空き家の庭
作業を進め、やっと何とか庭先だけは草の征伐をした。
縁側に腰かけて改めて庭を眺めると、大きな樹木がこの庭のメインであることに気づいた。
この樹は何の樹だろうか。
私は歴史を刻んできたこの樹木の霊気を感じた。
畝本さん、大分綺麗になったね。
管理人の長柄さんが突然声をかけた。
驚いて振り返ると門扉のところから笑顔でこちらに近づいてくる。
立派な家ですね。
この付近では古い方だけど、しっかりした建て方なんでびくともしませんよ。
この樹は何の樹ですか。
椋(むく)の木ですよ。家族は大事にしてました。
これが椋ですか。すごい勢いですね。
近くのお宮に千年の椋があります。
千年も生きる、・・・。
そうです。
すごいですね。
その樹の子どもです。
というと、・・・。
種を拾ってきて何十年か前、播いたそうです。そしたら、一本だけ芽を出した。そいつを
大事に育てたんですね。
長柄さんは縁側に腰かけて言った。
あんたは独り者、というか、何か事情がありそうな感じだけど、・・・。
いや、家族がいます。でも、ときどき一人になりたい気持ちになることが、・・・。
私はそう言いかけて、急に黙り込んだ。
作業を進め、やっと何とか庭先だけは草の征伐をした。
縁側に腰かけて改めて庭を眺めると、大きな樹木がこの庭のメインであることに気づいた。
この樹は何の樹だろうか。
私は歴史を刻んできたこの樹木の霊気を感じた。
畝本さん、大分綺麗になったね。
管理人の長柄さんが突然声をかけた。
驚いて振り返ると門扉のところから笑顔でこちらに近づいてくる。
立派な家ですね。
この付近では古い方だけど、しっかりした建て方なんでびくともしませんよ。
この樹は何の樹ですか。
椋(むく)の木ですよ。家族は大事にしてました。
これが椋ですか。すごい勢いですね。
近くのお宮に千年の椋があります。
千年も生きる、・・・。
そうです。
すごいですね。
その樹の子どもです。
というと、・・・。
種を拾ってきて何十年か前、播いたそうです。そしたら、一本だけ芽を出した。そいつを
大事に育てたんですね。
長柄さんは縁側に腰かけて言った。
あんたは独り者、というか、何か事情がありそうな感じだけど、・・・。
いや、家族がいます。でも、ときどき一人になりたい気持ちになることが、・・・。
私はそう言いかけて、急に黙り込んだ。