lyrical schoolのステージが終わって、観客が前後入れ替わる。私も後ろに下がり横に出た。次は「REV.from DVL」だ。橋本環奈ちゃんがいるグループである。そういう理由からか、客席のまわりの通りすがりのギャラリーが急に増えてきた。水色とピンクという色の組み合わせの応援グッズのタオルマフラーを持ったヲタも居るには居るが、観覧スペースが溢れてきて、私のいる横に追いやられているヲタの人達は気の毒だった。これが人気グループというものなのだろう。
そんな光景を眺めながら私は「水色とピンクか。サガン鳥栖のカラーだな。福岡のアイドルなのに佐賀県のJリーグチームのカラーとは何故?ああ、ソフトバンクつながり(サガン鳥栖は今季からホークスと業務提携している)ってやつか」などど、勝手な推測をしているのだった。
私の後ろにいるおじさんが興奮気味にスマホで電話している。「今さ、ガンダムの前にいるんだよ。で、アイドルがイベントやっていてさ、千人に一人の子って今話題の子いるじゃん。その子のいるグループが出ているんだよ」と言っている。私はずっこけそうになりながら、「千人に一人レベルなのかよ!それじゃ、学校ナンバーワンレベルとかじゃん。大騒ぎするレベルじゃないじゃん」と心の中でツッコミを入れる。「千年でっせ。千年」と思いながら、やっぱりステージで華のあるオーラを放っている千年さんを観ていた。
LOVE-arigatou- / Rev.from DVL
午後は暑さを逃れたい。しかし、二日目は割と野外ステージで面白そうなものを演っている。悩むところだけれど、涼しさを求めて湾岸スタジオ内に入る。行き先はDOLL FACTORYだ。割とすんなり入れた。
ステージに「GALETTe」が現れた。福岡県で活動するグループで、軽快なダンスビートとダンスで人気上昇中だ。実は前日SMILE GARDENで彼女達のステージは観ているが、緊張もあったのか、初めて彼女達のステージを観た私は期待はずれな感想を持っていた。
しかし、この日は違っていた。「TIFに出場することが夢でした」という彼女達は、二日目のこの日、気負いも薄れ、ビシビシとした動きでステージで躍動した。黒い衣装が似合うメンバーの放つスピード感は、自然と客席を揺らして室内温度を上げた。
ダンスに力を入れて、音楽的にもファンクだったり、ディスコだったり、そういう方向の音で飾ったアイドルは増えた。GALETTeもそんなアイドルのひとつだけれど、メンバーが必死にそんなコンセプトを忠実になぞりながら、なぞる事によって、いつしかスキルも上がっていく。そんな育てられ方を感じた。なんというか、ステージに不思議な勢いめいたものを感じるのだ。それは根拠のない勢いではなく、新しい世界で居場所を見つけたメンバーが、居場所となる音楽に出会った事から来るワクワクな気持ち。そんな風に見えるからかもしれない。
細かく見ていけば、地方アイドルならではの親しみやすい隙間もあるけれど、それを臆面もなく見せつつ、それでも私たちカッコイイでしょう?と問いかけてくるような前がかりな挙動が、そこに存在していた。そんな部分の、ほんのりとメジャーな雰囲気が感じられるのも、どこか只者ではないような振る舞いがそう見せているのか。
ステージが終わると客席は大きな拍手に包まれた。
[MV]じゃじゃ馬と呼ばないで / GALETTe [公式]
ENJOY STADIUMはいい感じで熱気を帯びてきた。続いて登場の「POWER SPOT」は前日のステージよりも緊張が取れている感じに見えて、かなり持ち味を出せた内容に思えた。今年のTIFでのステージはこのステージで終わりなので、悔い無きよう力一杯、持っているものを出し切った。そんな感じに思えた爽快なステージングにつられて、こちらも大いに汗を流して楽しんだ。楽しいって大切。それは何よりも演者がそういう気持ちでパフォーマンスしているからこそなのだなと思ったのだ。パワースポットからPOWER SPOTになってのTIFはとても良いものを残したと断言したい。
パワースポット それな!
お昼時の太陽の下、ダイバーシティまで歩く。FESTIVAL STAGEに行くためである。ガンダムのまわりは観光客で賑わっている。そのすぐそばでアイドルさんが暑さをものともせずにライブをするのだ。清々しく思えて、足取りは軽い。
「lyrical school」のステージが始まった。前からやや中央付近で観る。リリスクのメンバーはバスケットボールのユニフォームを着て登場すると、客席から歓声が沸き起こった。ヘッズ(リリスクヲタの呼称)も暑さをものともせずに体を揺らしながら音に身を預ける。
リリスクはヒップホップアイドルという肩書きになっているし、曲は勿論そういう路線である。メンバーもそういうノリで音楽を演出しているのだけれど、それはガチガチに固めたものではなく。適度な緩さも伴ったヒップホップである。その道の専門家からすれば、こういうのは違う!と言われるかもしれないけれど、私はそうは思わない。この適度な緩さが良い感じのフリーダムな空気を作っているし、肩の力の抜き具合が楽しさに繋がっていると思う。それがあるからこそ、彼女達は文字通りアイドルなのだなと思う瞬間だ。
ヘッズの人達も、私のようなDDも、夏の太陽の下で各自が自由に楽しんでいる。そのノリは騒いでいるという類のものとは全然違う、リリスクが作り上げた明るさと楽しさとちょっぴり緩いくだけた空気がそうさせているに違いない。ステージに釘付けになっていた私にはガンダムのまわりの観光客がどういう反応をしていたかはわからないけれど、きっと「なんだか楽しそうな雰囲気だな」と思って観ていたのではないかなと思う。真昼の夏祭りはあっという間に過ぎていった。
lyrical school / そりゃ夏だ! (MV)
TIF2014二日目となった。朝からの予定を若干手直しして二日目は屋内でスタートすることにする。ENJOY STADIUMに向かった。今日も朝から楽しくなりそうだ。
ステージには沖縄出身の「Lucky Color's」が登場していた。去年に代々木公園で行なわれた沖縄まつりの時にそのステージを観たことがあるけれど、ダンスを見せることに重きを置きつつ、アイドル音楽としては少し大人っぽい方向性を聴かせてくれるグループだ。
アイドルフェスの朝のスタートとして、こういう始まりも悪くないなと思いながら、二人の流れるような動きと、そんな二人と連動する二人のサポートメンバーのダンスが綺麗で、ステージをじっと見つめた。
Lucky Color's グッバイARKNESS
続いて登場したのは「パズルガールズ」というグループ。申し訳ないことに予備知識がまったくない。でも、そういう未知のグループと出会い、発見を楽しむのもTIFの良いところ。
彼女達はいきなりクイズを始めた。「この音は何?」という問題に答えられないと歌を始められないという。客席から色々な回答が飛び交う中、なかなか正解が出ないまま持ち時間は過ぎていく。まさかこのまま終わってしまうのか?と少し心配になってきた頃、ようやく正解が出て歌が始まった。流れてきた音は少しV系を思わせるメロディアスなギターのハードロック。その振り幅に笑う。そして、メンバーの一人が客席にダイブする。先ほどまでは萌え系な雰囲気でクイズに頭を捻っていた子達が数分後にこれ。いろんなグループがいるのだから、アイデアを出して個性的なステージを作るのはとても良いこと。
パズルガールズ 世界はパズルで出来ている!
続いては「ライムベリー」の登場だ。昨夜にSMILE GARDENで観ているけれど、芝生の後ろで観た昨夜と違い今日は結構前方で観ることが出来た。
ライムベリーは最近、移籍問題とかでメンバーが一人抜け、今後に不安を感じさせていたけれど、今までの持ち歌もちゃんと歌える事になったようだし、メンバーが成長していることも毎年この夏のステージで実感している。今年は去年よりも大幅に成長しているように感じられた。それは身長の話だけではなく、パフォーマンスの話である。
元々、結構堂々とした歌いっぷりを見せてくれる子達だけれど、楽しそうに客席を煽るその姿は頼もしささえ感じられるくらいで、そういった一連の動きは観る度に完成度が高まっている。客席も熱い。その熱いは騒ぐ方向の熱さではなく、感じる方向の熱さだ。とにかくみんながメンバーと一緒によく動き、音と一緒に波になっている。
そうかと言って、必要以上にアーティスト風情を醸し出すこともなく、むしろアイドルらしい緩さも挟みながら、自らの可愛らしさをステージから発散しているライムベリーは紛れもなくアイドルであり、理屈抜きに楽しい。その楽しい輪が排他的ではなく、まるで夏の盆踊りの如く誰でも輪に入れるような自由さもある。これはとても大切なことで、これからもそんなライムベリーであってほしいなと願う。
ライムベリー - SUPERMCZTOKYO(PV)
当初の予定ではSKY STAGEでPOWER SPOTを観てから急いで下に降りてENJOY STADIUMでクルミクロニクルを観る予定だったけれど、進行が押していて時間の余裕がなくなった。残念だけれど、ゆっくり慌てずにエレベーターを降りる。
ダイバーシティまで歩いてガンダム前のFESTIVAL STAGEで、再びPOWER SPOTのステージを観た。心の余裕が少し出てきたのか、或いは通りすがりの一般客も観られるステージだからか、メンバーの動きには堅さが取れて良い感じになっていた。やはりライブというものは生きているものなのだなと思う。
すっかり日が暮れて野外ステージが心地よい時間になってきた。SMILE GARDENのステージには愛知県のアイドルグループ「しず風&絆~KIZUNA~」が立っていた。彼女達は見た目も歌声もファニーなのに縦ノリ系、特にいわゆる青春パンクをカバーしていたりするのが面白いグループ。いろんなグループのヲタが暑まるこのステージだけにセットリストもお祭り仕様。いきなり「翔べガンダム」を歌い出す。ガンダム前のステージでこの曲を歌った二年前のステージを思い出す。
続いてもカバー主体で、ブルーハーツやラフィンノーズやジュンスカイウォーカーズの曲を夜空の下で熱唱する。そんな彼女達の姿に熱く応戦しながら腕を振りつつ、私は「フジテレビ湾岸スタジオの前でロックを歌う。これが本当のフジロックだな」などとしょうもない事を思いついていた。
しず風&絆~KIZUNA~Iロックメドレー 20120701
この時間帯のSMILE GARDENの流れは地方アイドル選手権みたいな流れだ。新潟県の「Negicco」が登場。
Negiccoの世界観は夜空のステージはとても似合いそうだ。いい感じなのだけれど、スピーカーの問題か、アンプか、野外ゆえの構造的な問題かわからないけれど、音が今ひとつだ。そのため客席の反応も予想していたよりも今ひとつ。
それでも、最後までNegiccoはそつなくこなした。安定感はさすが長いキャリアを積んできたグループならではで、観ていると爽やか気分になる人達なのだ。ニューシングルのC/W曲の歌詞に、縦読みすると「道重さゆみ」となる箇所があるので、気になる方は要チェック。
Negicco「フェスティバルで会いましょう」MV(Full)
(一番の歌詞の各フレーズの出だしをよく聞くと…)
一日目のSMILE GARDENのラストは宮城県仙台市からやってきた「Dorothy Little Happy」だ。昨年の二日目のSMILE GARDENでフィナーレの前のトリを務めた彼女達のステージは大好評だった。その評判あっての一日目ののトリかもしれない。
最新アルバム「STARTING OVER」のタイトル曲を始め、あくまで現状の姿を見せ、特別に着飾りすぎないセットリストである。祭りの場だから祭りに合わせるやり方も良い。ドロシーは去年それで成功した。しかし、同じやり方は何度も通用しないという判断なのか、2014夏の今を見せるというやり方も正しい。観客に迎合し過ぎないで、それでいて盛り上がるのが一番いいのだから。
それでも、ラストはちゃんと用意してある。会場にいる観客のほとんどが知っているであろう曲「デモサヨナラ」。今年も夜空に大音量で「オレモー」が響いた。
「Dorothy Little Happy Live 2013 in Winter@川崎CLUB CITTA'」STARTING OVER
TIF 2014 8/2 観たステージ (観た順番で掲載。少しだけ観た人も含む)
スマイレージ、ウルトラガール、SO.ON Project、Peach sugar snow、NA-NA、はちきんガールズ、つりビット、Bitter&Sweet、ウルトラガール、GALETTe、Dancing Dolls、THEポッシボー、WHY@DOLL、La PomPon、滝口成美 with Control-S、Maria、ウェザーガールズ、POWER SPOT、滝口成美 with Control-S、椎名ぴかりん、POWER SPOT、BELLRING少女ハート、しず風&絆、ライムベリー、Negicco、ドロシーリトルハッピー。
SKY STAGEは二基のエレベーターで上がることになるので時には長い列が出来る。少し余裕を待って予定より早くエレベーターの前に向かう。
SKY STAGEは屋上にステージセットを組んだだけの場所で、観覧スペースには特に仕切りがない。お目当ての人が出ていない時間は、ステージから離れた横や後ろの端に座っている人も少なくない。その端には飲料水の販売テントもある。私も端で少し休むことにした。暑さは少しずつ和らいできているけれど、空は快晴から少し雲がかかった空に変わってきた。
17時を回りステージに「POWER SPOT」が登場する。私は既に観覧体制に入っている。
POWER SPOTは昨年TIF初出場を果たした。ワンマンライブで初出場することを目標に掲げていた彼女達にとって、それは夢のステージだった筈。それから一年、二回目の出場となった今年、ステージに立っているメンバーの人数は昨年より二人少ない。
アイドルグループにとってメンバーの入れ替わりは宿命のようなものかもしれないけれど、大切な事は人数が減ってもパワーダウンしない事。そういう風に言われるのも避けたいのが関係者の気持ち。去っていったメンバーに対する喪失感を超えていくため、悲しみと未来への希望を同時に抱えながら前に向かっていかなくてはならない。その区切りをつけるためなのだろうか、グループの名前は「パワースポット」から「POWER SPOT」になった。
POWER SPOTは四人で歩き始めた。その四人に「夕方のSKY STAGE」という素敵な場所が与えられた。運営の期待の表れか、昨年の評判を受けてのものか、理由は定かではないけれど、陽が傾きはじめて風の涼しさが心地よくなってくるこの時間帯は、空の移ろいゆく色と相まって、この屋上の舞台を素敵に輝かせる。そんなステージに新生POWER SPOTは立ったのだ。
少し緊張も感じられるステージングで2曲を終えたメンバーは、このステージのラストナンバーに「POWER MUSIC」を待ってきた。今夏発売された1stアルバムのテーマ曲とも言えるこの曲。昔の曲も四人で歌い直して収録されたという、このアルバムに相応しく、新しい気持ちでポジティブに走っていく事を歌った曲だ。サビでは四人で手を合わせる振付もある。
この曲のイントロが始まる前に2羽の鳥がステージの上を飛び去っていった。私は、フジテレビの建物の方向に飛んでいく鳥達を見て空を見上げた。その空の下で、前向きな歌詞を歌いながら踊るメンバー。二番が終わり大サビに移っていく。この部分はリーダーの豊田早姫さんのソロパートだ。その時、雲に遮られていた太陽が雲間から顔を出し、柔らかい光をステージに注いだ。
私はSKY STAGEが好きだ。もっと言うなら、夕方のSKY STAGEが大好きだ。それはきっと、アイドルの神様がステージを見守ってくれているように思えるからなのかもしれない。空はとても綺麗で、歌い終えた四人を明るい光で包んでいた。
【MV】POWER SPOT|1st Album 「POWER MUSIC」
SMILE GARDENのオープンな雰囲気は好きだけれど、昼間は長居はきつい。とにかく暑い場所だ。元々の予定通りではあるけれど、冷房の効いた湾岸スタジオ内に入る。ENJOY STADIUMに向かった。
ENJOY STADIUMではそれほど混雑していなくて見やすい。私は気づくと結構前の方にいた。ステージには「La PomPon」が登場。名前が可愛いので、フリフリの衣裳で歌うグループなのかと思いきや、セクシーさも魅せる大人なダンスグループだった。予備知識としては、あのビーイングが作ったアイドルグループという事は聞いていた。だからなのか、音楽的な部分に於いてしっかりしたものを見せてくれる。これからどういう方向性で売り出していくのかわからないけれど、事務所が大きいだけに気づけば有名人になっている可能性もある。新人らしからぬ完成度のステージを観ながらそう思った。
La PomPon 公式サイト
http://lapompon.com/
続いては東京の地下系シーンで活動しているグループ「滝口成美 with Control-S」。朝に観たウルトラガールや、このあとSKY STAGEで観る予定のPOWER SPOTと同じ事務所だ。ただし、彼女達は正統派アイドルポップスではなく、電子音が反響する中、複雑な動きとステップで踊る。華麗に踊りながらメインボーカルである滝口成美さんの歌声が響く。低音域もよく伸びる。音楽の系統こそ違う感じの二組ながら、しなやかなダンスを見せるグループが続くこのタイムテーブルの流れは心地よい。
滝口成美さんのバックダンサー的な立ち位置なControl-Sのメンバーは歌が終わって自己紹介になるとあどけなさを垣間見せてくれた。歌が終われば少女らしい素顔が現れるという、そのギャップが良い。歌が始まれば再びCOOLなステージが始まるのだから、その切り替わりの早さがプロだ。
滝口成美withControl-S 『ice』 【MV】spot
時刻は15時を回っている。SMILE GARDENに出ると、まだまだ暑い日差しがステージと芝生を包んでいる。芝生に腰を下ろしながら「姫carat」を観る。彼女達は高校生バンドなグループ。メンバーの年齢でアイドル的な要素を発散しているけれど、音楽はアイドルポップスではなく、ちょっと昔の歌謡曲をロック的な味付けにしたようなサウンド。じっくり楽しむつもりだったけれど、隣でスマホを少し見ていた同行者から「Berryz工房の活動休止」の報を知る。こんな日にこんなニュースが入ってくるなんて!と、ステージに集中出来なくなってしまうのであった。姫caratには申し訳なく思うけれど、時間的に暑さと疲労が溜まってきて集中力が切れていたことも、観覧するにはあたって更にマイナス要因になってしまった。いつか改めてじっくり観てみたいところ。
姫carat 切なくてほのかに甘い運命(デスティニー)
湾岸スタジオから歩いて5分位のところに設けられた物販エリアに向かう。物販エリアは毎年場所が変わっているけれど、今回は広々とした空き地を利用して多数のテントを設置して販売しているようで、広さとしては過去最大である。
入口で手荷物検査が実施されている。金属探知機まで使用してのもので物々しいけれど、例の事件以降、今やメジャー系から地下アイドル現場まで握手の行なわれる場所では手荷物検査は必須になってきている。
今回のTIF出場アイドル138組全てが物販を行なっている訳でもないようだけれど、出場者の増加は物販エリアの規模拡大と比例していて、見て回るだけでも結構な時間がかかる。購入者の特典握手会は隣の空き地に作れた握手会用スペースで行われているけれど、ゲリラ的に物販テントにアイドルさんが現れて握手をしたりもしている。その傍らでスタッフさんや出場していない新人さんがチラシを配ったりして炎天下で奮闘している。
時間的にそろそろ昼食をという事で物販エリアから徒歩でダイバーシティに向かう。フードコートにいろんな店があるので、そこで涼みがてら何かを食べようという訳だ。しかし、夏休みの土曜日のダイバーシティはとても混んでいて空いている席がなく諦める。
ダイバーシティから湾岸スタジオまでは歩いても10分くらいだけれど、建物のない、木が並んでいるだけの道で日陰がなく暑い。TIFを観るには小まめな水分補給が大切。
湾岸スタジオ前にTIF運営と契約している飲食の出店が並んでいるので、そこから冷やし麺を選んで木陰で食べていると、目の前にあるSMILE GARDENのステージでは「Dancing Dolls」のステージが始まったので慌ててステージを観る事にする。
Dancing Dollsは大阪出身のグループで、テレビの歌番組にも出ているし、ネットの投稿動画サイトで人気のメンバーもいるので知名度もあり、ステージ前も賑わっている。
彼女達のパフォーマンスはイベントで観たことがあり、とても印象が良かったのでCDを買い、このブログに記事も書いた。
その時に書いた記事 「踊るガールに観るガール」
今回のパフォーマンスも素晴らしい。暑さなどものともせず、激しく踊り、その激しい動きにも乱れないボーカルを聴かせてくれる。歌にしてもダンスにしても、とにかくビシッとした安定感があり、華奢な部分などは微塵もない。メンバーも自信に溢れたイキイキとした表情でパフォーマンスするので、観ている者はグイグイとその動きに引き込まれていくのである。
歌が終わり客席に挨拶する姿もカッコよく、その言葉にも自信と力がみなぎっていた。最後に披露していたナンバーは、モーニング娘。のLOVEマシーンをサンプリングしたもので、そのかっこよさは本家とはまたひと味もふた味も違う別な世界を素敵に作り上げている。TIFはいろんなタイプのステージが観られるのが大きな魅力である。
Dancing Dolls 『DD JUMP』
サンプリングだけでなくタイトルも「つんくサウンド」を思わせるものになっています。
再び湾岸スタジオ内に入り、「Bitter & Sweet」を観るために今回初めてDOLL FACTORYに入る。ENJOY STADIUMどの違いは、キャパシティ的にはあまり変わらず、ステージ上のモニターもなく電飾も抑え気味になったのでほとんど差はない。強いて言えば、出演している人がDOLL FACTORYのほうが知名度がある人かな?というのが違いと言えそう。その後の流れでもENJOY STADIUMの方があまり規制もかからずスムーズな入場が出来ていた印象。
早いもので正午を過ぎた。不思議とお腹が空かないのは毎年のことである。ステージが楽しくて神経がそこに行っているのかもしれない。
スタッフによるキーボードのセッティングが終わり、ステージに田あさひちゃんと長谷川萌美ちゃんが出てくる。見た目も歌声も間逆な雰囲気の二人だけれど、だからこそかハモリがとても綺麗。透き通るようなあさひボイスと中低音にパワーのある萌美ボイスが重なると、とても厚みのある声になる。
二人の仲についてはヲタの間で色々と憶測も飛んでいるようで、実際のところステージ上で言葉をうまく絡ませて弾んだトークが展開される事もなく、当たり障りのないMCタイムになっている。トークでは歌声のように素敵なハーモニーとはならないようだ。
でも、それは些細な事なのだ。再び歌が始まれば二人の声は素敵にシンクロして綺麗なハーモニーとなっていく。これがプロというものなのだなと私は感激した。二人はトークのプロではなく歌のプロなのだ。
ミディアムテンポな曲(Bitter & Sweet)では優しい歌声が響き、アップテンポな曲(インストール)では勇ましい歌声が響く。その響きには不協和音なんてない。ビターとスイートとは、二人の持つ個性を表した名前だと今まで思ってきたけれど、曲の世界を意味する言葉でもあったのかと気づいた。表現出来る歌の世界の広さを表している。
ステージが終わり、二人ともいい笑顔になっていた。トークでも触れていたけれど、アイドルのステージならではのきらびやかな装飾が二人のテンションを上げてステージに弾みがつき、そのテンションがいい笑顔に繋がったのだとしたら良いな、なんてことを思った。
案外、ステージを重ねていくにつれて良いデュオになっていきそうな気がする二人。Bitter & Sweetとは良い名前をつけたのかもしれない。
Bitter & Sweet 『インストール』 (MV)
Bitter & Sweetはアップフロント系列の事務所所属です。当ブログの記事のカテゴリー「ハロプロ」は「アップフロント所属」という意味を持たせているので、カテゴリーは「アイドルetc」ではなく「ハロプロ(ユニット)」にしました。
冷房の効いたENJOY STADIUMから太陽の光が降りそそぐSKY STAGEに再び行くためにエレベーターで上がる。
ステージには「NA-NA」が現れた。大阪のESSE アカデミー所属のアイドル。ここの事務所所属の「キャラメル☆リボン」のステージを昨年観たけれど、可愛らしい見た目でしっかりした歌を聴かせてくれるグループという印象を持ったので、NA-NAにも期待大で見始める。
空はすっかり青空になって夏の色に染まって広がる。その下ではつらつと踊るメンバー。歌声は可愛く、これぞアイドル!という感じ。挨拶で喋り始めると大阪弁な訳だけれど、日頃そういうアイドルはあまり観てきていないので、それがとても新鮮でもある。メンバーはとても軽快にトークを展開し、客席をほのぼのとした空気に包んでいく。
「キャンディ☆マシンにのって」というナンバーがオールディーズなフレーバーに現代アイドル音楽のエッセンスといった曲で、トークだけでなく歌も軽快に魅せるNA-NAの潜在能力を現在進行形に表現しているのだと感じた。これぞアイドル!なんだなと思う。それは、青空の下でステージを観られるという魔法も気分にプラスされているにしても、まさにその部分である「青空の下で歌うことを前提としている」かのような爽快感がそこにあった。
NA-NA「キャンディ☆マシンにのって」
続いての登場は高知県のアイドル「はちきんガールズ」。注目の西日本勢が続く、ここの登場順もこれまた良い流れ。「はちきん」とは土佐弁で「お転婆で頑張り屋で働き者の女性」を意味する言葉で、グループは高知県観光特使に任命されているという、これぞ地方アイドル!という肩書きを持つグループだ。
はちきんガールズはスタッフが振る大きな旗をバックに、グループのテーマソングだという「はちきんガール」を歌う。ゆるやかなテンポの曲なので、そういう風に肩の力を抜いて楽しんで観るグループなのかと思いきや、次の曲からパワフルなナンバーになっていく。
力強い歌声、力強い踊り、アイドルというと「守ってあげたくなる」という可愛らしさを持つ子が基本的なイメージであるけれど、彼女達は凛々しく力強い。暑さをものともせず熱唱する。その姿がとても魅力的に映る。南国からやってきた女の子達は太陽と友達なのだろう。暑い太陽ですら、ステージを魅力的に見せるための演出に思えてくる。
高知から応援に駆けつけてきた人もいると思われる客席との明るい一体感は、SKY STAGEという魔法の舞台にとても似合っている。青空よさこい祭りだと思った。
はちきんガールズ「日本列島夢前線」
(この日、この曲は歌っていないけれど、グループのパワフルさを表現しているMVなので、この曲を貼りました)
はちきんガールズのSKY STAGE写真はこちら(公式ツイッターより)。
今回のTIFのタイムテーブルを見ていて思ったのが、音楽的に近い系統のグループが二組あるいは三組と続くケースが多々あるということ。観る方としては予定を組みやすくて有り難い。いわゆる、楽曲に注目しているグループを立て続けに観られたりすると、ステージの良さもさることながら、客層もそういう見方をしている人が集まり平和な空間が生まれる。
SO.ONprojectから次がPeach sugar snowという流れもそんな中の一つ。
「Peach sugar snow」は楽曲が良いという評判を密かに聞いていたので楽しみにしていた。あまり予備知識を仕入れ過ぎずに臨む。
三人の少女がステージに現れた。山梨からやってきたという三人は、少しばかり哀愁味のあるメロディに乗せて、ゆったりとしたダンスを魅せ、ウィスパーヴォイスで囁くように歌う。三人とも、特に左右の二人はまだあどけなさの残るルックスで、最初は少し心がたじろいだけれど、良いステージを魅せるという事に年齢は関係ない。私は次第に、その優しい音色と優しい踊りに引き込まれていった。
「じゅもん」という印象的なミディアムテンポなナンバーに続いては、アニメ「うる星やつら」の主題歌「ラムのラブソング」。歌詞に合わせて一瞬、アイドルヲタにありがちな合いの手を叫ぶ人が一人いたが、この優しくもゆるやかなリズムのステージににそういう合いの手は不似合い。二番では自然とそういうものはなくなった。
三曲目の「人魚~泡になって消えても~」は、三人がステージ上で眠るシーンから曲が始まる。Peach sugar snowのダンスは振り付けというより、曲の世界観の表現である。ゆるやかに動きながら、徹底的に曲を表現している。その真剣な横顔のあどけなさに、これからの更なる成長に期待をせずにはいられなかった。
ダンスをステージで魅せるという事を芸術表現だとするなら、大人には出来ない、少女にしか出来ない表現だってある。そんな気がして、私はそのステージ世界に引き込まれていった。
Peach sugar snow 「人魚~泡になって消えても~」 MV