とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

理想の空き家

2011-09-15 23:41:59 | 日記
理想の空き家




 ここです。やっと見つけました。

 持ち主の親戚のお方との遣り取り。


  ここの家を私にいただけませんか。

  こんなぼろ家、どこがいいの。

  ・・・そのー、何といいますか。たたずまいが、・・・。

  しかし、管理を任されているだけで、私の家じゃない。

  いくら出せば、・・・。

  ですから、私は、親戚のもので、何とも言えません。

  で、持ち主のお方は今どこに、・・・。

  それが、どこにいるか分からない。

  じゃ、管理人というのは、誰が頼んだのですか。

  どこにいるか分からないから一応私が、・・・。

  そうですか。

  ま、ここに住みたいのなら、勝手に住めばいい。

  住むんじゃないんです。ときどきやってきて、休むだけです。

  じゃ、あんたには家がちゃんとあるんだね。

  ええ、一応、・・・。

  物好きな人だねえ。

  ・・・。

  じゃ、一つだけやって欲しいことがある。

  何ですか。

  ご覧の通りの状態だから、掃除をきちんとしてほしい。

  もちろん、やらせていただきます。

  それをしてくれたら、いつでもいらっしゃい。

  ええっ、そうですか。ありがとうございます。





  私はそういう訳で毎日掃除をしています。でも、ご覧のような状態ですから、骨が折れます。掃除をすることが私の当面の生きがいともなりました。
 
 (補注)上の住宅写真は現実に近いイメージです。

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ヨルガオにはかなわない

2011-09-11 23:00:04 | 日記
ヨルガオにはかなわない






 最近の私は、自分でもどうしていいか分からないくらい落ち着きがない。いつも次には何をしようか、何をしなければならないかを考えている。そして次々に行動をおこす。だから、何もしていないときは落ち着かない。
 待て待てといつも自己コントロールしているが、気持ちとは裏腹に動いている。まるで籠の中のハムスターが車輪の中でこちょこちょいつも動いている感じである。
 していることに統一性がないから、周りのものに自分がしていることの根拠の説明をするときも、心にもないことを話して正当性を保とうとする。
 今日の夕方、そのもやもやした気分のままある用事をして家へ帰ろうとしていた。私の家が近づいてきた。すると、ブロック塀のところに何かしら白いものが二つ見えた。車を止めて見ると、ヨルガオだった。
 今年のその花はご難続きで、台風、病気、虫の食害などと花にとっての災いが続いた。だから、蕾が出来て、少し膨らみ咲こうとするが、なかなか満足に咲かなかった。ところが、今日初めて二輪咲いたのである。
 よかった。今年もヨルガオを見ることが出来た。それにしてもその佇まいの清楚なことよ。私のこんがらかった心のうちとは違い、整然とそして凜と気高く咲いたのである。見方によっては妖しげな美しさを感じさせもする。
 自然の摂理に従い、屈託がない。過去にあれこれ苦しんだことなど微塵も感じさせない美しさである。私は、その花に完全に負けてしまった。


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荘厳なる廃墟

2011-09-11 06:26:02 | 日記
荘厳なる廃墟





                                 (by country_boy_shane)

 こういう廃墟に佇むと、恍惚とした気分になりますね。
 住みたい、休みたい、という気持ちが俗なものだと知らされます。
 私には、こういう場所が世界のどこかにあるという事実が奇跡のように思えます。


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夢から覚めて

2011-09-09 05:56:36 | 日記
夢から覚めて



 廃屋に住んでみたいという願望が私に夢を見させたようです。その夢のイメージを2回写真をお借りして表してみました。
 ということは精神的に危なくなっているかもしれません。
 朝ドラ「おひさま」を見ていてると陽子夫婦が松本の焼けた家の代わりを探している場面が出てきました。そして、ある洋風の廃屋を見つけました。そして、二人は夢を見つけたのです。私はその場面を見ていてジンときました。
 そうだ、ほんとに私も廃屋を探そう。
 突然そんなことを思いました。お金がない。そうか、廃屋といってもただでくれるわけではないし。
 しかし私は廃屋探しを本当に始めようと思いました。
 例えばこんな家が・・・。



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廃屋での私・・・「とぎれとぎれの物語」連載第1回

2011-09-05 23:29:14 | 日記
廃屋での私





 これが私のとっておきの家の内部のようすです。

 電気がある !!

 いや、これは小窓から日の光がもれているだけです。

 広いじゃないか !!

 ええ、広すぎて一人ではもったいないくらいですね。

 で、食事はどうするの ?

 ま、ほとんど缶詰ですね。数日はもちます。

 ここで何しているの?

 昼は川音を聞きながら本を読んだり、昼寝をしたり・・・。

 夜は一人では寂しすぎるね。

 暗くてもちっとも寂しいとか怖いとか思いません。

 物好きというより、君、少しおかしいじゃないの ?

 そうかも知れません。

 家族は連れてこないの ?

 いや、家族も私を一人にしたいのです。

 君にはついていけないね。

 分かってもらえなくてもかまいません。

 んもう、勝手にしなさい !!



 これは、昨年この家についてきた友人との会話の一部です。


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