星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(86) 中古車物語(3)

2008年10月03日 12時27分12秒 | Weblog
二度あることは三度ある。カウボーイからもう一度ゆっくり車を見せてくれとの電話が来て、三回目の商談に出かけて行きました。

「三度目の正直」より「仏の顔も三度まで」の予感が的中し、約束の時間より15分遅れてきて、「娘は三台のバイクを載せたいとのことで、やはりサイズに問題あって、どうも乗り気ではない」とカウボーイ。

おいおい、昨日まではそんな話は無かったじゃん。大型撮影機材が載せられるかどうかと訊いてたじゃん。あんたと同じネンキンマンだから、そりゃたしかに俺も閑だよ。でも、そんな話なら電話で済ませばよかったじゃん!声にならない私の心の叫びを聞いて聞かない振りをするかのように、カウボーイはまだ未練たらしく車の細部をチェックし続けています。そして、「もう一度15~6分試乗させてもらっていい?」だと。もうこの話し流れたんじゃなかったの?

でも、性善説を信じる私に否やはありません。ましてやお世話になっているケロウナの善良な市民のはずのオールド・カウボーイの願いとあってはオッケーするしかありません。俺も試乗するからあんたのキーも置いてって、とキーを預かったものの、今更未練たらしく試乗してナンになる(でも惜しいことしたなぁ。あの車、結構気に入ってたのになぁ・・・私も未練タラタラです)。傍らのコーヒーショップで時間を潰すこと15分、人手に渡りそこなったサイドキックの勇姿がショッピングセンター駐車場に戻ってきました。

車から降りたカウボーイ、妙に恥ずかしそうに、もじもじしながら喋りだします。

家まで行って女房に見せたら、女房がすっかり気に入って「これこれこれ!私が欲しかったのはこんな車なの!今の車は大きすぎて駐車にも難儀するし、あれはあなたが乗って。私はこれに乗るっ!」だって。"You can't win." (女房にゃ逆らえない)。娘にはつべこべ言わせないと元気だったカウボーイも奥さんの前では従順な子牛みたいになるらしく、なんともユーモラスな、憎めないオヤジです。

末娘にはさんざん踊らされましたが、末娘に代わってオッカサンが登場。オッカサンの一言で物々交換は無事に一件落着となったのでした。どこの国でもオッカサンの発言力は侮れませんね。でも、末娘は本当にいたんだろうか?カウボーイのあのはにかみようはナンだったのか?聞かぬが武士の情けかな?

紆余曲折はありましたが、スワップ成立したからには善は急げです。お互いに気の変わらないうちに、本日BC州保険事務所に出向き売買手続(売買価格ゼロの物々交換手続き)を済ませてきました。両者が書類にサインして、交換に応じてそれぞれの保険を書き換え、元のナンバープレートを新しい車に付け替えるだけでした。手続きのすべては一時間たらずで終了です。書き換えにかかった費用は11ドル。日本での手続きと経費を思うと、まさに別世界としか言いようがありません。

初めての出会いでお互いに一目ぼれ。一気に愛を育てて6日後には電撃入籍と言うに等しい愛縁奇縁。日本ではまず出来ない経験をカナダでさせてもらいました。

余計な出費無しで新しい車を手に入れた、日本とカナダのネンキンマンの物語。これで一巻の終わりです。長々とお付き合いいただき、有難うございました。

因みに、サイドキックちゃんに代わる我が家の新愛車はマツダ製のMPV というバンですが、今後の活躍に期待を込めて「MVP」と命名しました。以後お見知りおきを!

年式は訊かないのが武士の情けというものです。