七草セリと猫の部屋

猫と料理に夢中な漫画家のグダグダ日記

「きつねのでんわボックス」

2010-07-20 11:04:46 | 日記
   


「きつねのでんわボックス」という絵本です。
'96年の初版以来、40万部を超えるロングセラーになっている絵本だそうです。
恥ずかしながら、私はこの絵本の存在に気がついていませんでした。

以前毎日新聞に作者の戸田和代さんのことが載っていて
それがきっかけで、この絵本にも出会うことができました。

作者の戸田さんは小さい頃に読んだ「安寿姫と厨子王丸」で、
親や姉弟が別れ別れになってしまう話に「こんなかわいそうで
ひどいことがあるのか。」と強いショックを受けて、以来親子が
生き別れになるなんて、考えるだけで恐ろしくて悲しくて、夜に
ふと思い出しては涙で枕がぐしょぐしょになるまで泣いたりして
いたそうです。

その気持ちは大人になってもずっと引きずっていて、いわゆるトラウマに
なっていて、そんな時に谷内六郎さんの絵本歳時記で「夜の公衆電話」と
いう絵に出会います。
闇夜にぽっと明るい公衆電話でキツネが電話をしている絵。

それを見て「キツネで親子の別れの物語を作ろう。」と
一気に書き上げた作品がこの「きつねのでんわボックス」だそうです。
子ギツネを失った母ギツネが山のふもとの電話ボックスで男の子と出会い
悲しみを紛らわせます。

男の子は入院中の母親に毎日電話をかけにくるのですが、ある夜故障で
使えなくなり、母ギツネが電話ボックスに化けます。
男の子は気がつかずに母ギツネに話しかけ、そこで母ギツネは男の子が
引越ししてしまうことを知ります。

電話ボックスで話す男の子は、実は母ギツネに抱かれているのです。
それぞれ違うものが体温を感じ、心が通じ合えることが描かれています。
「子ギツネは心の中にいて、いつも一緒にいる。」と気がつく場面は
戸田さん自身のための気づきにもなりました。

別れは何でもないことだと思え、長年背負っていた大きな荷を下ろした
ような気持ちになったそうです。
書く事によって、自身のトラウマから解放されたんですね。

この記事を読んで、さっそく書店に行って「きつねのでんわボックス」を
手に取って読んでみました。
最後のシーンは・・・予想していなかったもので、え?と思って
じわっと涙が出てきてしまいました。
立ち読みしていて泣くって・・・超カッコ悪いです。

悲しくて泣けたのではなくて、うわ、なんて優しい~、という感動で
涙が溢れるエンディングでした。
その場で買いました。
心の一冊です。

私も親がらみのトラウマをずっと抱えていて、それがトラウマだと
気がついたのは20歳を超えてからという鈍さで、30歳を超えた辺りに
ようやくそのトラウマから脱却できました。

なんだそんなこと気にするほどのことでもないじゃんと気楽に考えられる
ようになって、随分楽になりました
20歳からの10年間、いろんな人達に出会って世界がぐんと広がったのが
良かったんだと思います

それまで読んでいなかった本とか詩とか読み始めて
美術展に行くのも好きになったりお芝居や映画も熱心に観に行ったり、
自分自身が豊かになって初めて自分を客観的に眺められるようになったのです。
それまで、どうせ世の中なんてつまらない。
感動もなく気持ちはどこかグレーでした。

鏡をいつも目の前にくっつけて自分をみていると何も見えませんよね。
離して眺めると、自分の顔も周りの景色も人も見えて、
いろんなものにも気がついて総合的に自分を判断できるようになるんです。

だから無知でいることは怖いことだとつくづく思います。
どこにも出かけないで、行かなくてもわかっている、とか
会ったことのない人を、だいたいこんな人だと思うとか
上から目線で納得しているのかなりマズイです
行ってみなきゃ、会ってみなきゃ、自分が本当はどう感じるのかなんて
わからないんだからね~


ちなみにワタシ的には、自分にトラウマがあったことにも感謝です。
漫画を描く上ですごく役に立っているんです。
世の中無駄なことなんて、ないよね~~。


   


「ムニャムニャ・・もう食べられないよ・・・」byタビの寝言


   


「最近ハムないよね・・・ブツブツ・・・ちゃんと買っておいてよね」byミィスケの小言


   


「スピ~・・・」文句言いつつ結局寝るんだな
猫の幸せって、よく寝てよく食べることなんだね~


   

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