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ハロプロメンバーを応援してアイドル音楽を愛するエッセイブログ

久住小春 雪降る冬から春への旅路

2009-12-09 22:19:32 | ハロプロ(娘。)

 冬から春にかけて、上越新幹線或いは在来線である上越線に東京方面から乗ると、太平洋側と日本海側の気候の違いを目の当たりに出来る。
 からっ風の吹く上州(群馬)の青空が、三国峠を貫く長いトンネルを抜けて新潟県に入った瞬間、空はグレーの厚い雲に覆われた空に変わり、地面には高々と雪が積もっている。その光景はまさに、川端康成の小説のフレーズ「国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった」という一節そのものなのです。

 私の母は新潟市出身なので、私は子供の頃から、春休み、夏休み、冬休みの多くの日々を新潟で過ごした。小学生時代の夏休みの思い出の多くは新潟での出来事であり、神奈川の人間でありながら私にとっての海水浴場は湘南ではなく、遠浅の海岸が連なる新潟の日本海であった。
 私は毎年のように、春に国境の向こうは雪国を体験して、寒い季節の日本における各地の気候とはなんと不公平なものかと思ってきた。太平洋側の人間は雪を見ると喜ぶ人が多く、南関東に雪が降ろうものなら、子供も大人もソワソワするが、私は雪に対して子供の頃から冷静であった。新潟の人達が雪に悩まされている事を見てきたからで、グレーの冬の空を知っているからだ。

 2005年春、モーニング娘。に新メンバーが誕生した。合格発表はスタジオではなく、合格者の通う中学校にモーニング娘。メンバーとつんくPが出向いて行なうという派手な展開。
 ヘルメットを株って自転車登校する合格者の元へ、メンバーは雪国への国境のトンネルを抜けてやってきた。
 長岡駅で降りたメンバーがマイクロバスに乗り込み、合格者の中学校に到着する。当時の新曲「THEマンパワー」の衣装に着替えたメンバーは、ミラクルとつんくPに評された新メンバーと対面した。

【OPV】 モーニング娘。 ハッピー7期オーディション 小春卒業SP!


 既に人気面では冬の時代に入ろうとしていたモーニング娘。が冬のグレーの空から、いつまでも続くような青空へと舞台を変えていくために必要な大型新人に相応しく、新メンバーの名前には「春」が付いていた。

 翌年の春、大雪の新潟県魚沼地方(うおぬまと読む。越後湯沢から長岡辺りまでの新潟県山間部)を新幹線で抜けて、新潟市にモーニング娘。のコンサートを観に出かけた。その公演は、二人とも新潟市ではないが新潟県出身である小川麻琴、久住小春の凱旋公演でもある。
 雪が降る会場に詰めかけた大勢のファンの前で小春は、明るく元気に歌い踊る。特に、教育係道重さゆみと一緒にピンクの衣装で歌う「レインボーピンク」は、「これぞアイドル」、「これぞミラクル」なパフォーマンス。私はステージに魅せられ、この子はやっぱりミラクルだ。これからのモーニング娘。を明るく引っ張ってくれるに違いないと確信した。

 その予感は的外れではなかったのだけれど、小春が明るく輝いた場所はモーニング娘。ではなく、アニメ「きらりん☆レボリューション」だった。
 何度も思った事だけれど、きら☆レボで得た知名度と人気を、モーニング娘。にフィードバック出来なかった事が残念でならない。きらりのカラーを娘。で発揮してセンターを張るのが無理なら、モーニング娘。の久住小春としてソロ、あるいは他の娘。メンと少人数ユニットをやるなど、何か展開が欲しかった。今更、行っても仕方のない事だけど。

 結局、ミラクルと呼ばれた大型新人だった小春は、モーニング娘。に春の時代を起こす事は出来なかった。これは、一人の力だけではどうにもならない事が改めてわかったという教訓にはなったからヨシとするとして、大事な事は小春はこれからどうして行くのかという事。
 小春自体は、グループよりもソロ向きである事は確か。ソロになった今、思う存分自分を出してほしいし、どんな小春を見せてくれるか楽しみでもある。モデルだけにとどまらず、というよりも、モデル以外の事を色々チャレンジしてほしい。春という季節は色んな花が咲くように、今度は自分のための春を咲かす時なのだから。

 <今回の一曲>
 ナインスマイルツアーの二日目、松戸公演を観に行った時、終演後に会場に掛かった曲の一曲目はエイジアのヒット曲であるこの曲でした。タイトルに意味があるのだと解釈しています。

Asia / Don't Cry

 

コメント (4)
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