SKY STAGEは二基のエレベーターで上がることになるので時には長い列が出来る。少し余裕を待って予定より早くエレベーターの前に向かう。
SKY STAGEは屋上にステージセットを組んだだけの場所で、観覧スペースには特に仕切りがない。お目当ての人が出ていない時間は、ステージから離れた横や後ろの端に座っている人も少なくない。その端には飲料水の販売テントもある。私も端で少し休むことにした。暑さは少しずつ和らいできているけれど、空は快晴から少し雲がかかった空に変わってきた。
17時を回りステージに「POWER SPOT」が登場する。私は既に観覧体制に入っている。
POWER SPOTは昨年TIF初出場を果たした。ワンマンライブで初出場することを目標に掲げていた彼女達にとって、それは夢のステージだった筈。それから一年、二回目の出場となった今年、ステージに立っているメンバーの人数は昨年より二人少ない。
アイドルグループにとってメンバーの入れ替わりは宿命のようなものかもしれないけれど、大切な事は人数が減ってもパワーダウンしない事。そういう風に言われるのも避けたいのが関係者の気持ち。去っていったメンバーに対する喪失感を超えていくため、悲しみと未来への希望を同時に抱えながら前に向かっていかなくてはならない。その区切りをつけるためなのだろうか、グループの名前は「パワースポット」から「POWER SPOT」になった。
POWER SPOTは四人で歩き始めた。その四人に「夕方のSKY STAGE」という素敵な場所が与えられた。運営の期待の表れか、昨年の評判を受けてのものか、理由は定かではないけれど、陽が傾きはじめて風の涼しさが心地よくなってくるこの時間帯は、空の移ろいゆく色と相まって、この屋上の舞台を素敵に輝かせる。そんなステージに新生POWER SPOTは立ったのだ。
少し緊張も感じられるステージングで2曲を終えたメンバーは、このステージのラストナンバーに「POWER MUSIC」を待ってきた。今夏発売された1stアルバムのテーマ曲とも言えるこの曲。昔の曲も四人で歌い直して収録されたという、このアルバムに相応しく、新しい気持ちでポジティブに走っていく事を歌った曲だ。サビでは四人で手を合わせる振付もある。
この曲のイントロが始まる前に2羽の鳥がステージの上を飛び去っていった。私は、フジテレビの建物の方向に飛んでいく鳥達を見て空を見上げた。その空の下で、前向きな歌詞を歌いながら踊るメンバー。二番が終わり大サビに移っていく。この部分はリーダーの豊田早姫さんのソロパートだ。その時、雲に遮られていた太陽が雲間から顔を出し、柔らかい光をステージに注いだ。
私はSKY STAGEが好きだ。もっと言うなら、夕方のSKY STAGEが大好きだ。それはきっと、アイドルの神様がステージを見守ってくれているように思えるからなのかもしれない。空はとても綺麗で、歌い終えた四人を明るい光で包んでいた。
【MV】POWER SPOT|1st Album 「POWER MUSIC」