20190908今日の一手

3月30日の名南将棋大会から、私とSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は56飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は82飛と持ち駒角で2枚。
総合すれば後手もちです。
☆ 大局観として
問題図の評価としては玉の堅い後手のほうが良いのですが、先手としては75銀37桂77桂あるいは76銀を使いやすいです。56飛も左右に使えるでしょうし、74歩72歩の利かしも大きいので、先手が悪いわけではない、というよりは作戦勝ちなのです。ただし後手に食いつかれると後手有利になります。そのための手段が少ない(飛角以外に使いにくい)というのが後手が作戦負けだという理由です。
先手としては玉が薄いので他に主張が欲しいです。82飛をいじめるか、駒得をねらうか。大模様で抑え込もうというのは破たんするとひどいことになります。筋の悪い手を避けつつ、攻めを考えていきます。
☆ 簡単なまとめ
46角92飛35歩

これで駒得になると気が付けば簡単です。
筋の良い指し方は65銀から

こういう図を目指します。(ただし後手に抵抗されそうですが。)
○ 実戦は46角と打ちました。

飛車をいじめたいので打ったのですが、92飛に35歩

というぴったりの手がありました。45歩は34歩46歩33歩成で二枚換えですね。45銀同桂同歩28角64桂

64同銀同歩75銀

86飛(や64角や64銀)をみて先手有利です。
この筋に全く気が付いていなくて、92飛に84銀(飛の詰めろ)45歩

55角54歩33角成同桂83銀成46歩

飛を取れば角飛交換で飛のほうが使いやすいと思っていたのですが、46歩と突きだされて失敗したと思いました。92成銀に29角

39歩47歩成同金同角成同玉69角

中住まいは薄いので、手が付くとあっという間に寄せられてしまいました。
途中46歩を手抜いたのは、(46同歩は29角や③6歩があるので論外として)46同飛は35銀があるから

飛を逃げて46歩を打たれたら無意味だと思ったのですが、ここで43飛成同玉34歩同玉36歩同銀35歩

決めるだけ決めて92成銀と取れば有利でした。2回チャンスを逃せば負けですね。
× 71角は当初のねらい筋でしたが

53の地点は攻め切れません。飛を目標に攻めていきます。92飛は65銀(86飛ねらい)85歩84銀82角

83銀成71角92成銀同香91飛

これは駒損でも取り返せるので先手有利です。
後手としては83飛のほうが良くて

85銀93桂84銀直81飛

93銀成71飛82成銀・・・とすれば手は続きますが、駒損ですから角二枚を持たれて36歩から攻められたら悪いです。
△ 85銀を先にすると

ねらいは71角です。93桂84銀直81飛83角

攻めるならばこれくらいなのですが、83同飛同銀成36歩同飛54角86飛36歩

3筋を攻められて、82成銀~81飛成が間に合うかどうか。難しい形勢です。
△ 86歩のほうが筋が良いですが


歩を伸ばしていくのは手数がかかります。35銀36歩26銀85歩37銀成同金64桂

これではかなりまぎれていて、後手よしかもしれません。
この筋を避けて46角を打ち

92飛に85歩~84歩~83歩成を間に合わせたいのですが、64桂を避けて65銀としてからでしょうか。つまり92飛65銀~85歩~84歩~83歩成です。手数がかかるので実現するかどうか。
△か○ 36歩を打っておけば

かなりおとなしいです。35歩と合わされたら無効、ではありません。46角92飛35歩で楽勝です。ならば最初から46角92飛35歩に気が付くだろうと思うのですが。
さて互いにその筋に気が付いたとして、45歩86歩44銀85歩54歩65銀

飛を捕獲されることもなく、84歩86飛~83歩成を実現すれば先手優勢です。
△ 65銀を先にするのもあります。

これは(35銀36歩26銀)46角92飛86飛というねらいも生じています。

後手としてはこの図を避けるために73歩

盲点になりそうな突き出しですが、飛を追われないためにはこれしかありません。73同歩成同桂76銀74歩同銀72歩

悪い取引ではないはずですが、飛をいじめにくくなりました。
△か○ 65桂と跳ねると

71角~53桂成がありますから後手は54歩。そこで35歩同銀45桂は取ってもらえば71角ですが、34銀とかわされて

不発です。
ならば46角と組み合わせるのですが

ここでは64歩(35歩同銀同角65歩は今一つ)同角92飛

桂を跳ねたために少しまぎれが生じています。
☆ まとめ
74歩72歩の利かしは大きくて、後手の飛の移動範囲が狭いですから、82飛を捕獲に行くことができます。相居飛車では飛の価値が高いことも多いです。(玉の囲いの堅さに関係しています。)
46角~84銀、71角~84銀、85銀~84銀左、など角銀を使って追いかけるのは筋が悪いのでよく読んでみないといけません。
手数はかかっても86歩~85歩~84歩と伸ばしていくほうが筋が良いですが、後手も抵抗してくるでしょう。36歩を打っておくのが先かもしれません。
65銀~46角~86飛はスマートです。ただし後手から73歩という好手があり、案外に難しいです。
実は46角92飛35歩で銀を取れる(桂銀交換か)のですが、気が付きましたか?飛以外にも目標にできる駒がありました。