアルバイトを通じて、痛感した。

しかし…そうはいっても血の気の多いお年頃…どうして2ヶ月で辞めたのかって?
はい、これはまたの機会に…