星さんぞう異文化きまぐれ雑記帳

異文化に接しての雑感を気ままに、気まぐれに

ケロウナ便り(119) 商売人の心意気

2013年06月01日 23時45分15秒 | Weblog
こんなことってあるんですね、カナダで!

我が愛車MVPくんのフロントガラスには運転中に飛んできた小石の仕業の小さなチップがあり、以前から修理しようと思いながらほったらかしにしてきましたが、そろそろ年貢の納め時とばかり今日ガラス修理専門店の門を叩きました。



小さな傷をチェックしてくれたメカニックが「これは前に一度修理していますね」と言いながら、傷口の周りを丁寧に磨くようにして新たな補修作業を進めてくれました。これ以上傷口が広がらないようにする応急処置ではあるが、同じ箇所に大きな石でも当たらない限り突然フロントガラスが粉々に飛び散るようなことはないとの有り難いご託宣。夏の3~4ヶ月だけ主に市街地を走るゴールド免許の私としてはこれでしばらく安心して走れるというものです。

カウンターに戻って支払おうとしたら、店長さんとおぼしき御仁がニコニコしながら「必要ないよ」とおっしゃる。「はぁ?!What?」狐につままれたような私。「だって、14~5分かけて作業してくれてるんだよ。そりゃないんじゃないの?」

いいからいいからとおっしゃる店長さんを追いかけて、「じゃあのメカニックと一緒にコーヒーでも飲んで」と、固辞する店長さんに何がしかの感謝のしるしを手渡すのが精一杯でした。去年まで営業していた自動車修理工場が閉まった跡地に新規に開店したガラス屋さん、顧客囲い込みのためか大サービスですね。

フロントガラスが粉々になったら、間違いなくお宅にお世話になるからね。待っててね!
その前に、みんなに宣伝しとくからね。お宅のセールス手伝うからね。

自動車ガラスのことならなんでもCrystal Glassにお任せ下さい!詳しくはホームページをご覧下さい!


実は、こんな経験は初めてではないので余計びっくりしているのです。
昨年の夏、ゴルフに行く途上で友人の車がハイウエイでパンクして、タイヤの修理をしてもらった地場の優良企業KAL TIREという店でも同じような場面に遭遇してびっくりしたものでした。

車をジャッキアップして、素人目にもそれと分かるタイヤ修理の実作業を15分ほどかけて完了してくれて、支払いの段になったら、「今日はいいですから」とのたまう。何故?と聞き返せば「最近開店したばかりなので、お客様に知ってもらえれば十分」と涼しい顔でスタッフ同士がニコニコ顔を見合わせながらこちらに応える清々しさ。

「次にタイヤ換える時は間違いなくお宅で新品に交換してもらうからね」と言いながら、清々しい気持ちになって店をあとにしたものです。お礼の印に遅ればせながらKAL TIREのサイトもご紹介しておきましょう。

見上げたもんだよケロウナ商人の心意気!

ケロウナ便り(118) 乳児の独り立ち

2013年06月01日 00時21分08秒 | Weblog
不憫と言えば不憫、さすがと言えば流石。アメリカの子供は乳児から独り立ちの訓練を受け、社会性を身につけるようです。

昨年初孫を授かった娘は、サンフランシスコ近郊のフリーモント(Fremont, CA)の小学校で言語聴覚士(Spoken Language Pathologist, SLP いわゆるSpeech Therapist)として仕事をしています。産休とそれに引き続いた夏休みの期間中、手伝いに飛んできたバーバの大活躍もあって出産直後の難しい時期を無事乗り切れました。しかし、9月からは新学期も始まるし、バーバも手伝いを終えてジージのもとに帰ってしまうし、乳飲み子を抱えた共働き夫婦は一体どうやって生活するのか、特に育児はどうするんだと気を揉んだものです。

共働きが当たり前のアメリカ、新生児を預かるデイケアが充実しているのは流石です。
自宅の一室を保育施設として使用して新生児ばかり3~5人を預かって面倒見てくれる保母さんが家の近くに見つかったことはラッキーでした。早朝6時から午後6時頃までのケアをしてくれるそうです。

シリコンバレーに通勤する関係で出社の遅い婿さんが9時半頃デイケアに孫を連れて行き、出勤も退勤も早い娘が夕方4時頃デイケアから孫を連れ戻すパターンですから、孫はデイケアに毎日6時間ほどステイしている計算です。夕食・入浴を済ませて7時半頃には寝てしまう孫と一緒にいられる時間は、平日は母親は夕方の3時間、父親は朝の3時間程度ですから、デイケアの保母さんの方が一緒にいる時間が遥かに長いのです。保母さんに見せるこぼれるような笑顔を見ると「複雑な気持ちになる」との婿さんの言葉が良~く分かります。

その代わりというか、それが故にというべきでしょうが、週末には一週間の借金を返すかのように親子べたべたサービスの時間です。育児はカミさんに任せっきり(というより自分では逃げていた?)の母子家庭同然であった我々の世代とは異なり、子供に接する婿さんのまめまめしいイクメンぶりには感心することしきりです。これがあって初めて共稼ぎが出来るんでしょうね。

生後4ヶ月の乳児にして、両親ではない人の手に育ててもらう事実を皮膚感覚として理解しているのではないかと思いたくなるほどに、ずいぶんとオトナっぽい?賢い一歳児に育っている、我が孫でした。



独り立ちの象徴的なものとして珍しいものに出会いました。親が添い寝する日本では見たことのなかった、「子供モニター」です。子供部屋のベッドの上にカメラを取り付け、別の部屋から子供の動きをモニターする仕掛けです。寝付くまでの間、ベッドの上で悶々として転げ回る様子がモニターに映し出され、物珍しげにカメラを覗き込む孫の目とモニター越しにこちらの目が合ったりするとドキッとしますが、そのうち誰もあやしにこないと分かるとおとなしく寝付く、こうして早くも乳児期から我慢することを覚えるのかと思うと、なんともいじらしくも愛しい光景ではあります。