先手の升田先生の手を考えます。
第1問
8筋はどうしましょうか。
A 86同角 B 66角 C 54銀
第2問
この駒の配置は、先手の攻めが続くのです。手順を読んでみましょう。
A 33歩成 B 14歩 C 45銀
第3問
この頃の升田先生は受け将棋です。
A 58角 B 55角打 C 37同銀
第4問
この攻め方がぴったり。
A 44桂 B 36歩 C 55桂
第5問
格好よく寄せました。
A 62角 B 63桂右成 C 83桂成
今日の棋譜20220704
1936年11月、大和久彪(おおわくたけし)先生と東京中外新報(新鋭登竜戦)です。
現代ならばゴキゲン中飛車のスタートになるかもしれませんが、52飛ではなくて55歩。
24歩同歩同飛32金34飛。戦後まもなく流行した(塚田木村戦など)、52飛24飛56歩と進む急戦があります。
ですがこれよりも後の時代ですから、先手が横歩を取って、後手が中央位取りに構えるという構図になります。戦前までは中央位取りの評価が高かったのです。もっと後に大山先生がひねり飛車にした将棋がありましたっけ。先手が作戦勝ちになりやすいです。
升田先生は矢倉にして
後手の64銀に合わせて66銀。角を使いにくかったから、このほうが良いでしょう。
右銀は棒銀で使います。互いに飛先の歩を切ったので、戦型としては相掛り(全集の分類は横歩取り)です。
33銀と受けられると、24歩同歩同銀から銀交換しても大きな効果はないでしょう。
31角～42角と受けられたので銀を引きます。
中央に勢力を集めて、形が決まりました。2歩持って攻めやすいので先手の作戦勝ちでしょうか。
先手がゆっくり端の位を取っていたので、大和久先生から動きます。
75同歩38歩。38同飛75銀同銀同角28飛は後手良しに見えませんが、
升田先生は と金を作らせて3筋の歩を伸ばします。
75銀22歩同玉55銀左。激しい戦いになりました。大和久先生は86歩同歩87歩77角86銀と攻める方が良かったのですが、
77歩同角86歩。これは87に後手の歩があるかどうかで違いが出てきます。
86同歩同銀の時に、同角同飛87歩84飛。升田先生は角銀交換でも8筋を受けることができました。
駒損なのですが、54銀に同飛だと41銀とか45銀とか45銀打で攻めることができます。なので大和久先生は38と。
38同飛に27角から馬を作ってどうか。39飛38歩29飛54角成という手順なので、後手の歩切れだから面白くないかな。
45銀打87馬。今の将棋ならば8筋はそのままに、攻めて勝てないかを読むところですが、
升田先生は44銀同歩87金同飛成78銀88竜79金。駒損はかなり消えましたが、竜を作られています。
84竜25桂24銀
33歩成同桂同桂成同銀34歩。これは結構うるさくて、
34同銀35歩、銀を逃げると34桂があります。大和久先生は39歩成でごまかしに行きますが、
39同飛28金37飛36歩同飛25銀。飛取りで銀をかわしたのですが、
やはり34桂があって、31玉42桂成で駒損です。
代わりに飛を詰ましましたが、こんなところに金銀を投資してよいはずがありません。
66角82竜44角
17銀成同香39飛59銀。ここは遊んでいる金を使って38金が正しいはず。先手が持ち駒を使って守っているので難しい形勢でした。
48歩同金37桂、なんだか重い攻め方です。でも受けもないのかと思ったら、
升田先生は55角打ち64桂37銀。受かるのですね。
37同歩成層角38金、これでも後手が28金を使えたので難しいのですが、
38同金同飛成48金39竜55角上。歩切れでは攻めにくいか。でも38銀～49金はあったようです。
54金11角成55金同馬。二枚替えなので先手良しでしょう。後手は歩切れなので3枚替え、先手の駒得です。
85竜44馬33銀54馬35竜寄。大和久先生は難しい手順で歩を手に入れて、竜2枚で攻防になっている感じですが。ここで38香36歩32金同金53馬が王手竜取り(私には思いつきませんが)。それを含みに32歩で様子を見るのもあったか。
升田先生は21金41玉43香。21金が気に食わないけど、これでもいいのかなあ? 26角から攻め合われたら難しかった(金を取って49金打のような展開)ようです。
52玉42香成同銀55桂。33竜には44金ですから、受けが無くなっています。大和久先生の52玉が敗着になりました。
74角75歩
53歩43金62玉74歩
54歩95角。後手が歩を持っていても厳しいですが、歩切れでは合駒をする気にもなりません。
72玉73歩成同桂74歩82角。駒損をする受けではだめなのです。
83歩同玉73歩成同角75桂
74玉73角成同玉62角。ちょっと格好いい捨て駒で、升田先生の寄せが完成します。
62同玉63桂右成71玉83桂成で詰めろ。受けはかなり難しいです。
59竜同玉39竜49飛95角77桂まで。
形勢が揺れ動いているところがあるのですが、おおむね升田先生有利で進んでいます。大駒よりも金銀で受けて勝った感じです。この時代は受け将棋の面もかなりあったのでしょう。大和久先生は何度かチャンスがあったのですが。
この将棋が新鋭登竜戦の決勝戦みたいなもので、2人とも五段に上がった(6人のうち3人)のだと思います。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.50 棋譜ファイル ----
開始日時：1936/11/00( ) 00:00:00
棋戦：東京中外新報
戦型：横歩取り
手合割：平手
先手：升田幸三
後手：大和久彪
後手省略名：大和久
手数----指手--
1 ７六歩(77)
2 ３四歩(33)
3 ２六歩(27)
4 ５四歩(53)
5 ２五歩(26)
6 ５五歩(54)
7 ２四歩(25)
8 同 歩(23)
9 同 飛(28)
10 ３二金(41)
11 ３四飛(24)
12 ４一玉(51)
13 ３六飛(34)
14 ６二銀(71)
15 ２六飛(36)
16 ５三銀(62)
17 ２八飛(26)
18 ２三歩打
19 ５八金(49)
20 ８四歩(83)
21 ７八銀(79)
22 ８五歩(84)
23 ７七銀(78)
24 ７四歩(73)
25 ７八金(69)
26 ４二銀(31)
27 ３八銀(39)
28 ６四銀(53)
29 ６六銀(77)
30 ６二金(61)
31 ２七銀(38)
32 ８六歩(85)
33 同 歩(87)
34 同 飛(82)
35 ８七歩打
36 ８二飛(86)
37 ３六銀(27)
38 ５三金(62)
39 ３五銀(36)
40 ３三銀(42)
41 ３六歩(37)
42 ３一角(22)
43 ６九玉(59)
44 ４二角(31)
45 ４六銀(35)
46 ５四金(53)
47 ３七桂(29)
48 ４四銀(33)
49 １六歩(17)
50 ３一玉(41)
51 １五歩(16)
52 ７五歩(74)
53 同 歩(76)
54 ３八歩打
55 ３五歩(36)
56 ３九歩成(38)
57 ３四歩(35)
58 ７五銀(64)
59 ２二歩打
60 同 玉(31)
61 ５五銀(66)
62 ７七歩打
63 同 角(88)
64 ８六歩打
65 同 歩(87)
66 同 銀(75)
67 同 角(77)
68 同 飛(82)
69 ８七歩打
70 ８四飛(86)
71 ５四銀(55)
72 ３八と(39)
73 同 飛(28)
74 ２七角打
75 ３九飛(38)
76 ３八歩打
77 ２九飛(39)
78 ５四角成(27)
79 ４五銀打
80 ８七馬(54)
81 ４四銀(45)
82 同 歩(43)
83 ８七金(78)
84 同 飛成(84)
85 ７八銀打
86 ８八龍(87)
87 ７九金打
88 ８四龍(88)
89 ２五桂(37)
90 ２四銀打
91 ３三歩成(34)
92 同 桂(21)
93 同 桂成(25)
94 同 銀(24)
95 ３四歩打
96 同 銀(33)
97 ３五歩打
98 ３九歩成(38)
99 同 飛(29)
100 ２八金打
101 ３七飛(39)
102 ３六歩打
103 同 飛(37)
104 ２五銀(34)
105 ３四桂打
106 ３一玉(22)
107 ４二桂成(34)
108 同 金(32)
109 ３七飛(36)
110 ３六歩打
111 １七飛(37)
112 ２六銀打
113 ６六角打
114 ８二龍(84)
115 ４四角(66)
116 １七銀成(26)
117 同 香(19)
118 ３九飛打
119 ５九銀打
120 ４八歩打
121 同 金(58)
122 ３七桂打
123 ５五角打
124 ６四桂打
125 ３七銀(46)
126 同 歩成(36)
127 同 角(55)
128 ３八金(28)
129 同 金(48)
130 同 飛成(39)
131 ４八金打
132 ３九龍(38)
133 ５五角(37)
134 ５四金打
135 １一角成(44)
136 ５五金(54)
137 同 馬(11)
138 ８五龍(82)
139 ４四馬(55)
140 ３三銀打
141 ５四馬(44)
142 ３五龍(85)
143 ２一金打
144 ４一玉(31)
145 ４三香打
146 ５二玉(41)
147 ４二香成(43)
148 同 銀(33)
149 ５五桂打
150 ７四角打
151 ７五歩打
152 ５三歩打
153 ４三金打
154 ６二玉(52)
155 ７四歩(75)
156 ５四歩(53)
157 ９五角打
158 ７二玉(62)
159 ７三歩成(74)
160 同 桂(81)
161 ７四歩打
162 ８二角打
163 ８三歩打
164 同 玉(72)
165 ７三歩成(74)
166 同 角(82)
167 ７五桂打
168 ７四玉(83)
169 ７三角成(95)
170 同 玉(74)
171 ６二角打
172 同 玉(73)
173 ６三桂成(55)
174 ７一玉(62)
175 ８三桂成(75)
176 ５九龍(39)
177 同 玉(69)
178 ３九龍(35)
179 ４九飛打
180 ９五角打
181 ７七桂(89)
182 投了
まで181手で先手の勝ち
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